第73話:お待ちかねのカニ料理

「カニの酢の物ですね」

わかめときゅうりとカニの肉。

半分だけ食べて残りを佳乃に渡す。


「ここれはカニ真薯?カニの分量がおかしい・・・」

いいじゃない花子、カニが多くて困ることはないわよ?

「これ、すり身のカニにカニの肉っすよね・・・」

カニ真薯として間違ってないと思うけど?

普通よりもつなぎがちょっと少ないだけじゃない?

これも箸で半分に割って佳乃に渡す。


「とうとうカニそのものですね・・・」

カニのお刺身なんだよ!

そうそう、この花の開いたような感じが最高よね!

「先輩とリーゼちゃんで会話が成り立ってるっす・・・」

どっちもあたしなんだから問題ないじゃない!

2本あった足の1本を佳乃に渡す。


ここまでを食べ終わると食器が片付けられ、鍋が用意された。

「鍋は二人で一つなんですね」

一人用の固形燃料の小さい鍋じゃない。ちゃんとした土鍋だ。

「これもまたカニの割合が狂ってるっすね・・・」

具材の7割ほどがカニだけど、何か文句があるの?


むしゃむしゃむしゃむしゃむしゃむしゃ・・・


は!?

気付いたら無言でカニを食べ続けてたんだよ!

「しめは中華麺なんですね・・・」

カニラーメンね。これを食べたかったのよ!


「カニ味噌とカニの出汁がスープに溶け込んでておいしいですね」

このラーメンのためのカニ鍋なんだよ!

「このスープの味にするためのカニの量だとすると、計算された素晴らしいラーメン!」

花子も気に入ったようね?

小麦も夢中で食べてるし。やっぱりこのコースは正解ね。


「この後はいよいよ温泉っすね!」

もともと温泉のために来たんだしね。

「マスター、電気風呂はない?」

花子の両肩をガシッと掴んで諭すようにつぶやく。

それは今度スーパー銭湯に行く時まで楽しみにして居なさい。

「そうですよ山田、ここは温泉です。求めるのであれば露天の岩風呂とかです」

もちろん露天風呂もあるわよ!


部屋に戻って浴衣に着替えて大浴場に向かう。

「タオルはここにあるのを使うんですね」

部屋に用意されているタオルをわざわざ持ってくるのって面倒じゃない?

「確かに、濡れたタオルを部屋まで持って帰るのもイマイチっす」

それに1枚だけじゃなくて2枚でも3枚でも使い放題よ?


洗面器はケロリン、もちろん椅子もケロリン。手桶だってケロリンなんだよ!

「マスターこれってどこで売ってる?」

アマゾンに普通に売ってたわよ?

さすがにこの量を買うときは業者から直接仕入れたけどね。


小麦、身体を洗ってあげるからこっちに来なさい。

「先輩が洗ってくれるんすか!?」

まずは全身をシャワーでしゃわーっと流して・・・

この特別注文製作のシャンプーで髪の毛をわしゃわしゃと・・・

うん、指通りもいいし、泡立ちも文句ないわね。

「この匂いってもしかしてりんごのシャンプーっすか?」

そうよ、現代の技術でリーゼロッテのシャンプーを再現してみたのよ!

さすがに特殊効果は付与されてないんだよ・・・

「まあ、工場で大量生産じゃ無理っすよね・・・」

まあ、いいのよ。逆にHPが回復したりすると問題になりそうだし。


そんなわけで、小麦の全身を洗ってみました。

髪も身体も洗えてツルツルのすべすべでサラサラになったかな?

乾かしてみないと再限度がわからないね。

「今度は私が先輩を洗う番っすよ!」

しばらく小麦の好きにさせてみる。


ごく普通に背中を流している。

ねえ、小麦具合悪いの?大丈夫?

「なんすか先輩?全然大丈夫っすよ?」

だって全然いやらしさを感じないもの・・・

「だって、一般のお客さんも居るじゃないっすか・・・」

まあ、それもそうなんだけど、向こうの2人を見てるとね・・・


-ちょっ!やめろメイド!そこに触れていいのはマスターだけ!-

-ほらほら、山田もこの佳乃に触れてもいいのですよ?-


「うん、普通にいちゃついてるっすね」

まあ、だからと言ってこっちも真似する必要はないのよ?

「それに、先輩の見てくれじゃすぐに通報されちゃうっすよ・・・」

まあ、どう見ても事案にしかならないのは否定しない。あたしが一番年上なのに・・・


そんなわけで、タオルで髪をまとめるのやって。

「先輩、自分で出来ないんすか?」

自分でやるときれいに出来ないのよ。

「いつもはメイドちゃんにやってもらってるっすね?」

まあ、佳乃は頼まなくても何でもやってくれるし・・・


でもまあ、それはそれとして、やっぱり大きいお風呂はいいわね。

足も延ばせるし・・・

「先輩は自宅のお風呂でも足伸ばせるっすよね?」

小麦はわかってないわね・・・気分の問題なのよ!

「それにむしろ狭い部屋が好きっすよね?秘密基地とか・・・」

いいから、黙って温泉を楽しみなさい。

でないと、小麦とはもう一緒にお風呂に入らないわよ?

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