第6話:1日の終わり
さて、真白小姫か。これが新しい名前になるわけだから、この名前に慣れないとな。
真白さんと呼ばれて反応できないと怪しまれる。逆に橋本さんで反応してもダメだ。
持ち物をチェックすると、真白に書き換わっているものと橋本のままのものが混在している。
まあ、これもどうせすぐに真白になるんだろう。変わる瞬間を動画に取っていたらどうなるのか?
むしろ動画のデータすらも改ざんされて、最初から真白のままということになるのかもしれない。
まあ、神様の仕事を無駄に増やしても意味ないので動画撮影はやめておくか。
さて、名字が変わったということは戸籍とかはどうなっているんだ?
両親はまだ健在で、橋本家のままのはずだが。いきなり天涯孤独なのか?
親の遺産とか別に期待してないし、自分自身十分金はあるからそれほど困ることはない。
これで、実家に帰るとどうなるんだ?両親はどういう反応をするんだ?
どちら様ですか?とか言われる気がする。しかも俺というか橋本真一が居るかもしれない。
まあ、別にこれと言って実家に用事もないし、すでに何年も帰っていない。
もっとも隣の県だから帰ろうと思えば小一時間程度で帰れはするのだが。
その後も特に問題なく勤務時間は終了。さて、帰るか。
明日からは出社しなくていいとは言ったものの。仕事はしなくてはいけない。
自宅にもPCはあるが、仕事用は別にしたい。このノートPCを持って帰るか?
すると、安藤が新品のノートPCを持ってやってきた。
部長に渡されたらしい。これを使えってことか。
性能はそこそこだが、小型で軽いヤツだ。むしろありがたい。
ノートPCの箱をリュックに詰めて背負う。こんな物でも重く感じる。
安藤に挨拶をして自宅に帰る。帰りは一番前の車両にした。これで揺れても大丈夫。
っと思っていたのだが、あっさり座れた。というか席を譲ってくれた。
ありがとう、知らないサラリーマンのオッサン。君は善い行いをした。多分そのうち良いことがあるだろう。
ただ、お嬢ちゃん荷物重そうだねぇ。まではいいとして、デュフフはやめておいたほうが良いと思うぞ。
本物のお嬢ちゃんならビビると思うから。俺は中身がオッサンだからそれほど気にしないが。
さて夕飯をどうするか。パン、麺、ときたからご飯系だな。弁当は量が多そうだ。
だとすればおにぎりだろう。いつもなら迷わずツナマヨなのだが、あえて今までは選ばなかった梅干しにしてみる。
海苔はパリパリのやつだ。一個で足りるだろうか?保険としてツナマヨも買っておくか?
おにぎり二個を持ってレジに並ぶ。ポイントカードを渡してSuicaで会計。
家に帰ってテレビを点けおにぎりを口にする。まずは梅干し。
うん、酸っぱい。やっぱり苦手だがそれほど悪くもなく感じる。
テレビでも特に気になるニュースはやっていない。
俺や俺の実家に関するニュースでもあったらどうしようかと思ったが、取り越し苦労だったようだ。
それにしてもおにぎり一個で十分なのか。余ったツナマヨは明日の朝に食べるとして冷蔵庫にしまっておこう。
風呂はどうしようか?シャワーでいいか?
シャンプーやボディーソープは今のままで良いのだろうか?
そもそも、ドライヤーなんてないぞ?今まで必要なかったから。
せっかくキレイな髪なのにゴワゴワになったりするのは嫌だな。
とはいえ、ないものは仕方がない。必要なものは順次揃えるとしよう。
車に乗れば、まだやってる店に買いに行くことも可能だが、すぐに通報されそうだ。
運転免許はあるのに運転できないのは不便だな。
そもそも、この身体だと何時頃まで起きていられるんだ?21時や22時で眠くなると思うんだが。
そうすると、起きていられるのはあと2〜3時間程度。
帰りの運転中にでも眠くなったらそれこそ死んでしまう。
そうしたら次も転生できる保証なんてないし、そもそも今現在が転生の作業途中のようだし。
あんまり問題を起こしてもまずいよな?
