第66話:温泉に行きたい
かねてから予定していた温泉に行きます!
「おお!温泉。黒音は電気風呂が好き」
花子は何を言ってるのかしら?
スーパー銭湯じゃなくて温泉よ?
「本物!?道後とか草津とか由布院とか?」
そう、伊東とか熱海とか箱根とかよ。
「ちょっと近くなりましたね・・・」
あんまり遠いと移動が大変じゃない。
「どうせならその時間も温泉に浸かることに回したいってことっすね?」
まあ、そうとも言うわね。
で、大まかに山の温泉と海の温泉どっちがいいかしら?
山なら鮎とか岩魚とかが食べられるし、場合によってはイノシシやクマなんかも!?
「そうですね、海なら魚介がおいしいですね」
そんなわけで、何を食べたいか会議を開催します。
まず、私から。この時期はカニがおいしいと思うんだよ!
-リーゼロッテが出てきたね-
-リーゼロッテがカニを食べたいと見た-
-リーゼちゃんがカニ食べたいっすね-
「そうっすね、鍋が食べたいっすね」
小麦は鍋ね。これはカニ鍋でもいいってことよね?
-どうあってもカニに持っていく流れ-
-なら、カニをどう食べるかという事ですね-
-いい流れに持って行ったと思うっす-
「カニはどんなカニをご希望ですか?」
そうね、越前とか松葉とかズワイとか呼ばれるカニね。
いわゆるヤドカリの仲間のタラバとかアブラとか花咲もいいわよ?
でも、ズワイガニね。
塩ゆでも焼きガニもたまらないんだよ!
カニスキやカニしゃぶだっていいと思うわよ?
-リーゼロッテはカニそのものを所望-
-お嬢様はカニを使った鍋ですね-
-リーゼちゃんだけでなく先輩もカニしか考えてないっす-
「カニのフルコースが食べられる宿を検索します」
あら?みんなカニでいいの?
「どうせ何を選んでもカニも出てくると判断。それなら美味しいカニが食べたい」
あ、ちなみに宿の予約はあたしがするから大丈夫よ?
「マスター、もしかしてそこの宿はマスターの所有?」
え?(何でバレたのかしら?)
「この前の喫茶店もマスターのお店だった。今回もそうじゃないかと思った」
前のオーナーが引退して廃業になった温泉旅館を買い取ったのよ。
もちろん名前は『黒猫の湯』なんだよ!
-なるほど、先輩と先輩の中のリーゼロッテが色々とやらかしてるんすね・・・-
-お嬢様とリーゼロッテの融合がますます強化されてる感じですね-
-すでにどこからどこまでがマスターでどこからどこまでがリーゼロッテかわからない-
「ところで、移動はどうするのですか?」
私の車だと4人乗れるけど、4人分の荷物は乗らないのよね。
アイテムボックスが使えないと不便なんだよ。
「すると電車でしょうか?それとも大きめな車をレンタカーで借りますか?」
電車の運賃とレンタカーの費用を比較しようとしている佳乃に待ったをかける。
駅弁を食べてみたいんだよ!
「駅弁ってことは特急とかに乗るんすね?」
そうね。普通の電車だと駅弁が食べられないと思うわ。
「という事は電車ですね。指定席の予約が必要ですね。目的地の駅はどこでしょうか?」
熱海よ!
「割とベタな場所っすね」
新幹線に乗りたかったのよ!
「でも、新幹線の乗車時間は東京から熱海まで36分ですよ?」
え?
ご飯食べる時間ないかしら?
「マスターは新幹線の速度を舐めてる」
うーん、東京から小一時間はかかると思ってたのに・・・
食べるのがゆっくりだから割とギリギリかもしれないんだよ・・・
まあ、何事も体験なんだよ!
「では、日にちはいつにしますか?宿の都合もあると思いますが?」
それは問題ないわ。常に私の部屋は確保してあるから。
「部屋はそうかもしれませんが、食材はそうではないのでは?」
そうか、カニが食べられないと意味が無いんだよ・・・
「なので、連絡は必須と思います」
まさに佳乃の言う通りなんだよ!
ちょっと待って、すぐ連絡する。
金曜日に学校と会社が終わった後に行けばいいかしら?
「それだと到着がかなり遅い時間になりますが?夕飯に間に合わないかと」
それだとカニが食べられないんだよ!
「じゃあ、金曜の午後半休を取るっす。そうすれば学校が終わる時間とほぼ同じっすよ」
仕方ないわね。
部長にちゃんと申請しておきなさいよ?
「それよりもマスターは?」
え?
「完全に忘れてたっすね?」
普通に休みだと思ってたわ・・・
「普段からどんだけサボってるんすか・・・」
でも、仕事はちゃんと納期に間に合わせてるわよ?
「多分もともとの納期を甘く見積もってたんすよ・・・ズルっす・・・」
いいじゃない。それでも小麦よりも倍くらい速いんだから!
「それを言われると何も言い返せないっす・・・」
そんなわけで、今週の金曜と土曜に宿を予約したんだよ!
「では、金曜の新幹線を予約しておきます。グリーン席にしますか?」
もちろんよ!
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