第69話:この佳乃にお任せを!

さてと、旅行で着る服も買ったし、靴も買ったし、あとはこれを荷物に詰めれば・・・

どこに?

旅行だからボストンバッグとかキャリーケースとか・・・

どこかにあったっけ?


佳乃は持ってる?

「そうですね・・・学校指定のバッグであればあります」

まあ、それでいいか。引越しの時に使ったやつね?


あたしは持ってない。

これも買わないとダメか・・・

どうする?

ボストンバッグ?キャリーケース?どっちにするべき?

「お嬢様が持て余して私が持つことを想定すると・・・キャリーケースでしょうか?」

花子や小麦はどうなのかしら?

メッセージを送って確認しましょう。


『花子、旅行用のバッグとか持ってる?』


『小麦、旅行用のバッグとか持ってる?』


さて、どっちが早く返事をするかな?


ティントン

『持ってるっす。取りに行ってくるっす』


小麦はすぐに返事をして来た。どうやら自分の家にあるらしい。

まだ引き払ってはいないので、荷物の大部分は自分の家にある。

じゃあ、小麦は大丈夫かしら?

でも、引越しの時の花子の荷物にはなかった気がするのよね・・・


ティントン

『学校のカバンがある』


花子も学校のカバンか・・・まあ、学生だしそれでもいいか。

すると買うのはあたしのだけかな?

そんなわけでバッグ売り場に。

ガラガラはどこにあるかな?

「お嬢様、こちらですね」

佳乃が案内する方に向かうと、ガラガラ・・・つまりキャリーケースがたくさん展示されている。


思ったよりも大きいのね。

適当に選んだ一つを引いて歩いてみる。

「でも、これをずっと持ち歩くわけではないですよね?」

確かに、移動中だけだ。旅館に着いたら荷物は部屋に置いておく。

観光に行く時にはいつもの猫さんポーチに必要最低限のものを入れておけば問題無い。

具体的にはスマホと小さいお財布。それにティッシュやハンカチ。

本当は化粧道具なんかもいるのかもしれないけど、今のところ必要性を感じていない。

その点はリーゼロッテのファンタジーボディーに感謝だ。


「まあ、この程度の大きさなら2〜3日分の荷物なら問題無いと思います」

ポップにも2泊3日程度を推奨って書いてあるしね。

よし、これにしよう。流石に可愛い模様のとかは置いてないみたいだし。

選んだのはシンプルな真っ白のやつ。

「白い方が模様を入れやすいですしね」

佳乃がおかしなことを言っている。

「なので、透明シール用紙を購入しましょう」

もしかしてプリンターで印刷してデコるの?

「世界に一つしかないお嬢様専用に仕上げてみせます」

なんか佳乃が変な方向に張り切っている・・・


あと、他に何か買い忘れはないかな?

「旅のしおりは作りますか?」

遠足とかの日程表みたいなやつ?

別にそこまでする必要はないんだけど、佳乃がキラキラした目で見つめてるから断れない。

「この佳乃にお任せを!」


作ることにした。

今日中に入稿すれば製本がとか言ってるけど、そこまでのは作らなくていいわよ?

うちにあるプリンターで出来る範囲のでいいのよ。

「それならば製本セットを購入しないと・・・」

そこはあくまでも拘るのね・・・

まあ、せっかくのイベントだし、好きなようにやらせてあげよう。


電気屋で製本セットを購入する。

プリンター用紙のコーナーに色々と置いてあった。透明シール用紙もここで買った。


「折角ですし、夕飯の食材も購入していきましょう」

そうね、久しぶりに佳乃のカレーを食べたいんだけど、大丈夫かしら?

「この佳乃にお任せを!」


じゃがいもにんじん玉ねぎをカゴに入れていく。

「オークとミノタウロスどちらにしますか?」

何よ、豚か牛かってこと?じゃあ、オークね。

豚バラのブロック肉をカゴに入れる。

それはカレー用ではないのでは?チャーシューとか作るやつよね?

「この佳乃にお任せを!」


流石に今日はルーを作る時間がないらしく、市販のルーをカゴに入れた。中辛だ。

中辛でも大丈夫。この身体になる前は激辛もいけたけど、今はおそらく気絶してしまう。


-赤いやつも多めがいいんだよ!-


頭の中にリーゼロッテの声が響く。そして漬物コーナーへ。

「福神漬けは赤いのと茶色いのどっちがお好きですか?」

佳乃が2種類の福神漬けを手に取って聞いてくる。

まあ、それほど変わらないんだけど、あたしはイメージ的に赤い方が福神漬けって気がする。

ちなみにリーゼロッテは赤いものしか知らない。

カレー屋さんなんかでは茶色いやつの方が最近は多い気がする。

ギリギリ昭和生まれだからだろうか?やっぱり赤いイメージが強い。

「赤ですね」

そう言って赤い福神漬けをカゴに入れる。

カレーがとっても楽しみなんだよ!

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