第5話 看病 料理&添い寝
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//SE ピンポーン
//SE 玄関が開く音
「こんにちは、笛、さっそく使ってくださってありがとうございます♡」
「本当はもっと早く飛んできたかったのに、遅くなっちゃってごめんなさい。ご指名入ってて……最近、ご指名増えてきました」
「でも、お客様は私のはじめてのお客様ですし、大切なお客様なので、ちゃーんと来ましたよ♡」
「でもでも、まさかお客様のおうちに呼んでいただくとは……」
「こんなプライベート空間に来ちゃったら……私、お客様のこと食べたくなっちゃうなー? なーんてのは、冗談です。今日はどんな癒しをご希望ですか?」
「え? 風邪ひいちゃってしんどいから、癒して欲しい?」
「あらら、それは大変!! こんな玄関で話してる場合じゃないです! 早くお布団入ってください」
「Bコースでいいですか? じゃあ、私が精一杯、癒させていただきますね!」
「それでは……お部屋の中、失礼しまーす」
//SE 部屋に入っていく音
「ありゃー。これは散らかってますねー。もう、可愛いなあ。なんか……こういうところ見ちゃうと、仕事以上にお世話したくなっちゃう」
「私、たぶん典型的な尽くしたがり体質なんですよね。だから今のこのお仕事も天職だと思ってて。まだ店頭には立ち始めたばかりだけど、雇ってくれたオーナーにはすごく感謝してるんです」
「でも、今日は一時間で帰って来いってオーナーに言われちゃったので……お部屋の片づけはまたの機会にして、今日は元気が出るお食事作りますね。早く元気になって、またお店にも来て欲しいですし」
「なーんて言ったら、営業みたいですか?」//控えめに伺うように
「だって、それしかお客様と会える機会ないじゃないですか」//照れながら
「……じゃあ、キッチンお借りしますね。お布団入ってゆっくりしててください」
//SE リズミカルな料理をしている音
//SE 料理を運んで来る足音
「はーい、お待たせしました。今日のメニューは水餃子入りの野菜たっぷりスープと、中華粥と杏仁豆腐でーす。へへ、中華風にしてみました。あ、中華風だけど油は控えめなのでおなかには優しいですよ」
「おいしそうでしょ? こう見えてお料理には自信があるんです!」//ドヤ顔
「まあ、ちょこーっと魔法使って時短しちゃいましたけどね。だって一時間しか一緒にいられないんですもん」
「じゃあ、ゆっくり身体起こしてください。食べさせてあげます♡」
//SE 食器の音等
「ふーふー。はい、どうぞ。あーんしてください」
「あーん」//色っぽく
「おいしい? へへー嬉しい。いっぱい食べてね」
「ふーふー。はい、あーん」
「へへ。おいしそうに食べてくれるの嬉しいな」
「でも、風邪ひいてるなら今日はハグできないですね。サキュバスの私がハグしたらお客様のエネルギー吸い取っちゃうから。……って言っても、お代は前回もらい過ぎてるんですけどね。でも、やっぱり……ちょっとだけさみしいです」
「……全部食べれましたね♡ あ、お薬は? 買い置きとかないんですか?」
「えー? 切らしてる? もぉーだめじゃないですか。ひとり暮らしなんだから、ちゃんとしてください。……そういうところ、ほっとけなくなっちゃう」
「……私がひとっ飛びして買って来てもいいですけど……さすがにそれはお代もらわないとなので……」
「え? 現金で払う? んー、……次回、キスしてくれるなら買って来てあげますけど。どうします?」
「OKです? やったあ♡ じゃあ、ちょっと行ってきますね! 急いで行って来るのでゆっくり寝ててくださいね!」
//SE 窓を開ける音
//SE メイが飛び立つ音
……
…………
//SE コンコン 窓を叩く音
//SE 窓が開く音
「ただいまぁあ。お薬買ってきました! あと、お水とペカリとゼリーも買ってきちゃいました♡ ほらほら、飲んでください」
「え? 買い過ぎ? えへ。ごめんなさーい。……私が勝手に買い過ぎちゃったけどぉ、ここはやっぱりお代はいただかないとなのでぇ♡ 次回のキス、長めにお願いしますね♡」//いたずらっぽく
「え? やっぱり今日は現金で払う?」
「あ……やっぱり長めのキスはしんどいですか? そうですよね、私、サキュバスですもんね……」//悲しそうに
「え? そうじゃなくて、単純に延滞するのが申し訳ない?」
「だったら……現金でもらうのは嫌です。……もうお店来てくれないの? お金もらっちゃったらもう来てくれない気がしてさみしいから、嫌だな。……それより……次来てくれる約束の方が欲しいです」
「ねー、指切りしよー? また、メイに会いに来て。次は元気になってまたキスしよ?」
「いいの? やったあ♡ じゃあ、小指出してっ」
「ゆびきりげんまん、嘘ついたらハグ千回、キス一万回で骨抜きだー、ゆびきった♡」//無理やりリズムに合わせて
「え? 歌詞が違う? あはは。これは約束破れないですね♡」
「……じゃあ、お薬も飲んだことだし、今日はゆっくり寝てください。添い寝して、頭撫でてますから。時間が来たらそっと帰りますね」
//SE 布団が擦れる音
「……一緒のお布団入るの、ちょっと幸せ感じちゃう」//SE 囁き気味の声
「おやすみなさい、早く良くなりますように」
//SE 頭をなでる音
//SE 主人公の寝息
「あ、そろそろさすがに帰らなきゃ。私の休憩時間使ったにしても……オーナーに怒られちゃう」//独り言
「……また、絶対会いに来てね。……待ってる」 //寝ている主人公に向かって小さな声で
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