エピローグ


 帝都に魔獣が出現したときから、さかのぼること五分――。


「みんなが……消えた」


 聖女様は迷っていた。


 露店に売られていた悪役令嬢の小説に目を奪われ、ほんのちょっと立ち読みをさせてもらっていたら――気付けばポツンと一人ぼっち。


「はぁ、まったくもう……ローたちは仕方ないなぁ。私が少し目を離したら、すぐ迷子になるんだから」


 彼女はまだ気付いていない。

 自分こそが迷子であるということに。


「とりあえず、困ったさんたちをさがしに行ってあげなきゃだね」


 ルナは「やれやれ」と言った風に肩をすくめ、スタスタと道なりに歩いていく。


 本来こういうとき、迷子が無暗に動き回るのは、悪手とされているのだが……。

 自分が迷子であるという自覚のない聖女様は、まったく土地勘のない街を勇猛果敢ゆうもうかかんに進んで行く。


「ロー? サルコさん? ウェンディさん? どこですかー?」


 名前を呼びながら歩くけれど、それらしき姿は、影も形も見つからない。


 そうしてしばらく歩いたところで、とある違和感に気付く。


「……あれ? そう言えばここ、さっきも通ったような……?」


 当てもなく歩き回ったルナは、ちょうどこの辺りを一周する形で、元の位置に戻って来てしまったのだ。


(まさか……私は今、何か魔法的な攻撃を食らっている!?)


 もちろん、そんな攻撃は食らっていない。

 本人は決して認めたがらないが、彼女は途轍とてつもない方向音痴なのだ。


 以前実施された『聖女適性試験』では、気絶したサルコをかつぎ、死の谷からい上がったところまではいいものの……。

 その後は瘴気の森の出口がまったくわからず、グルグルグルグルと同じような場所を歩き回り、制限時間を超過してしまった過去を持つ。


「……もしかして、迷子なのは私……?」


 ようやく真実に指を掛けたのだが……ルナの小さなプライドが、必死にそれを否定する。


(い、いやいやいや……っ。そんな……ねぇ? 私、聖女様だよ? もう十五歳だよ? 迷子になんかなるわけ――)


 自己弁護と現実逃避に躍起やっきになっていると、足元にカサカサッと『黒いモノ』が通った。


「うひゃあっ!?」


 慌てて跳び下がるとそこには、


「にゃぁーん」


 小さな黒猫が大きな欠伸をしていた。


「な、なんだ猫か……っ」


 ホッと安堵の息をついたルナは、改めて周囲を見回す。


「……」


 見慣れない土地の大通りから外れた裏路地で、たった一人ポツンと取り残された自分――。


 そう考えると、なんだか急に怖くなってきた。


 何を隠そうこの聖女様、お化けや怪異の類が、文字通り死ぬほど苦手なのだ。


(い、いやいや、大丈夫大丈夫! よく見てごらんよ、ルナさんや? まだ日も全然高いんだし、怖がることなんか何も――)


「――う、うわぁああああああああ!?」


 突然、男性の凄まじい悲鳴が響いた。


「な、何奴なにやつぅ……!?」


 素早く警戒態勢を取ったルナ、彼女の目が捉えたのは――百体に迫ろうかという魔獣の大群だ。


「なんだ、魔獣か……」


 まるで羽虫でも見つけたかのような薄い反応である。


 魔獣が街を蹂躙じゅうりんしていく中、


(……みんな本当にどこへ行っちゃったんだろう)


 ルナはトボトボと力なく歩く。


(聖騎士の迷子センターに行くのは……嫌だなぁ)


 十五歳にもなって、『すみません、迷子です』というのは……さすがにちょっと恥ずかしい。


(でも、このままじゃ全然合流できそうにないし、あんまり一人でウロウロしてたら、みんなに心配掛けちゃうし……。やっぱり恥を忍んで、行くしかないのかなぁ……)