色々考えていると、あっという間に30分ほど過ぎてしまった。
なんだか少し眠くなってきた気がする。まだ20時なのに。食べると眠くなるのか?昼もそうだった。
今までが0時前に寝ることがなかっただけに、一日が短く感じられる。
この身体がまっとうに成長するかは疑問だが、お子様なのだから早寝早起きなのだろう。
シャワーを浴びてさっさと寝てしまおう。無理に起きていても仕方がない。
パジャマ代わりのTシャツと短パンを用意して、風呂場に向かう。
早速問題が発覚。シャワーが高い。仕方がないので、イスに登ってシャワーヘッドを固定する器具を下に下げる。
これで、立っていても椅子に座っていてもシャワーが使える。準備OKだ。
服を脱いで裸になる。自分の体をじっくりと見るのは初めてだが。完全に女の子だ。
女性の裸を見るのは初めてだ。自分の体で、しかもお子様だが。いや、32歳だったか・・・
でも、年齢に関係なく見た目やサイズ感はお子様だ。
シャワーを浴びる前にお湯の温度を確認する。今までの設定温度だと熱くて耐えられない可能性を否定できない。
手足にお湯をかけるとやはり少し熱く感じる。設定温度を下げる。2度下げるとちょうどいい感じだ。
改めて全身でシャワーを浴びる。心地いいが、やはり湯船に浸かりたい。のんびりじっくり温まりたいと感じる。
体を洗うにしてもタオルでゴシゴシ擦るのはまずいよな?スポンジとかないし。
仕方ない手のひらで洗うか。ボディーソープを手のひらに出して体に塗りつける。
体が柔らかいのか背中にも手が届く。以前なら絶対に無理だ。
流石にお子様だけあって胸は殆どない。膨らみかけどころか膨らみ始めという感じか。
ブラジャーとかは、まだ必要ないのだろうか?今日はつけていなかったが、先っぽが擦れると痛かった。
服の素材の問題かもしれないが、対策は考えるべきかもしれない。
まあ、これ以上成長しない可能性も高いから、一生必要ないのかもしれない。
お子様だからなのか身体中ムダ毛なんかまったくない。ツルツルのすべすべだ。
ここはどう洗うべきなのだろうか?
さすがに触れるのに抵抗がある、しかし洗わないわけにもいかない。
とりあえず指で割れ目に沿って洗ってみる。それ以上はなんか怖い。
石鹸がしみる。男性用のボディーソープがまずいのか?すぐにお湯で洗い流す。
身体はこれでいいとして髪の毛だ。今までの何倍もの量だ。
お湯で髪の毛を濡らしてシャンプーを付ける。量の加減がわからない。
多いよりは少ないほうが被害が少ないと思うから少なめにシャンプーを手に取る。
とはいえ、今までの感覚からすると倍くらいだ。
頭皮の部分は今までと変わらないとして、問題は腰近くまである長い髪だ。
どうやって洗うんだ?昔CMで手のひらで挟んで洗ってたような気がする。
とりあえず、記憶を頼りに真似をしてみる。これで良いのだろうか?正解がわからない。
なんとなく髪の毛を洗った気分になり、すべてをシャワーで洗い流す。
バスタオルで体を拭いて、髪の毛はタオルをターバンのようにしてその中に収める。
これも昔何かで見た気がする。正しいやり方かどうかは別として。
だいたいこういう日常的なところはドラマとかでも端折ってるんだよな。
シーンが変わって、パジャマを着て、髪が乾いた状態になっているのが一般的だ。
ネットで検索してわかるようなものなのか?エロ動画しかヒットする気がしない。
それですら、こんなシーンはカットされているだろう。需要があるとは思えない。
むしろ、温泉とかスーパー銭湯に行って他の人のやり方を観察するというのは?
今なら合法的に女湯に入れるし、他の客の仕草を観察しても咎められないだろう。
更に、そこに備え付けられているシャンプーやボディーソープと同じものを揃えてもいい。
女湯にあるのなら女性用なのだろう。しかも不特定多数が使用しても問題ない極一般的なものだと思う。
しかし、問題はお子様が一人で温泉に行けるか?ダメな気がする。
スーパー銭湯だってダメだろう。友だちと何人かで・・・というならありかもしれないが、
あいにく小学生の友達はいない。むしろ今までの俺に小学生の友だちがいれば即通報されるだろう。
こういうときに保護者がいないと不便だな。
いや、そもそも保護者が居れば保護者に尋ねれば済む問題だ。
実家の母親に電話するか?向こうの情報の改ざんがどれほど進んでいるかわからないが、
考えてみればすでに橋本さんちの子供ではなく真白さんちの子供なわけだ。
真白さんちはどこにあるんだ?そして、それが俺の両親になるのか?あまり期待しないほうがいいな。
住所なんかは戸籍を見ればわかるかもしれないが、相手を見て俺が自分の親だと認識できるのか?
そうでないと色々面倒なことになる気がする。やめておくか。
平穏に暮らしている真白さんに迷惑をかけるかもしれない。
もしかすると、都合よく真白家の両親はすでに死んでいることになっているかもしれない。
そうすればわざわざ新しい両親を用意する必要もないからな。
考えたくないが、実家が橋本から真白になっている可能性も0ではない。
だから、橋本家も真白家も当分の間触れないでおくのが得策だろう。
大学と違って、小学校は好き勝手に入学できるもんでもないし。学校に通うのは無理だろう。
平日の昼間にお子様が家にいるのもまずいのではないか?
人の少ない田舎とかに引っ越したほうがいいか?
でも、田舎だとすべての住人の情報を把握していたりするとも聞く。
むしろ隣近所に無関心な都会のタワーマンションとかのほうがいいかもしれない。
引っ越しも検討したほうがいいかもしれない。
でも、全部明日でいいか。もう寝よう。限界だ・・・スヤァ・・・
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます