二人の溝

スイカを食べ終え、みんなで海の家の戻った。そして、寝床の準備をし始めた。


「梨奈ちゃんは、二階に空いてる部屋があるからそこで寝ていいよ」

と父親が言った。


「俺はー?」

と梨奈さんのお父さんが言うと


「お前は、俺の部屋だ」


「えー、一人部屋じゃないの?」


「いいじゃん、朝まで一緒に飲めるんだから」


「そうだな」


父親の部屋は、かなりカオスなことになりそうだ。今日は俺一人で寝れそうだから少し安心した。俺は、二階に上がり自分の部屋に入った。そして、パジャマに着替えてベットに入った。


夜中二時、喉が渇いて水を飲みに行こうと思いベットから起き上がった。すると隣に暖かい何かがある。よく見ると、梨奈さんだった。俺は、驚いて


「なんでー」

と言ってしまった。すると梨奈さんは、目を覚ました。


「和樹?まだ朝じゃないよ」

と眠たそうに梨奈さんは言った。


「そうじゃなくて、なんで俺の部屋にいるの?」


「一緒にいたいから」

とドキッとするようなことを梨奈さんは、言って来た。梨奈さんは、意味をわかって行っているのかな。俺は、甘い罠に嵌められているのではないかと疑ってしまった。


「とりあえず、下に行きたいから一回どいてくれない」

と言うと素直にベットから出てくれた。


「私も下に行く」


なぜか梨奈さんも一階に行くことになった。俺が冷蔵庫の中から飲み物を出してコップに注いでいると梨奈さんは、壁のコルクボードに貼ってある一枚の写真を見ていた。俺は、なんの写真か気になったから見に行った。すると、その写真は、川辺でバーベキューをやった時の写真だった。その写真には、まだ陽キャだった小学生の時の俺が写っていた。梨奈さんも写っていた。今とは、違い黒髪で今よりも全体的に髪は、短かった。


「私、今より地味だね」


「そんなことないよ。今が派手なだけだよ」


「和樹は、今の姿はあんまり好きじゃない?」


「そんなことないけど・・・」

俺は、今までギャルが苦手だった。しかし梨奈さんと出会って優しいギャルがいるということが知れた。


「この時から和樹のこと好きだったのかもなー」

と梨奈さんは、ぼそっと言った。


「冗談言わないでよ」

と俺は、言ってしまった。


「冗談じゃないよ。私、そんなに軽い女じゃないよ」

と少し強めの口調で言って来た。


「ごめん」

と言うと


「私もごめん」

と言って梨奈さんは、二階に上がってしまった。俺もコップに入った飲み物を一気に飲み干して2階の自分の部屋に入った。でも梨奈さんは、俺の部屋にはいなかった。俺は、モヤモヤした気持ちを抱えながらベットに入った。


朝、目を覚まして一階に降りると父親と梨奈さんが開店の準備をしていた。俺は、梨奈さんに話しかけようとしたが


「和樹、外の荷物中に入れてくれ」

と父親に言われて話すチャンスを逃した。


俺は、いつもより素早く荷物を中に入れたが、量がいつも以上に多く時間がかかってしまった。そのため入れ終わる頃には、開店時間になってしまい梨奈さんと話すことはできなくなってしまった。俺は、淡々と自分の仕事をやり始めた。でも相変わらず客は、梨奈さんのところにしか並ばないから俺は、暇をしている。すると、


「和樹くん、暇?」

と昨日髪を切ってくれた美容師さんが来てくれた。


「見ての通りです」


「ちょっと話さない?」

と言われ、外のベンチに座って話し始めた。


「髪変えて何か言われた?」


「似合ってるって言われました」


「梨奈ちゃんに言われたの?」


「そうですけど・・・」


「梨奈ちゃんはどんな髪型でも似合ってるって言ってくれそうだよな。梨奈ちゃんは和樹くんのことが好きだから」

俺は、何を言っているんだと思った。


「嘘ですよね?」


「嘘じゃないよ。だって本人が言ってたもん」

俺は、驚いたと同時に梨奈さんを傷つけてしまったと思った。勇気を出して告白をしてくれたのにあんなことを俺は言ってしまった。


「梨奈ちゃん、あんな見た目だけど彼氏いたことないみたいだよ」


「そうなんですか」


「まあ、和樹も梨奈ちゃんのことが好きなら思いを伝えてみれば」


俺は、そう言われてやっと自分の気持ちに素直になれた。俺は、梨奈さんに会った時からもう好きになっていた。でも、俺は梨奈さんなんかと付き合えないと思っていてどこかで諦めようとしていた。でもここまで言われたら俺は、梨奈さんに自分の思いを伝えることにした。


「そうします」


「いいじゃん。まあ、頑張れ」

と言って美容師さんは、美容室に帰った。


俺は、海の家に戻らず近くのホームセンターに自転車で向かった。外の気温は三十五度だった。ホームセンターに着いた頃には、Tシャツが汗でびちょびちょだった。俺は、中に入ってたくさんの花火を買った。俺は、急いで海の家に帰った。海の家の中に入ろうとすると父親が入り口にいた。


「和樹、どこ行ってたんだ」


「ちょっとそこまで」


「ちょっとこっち来い」

と言われ、店の裏口に呼び出された。この後、こっぴどく叱られた。


俺が裏口から中に入ると梨奈さんのお父さんが


「盛大に怒られてたな。何したん?」

と聞いてきた。


「ホームセンターで花火を買ってきたら怒れました」


「別にいいよなー。夜あいつ抜きで花火やろ」


「そうしましょう」

梨奈さんのお父さんに慰められた。


「もうそろそろ、店も閉める時間でしょ?」


「そうですね」


「おじさんも手伝うよ」

そう言って梨奈さんのお父さんは、店の片付けを手伝ってくれた。そのおかげでいつもより早く片付けが終わった。








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