 迷子センターに駆け込むか否か、真剣に思い悩んでいると、


「きゃぁああああああああ……!?」


 遥か前方で、小さな子どもの悲鳴が聞こえた。

 そこにはなんと、巨大な魔獣に襲われる母子ぼしの姿があった。


「お、お母さん……っ」


「あなたは早く逃げなさい……!」


「で、でも……っ」


 子どもを背にかばった母親は、棒切れのようなものを握り締めながら、魔獣の前に立ちはだかる。

 素人同然の酷い構え――彼女がこの先どうなるかは、火を見るよりも明らかだ。


「あれは確か……サイクロプス、だっけ……?」


 ルナの脳裏に浮かぶのは、つい先日受けたジュラールの授業。


【サイクロプスは非常に弱い魔獣だ。体こそ大きいものの、俊敏性は全種族でも最底レベル。一般聖騎士はもちろんのこと、諸君らでも簡単に討伐できるだろう】


(私の記憶が正しければ……サイクロプスは確か、とっても弱い魔獣だったはず……)


 一般聖騎士はもちろんのこと、聖女学院の生徒ならば、楽に討伐できるレベルの魔獣。

 それはつまり――あれを倒したところで変に目立ったりはしない、ということだ。


「ウ゛ォオオオオオオオオ……!」


 興奮したサイクロプスは、けたたましい雄叫びをあげながら、途轍とてつもない速度で母子のもとに突進していく。


(……うん、やっぱり遅い)


 ルナはそれを遠目に眺めながら、冷静に思考を回転させる。


(周囲に人目はないし……最悪誰かに見られても、サイクロプスは弱いから、いくらでも言い訳は利く)


 あのサイクロプスをほふって、母子二人を助けたとしても、聖女バレの危険性はほぼ皆無――ルナはそう判断した。


 しかしここで、一つ大きな問題がある。


(私は聖女をやめた。もう誰かが困っていても、絶対に助けたりしないと誓った。だから――助けない。あの二人には悪いけど、こっちにもこっちの事情がある)


 ルナは心を鬼にして、確実に起こるであろう悲劇に背を向けた。


(……)


 コンマ一秒後、彼女はチラリと振り返る。


 興奮したサイクロプスは、人間だいこうぶつに殺到し――棒切れを握った母親は、一歩前へ踏み出した。

 もちろん、勝ち目などない。

 我が子を守るため、決死の覚悟で挑み掛かったのだ。


(ま、まぁ……現代に転生してから、サイクロプスとは戦ったことないし? みんなが『弱い』っていう魔獣の強さを知るのも、大切なことだよね? せっかくの機会だし、戦ってみる価値は、十分にあるよね? いやいやもちろん、全然これっぽっちも、あの二人を助けたいだなんて思ってないんだけどさ?)


 素直じゃない聖女様は、誰にしているのかわからない、謎の言い訳を始めた。


(周囲に人目はない。最悪見られても、弱い魔獣だから大丈夫。現代のサイクロプスとは初めて戦うから、経験値的なリターンは十分にある……)


 サイクロプスの魔手ましゅが、勇敢な母の首を掴み取るよりも一瞬早く――ルナの『鉄壁の理論武装』が完成した。


(よし、行こう!)


 軽く地面を蹴り付けたその瞬間、彼女の足元――舗装ほそうされた道路に巨大なクレーターが生まれ、百メートル以上の距離が刹那せつなのうちに詰まった。


「よっと」


「バガラッ!?」


 ルナの右ストレートを受けたサイクロプスは、水風船でも割ったかのように弾け飛んだ。


 母子は二人とも無傷であり、これで一件落着かと思われたそのとき――『特大のイレギュラー』が発生する。


「ふー、危ないところでし……あ゛ッ!?」


「……る、ルナ、さん……?」


 そこには一人、『予想外の目撃者』がいたのだ。

 それはよりにもよって、王国聖女学院のクラスメイトであり、アルバス帝国の秘密諜報員――ウェンディ・トライアードだった。


「あ、あの……今のはいったい……!?」


「こ、これは……その……っ」


 一瞬大きな動揺を見せたルナだが、すぐさま立ち直ってみせる。


(いいや、大丈夫だね! だってさっきの魔獣は、サイクロプスだもん……!)


『通常種』と『変異種』の違いを理解していない聖女様は、自信満々の表情で、ボロぎぬよりも頼りない理論武装を展開する。


「やっぱりサイクロプスは、とっても弱い魔獣だね。見掛け倒しというかなんというか、私のへなちょこパンチでも一撃だったよ!」


「そ、そうですね。普通の・・・サイクロプスは・・・・・・・、本当に弱いですもんね……(でも、さっきの個体は間違いなく変異種……。外見的特徴は完全に一致していたし、実際の動きも驚くほど俊敏だった)」


 ウェンディは静かに考え込む。


(……さっきのルナさんの速度は、明らかに『異常』だ……。天恵ギフトや魔法による強化だとか、剣聖の超人的な身体能力だとか、そんな可愛いレベルものじゃなかった……)


 ウェンディは五歳の頃より、厳しい戦闘訓練を積んだ秘密諜報員。


 そんな彼女が、文字通り何も見えなかった。


 ルナの動き出しはもちろんのこと、いつ・どこに・どんな攻撃を加えたのか、その全てが何も見えなかった。

 気付いたときには、変異種の上半身が吹き飛び――そこに彼女が立っていた。


(……今思い返してみれば、やっぱりあのポーションはおかしい。ルナさんに渡したのは中位の素材、それなのに出来上がったのは、エリクサーレベルの逸品……いや、違う。きっとあれは『正真正銘のエリクサー』だったんだ)


 ウェンディの明晰めいせきな頭脳が、真実へ向かって突き進む。


(伝承によれば、聖女は恐ろしいほどに強く、無限にエリクサーを生成できたという……。陛下が聖女だとにらんだロー・ステインクロウは、スペディオ領の出身。そしてルナさんも同じ、スペディオ領の出身……っ)


 点と点が繋がっていき、やがて『一本の線』ができあがる。


(……間違いない)


 確信した。

 未だ証拠は完璧に揃っていない。

 しかしそれでも、第六感とも言うべきものが、確実にそう・・だと告げている。


(――ルナさんが、聖女の転生体だ)


 ウェンディはついに、聖女の正体へ辿り着いてしまった。


 一方、かつてない窮地に立たされた聖女様は――。


(ふぅ、危ない危ない。まさかウェンディさんがこんなところにいるなんて……。でも、サイクロプスが弱い魔獣だって知っていたから、なんとか無事にやり過ごすことができた。これぞまさにジュラール先生が言っていた、『知は身をたすく』、だね!)


 自分が助かっていないことに、彼女はまだ気付いていない。


(皇帝陛下の命令は――『聖女の暗殺』。でも、ルナさんは涼しい顔をしながら、変異種を一撃で仕留める正真正銘の化物……。ここは一度退くのが得策、か)


 ウェンディがそんなことを考えていると、サイクロプスに襲われていた母子がゆっくりと立ち上がり、深々と頭を下げた。


「危ないところを助けていただき、本当に……本当にありがとうございました……っ」


「お姉ちゃん、ありがとう……!」


「いえいえ、御無事で何よりです」


 ルナが柔らかく微笑むと同時――街の一角から、人々の歓声があがる。


「や、やった……帝国軍が来てくれたぞ!」


「皇帝陛下が派遣してくださったんだわ!」


 その後、現場に到着した帝国軍は、まさに破竹はちくの勢いで、市中にあふれる魔獣たちを討伐していった。


 通常種は単騎で倒し、上位種は数人掛かりで囲み、変異種は複数の隊長格が協力して討つ。


 帝国軍は非常に強く、士気・軍備・練度――そのどれもが王国軍とは比較にならない。彼らは来たるべき・・・・・戦い・・に備えた、『本物の軍隊』だった。


(な、なんかかっこいいかも……っ)


 帝国軍の『対魔獣討伐作戦』を見たルナが、キラキラと目を輝かせていると、


「や、やっと見つけた……っ」


「はぁはぁ……ルナ、こんなところにいたんですわね!」


 ローとサルコが合流し――ルナの足元に転がる、見るも無残な魔獣の遺骸いがいに息を呑む。


「い゛っ!? こ、これ・・、ルナがやった感じ……?」


「な、中々の狂戦士バーサーカーっぷりですわね……っ」


 二人は若干、否、かなり引いていた。


「ち、違う違う! そうだけど、ちょっと違う! これ、サイクロプスなの! 軽くパンチしたら、ドーンってなって――」


「なんだ、サイクロプスか」


「それなら納得ですわね」


 ルナの主張は一切の疑いなく、すんなりと受け入れられた。


(す、凄い、サイクロプスって言い訳……とっても便利だ!)


 もしまた同じようなことがあったときは、サイクロプス先生にお願いしよう――ルナは心の中でそう決めたのだった。


 その後、魔獣の襲撃を受けて、大転生祭の中止が正式に決定。

 皇帝は本事件の首謀者とされる、指定犯罪組織『魔獣共生会』の潜伏場所を特定し、直属の近衛兵によって既に制圧済みだと発表した。


 それから少し時は流れ――時刻は十八時、各々おのおのの手荷物を纏めたルナたちは、トライアード家の屋敷前に集合する。


「みんな、本当にもう行っちゃうの? せめて後一日でも泊まっていってくれたら、主人が間に合うのに……」


 テーラーはとても名残惜しそうだ。


 ちなみに……不運にも遠方に出張中だったトライアード侯爵は、十年ぶりに目覚めた愛する妻に会うため、ルナ・スペディオという大恩人に感謝を伝えるため――殺人的に詰まったスケジュールを全て蹴り、この屋敷へ馬車を走らせている。


「すみません、お気持ちは嬉しいのですが……」


「明日は学校があるので、そろそろ帰らないとヤバイんですよ」


「二日間、お世話になりましたわ」


 ルナ・ロー・サルコの言葉を受け、テーラーは「それなら仕方がないわね」と残念そうに呟いた。


「それじゃウェンディ、また明日学校でね」


「うん、また明日ね、ルナさん」


 ウェンディとは、一旦ここでお別れ。

 彼女はこの後、母と家族水入らずでゆっくりと食事を楽しみ――明日の朝一番に早馬で、王国聖女学院へ向かうのだ。


 トライアード家の馬車に乗ったルナたちは、王国聖女学院への帰路に就く。


 学生寮までの道中――。


「大転生祭、とっても楽しかったね!」


 ルナがそう問い掛けると、ローとサルコはコクリと頷く。


「途中ヤバめのトラブルもあったけど、まぁ面白い小旅行だったかな」


「来年もまた、みんなで一緒に行けるといいですわね」


「うん!」


 こうしてルナは幸せいっぱいの気持ちで、エルギア王国へ帰るのだった。



 大転生祭が中止に終わったその日の晩、ウェンディは呼び出しを受け、皇帝の執務室を訪れた。

 中ではアドリヌス・オド・アルバスが豪奢ごうしゃな椅子に座し、その背後には最側近であるラド・ツェズゲニアが控えている。


 静かにひざまずくウェンディへ、皇帝がねぎらいの言葉を掛けた。


「ダイヤ、よくぞ来てくれたな。早速だが、本題へ入ろう。――ロー・ステインクロウの尻尾は掴めたか?」


 その問いに対し、ウェンディは即答する。


「申し訳ございません。今のところはまだ何も」


 ルナ・スペディオという『本物』に対しては、尻尾を掴むどころか、華麗な一本釣りを決めてしまったのだが……。


 ロー・ステインクロウの尻尾に限って言えば、未だ何も掴めていない。


 正直に答えた。

 嘘は何も言っていない。


 ただ、もちろんこれは詭弁きべんだ。


 聖女の正体を知りながら、皇帝に上申じょうしんせず、腹の内にえ置く。

 言い逃れのしようもない背信はいしん、明確な裏切り行為である。


 しかし――。


(ルナさんは私の大恩人で、とても大切な友達……)


 たとえ皇帝にそむくことになったとしても、大恩ある友達は売らない。


 ウェンディ・トライアードという少女は、メインヒロインに足る、誇り高き精神の持ち主だった。


 そのうえさらに――彼女の中では今、『とある疑念』が浮上している。


(……皇帝陛下は、母に呪いを掛けていた可能性が極めて高い……)


 テーラーの解呪に成功した後、呪像彫刻じゅぞうちょうこくについて、屋敷の使用人に調査してもらったところ……サルコが言っていたことは全て正しかった。


 もちろん皇帝の派遣した医者が、独断で呪いの魔道具を置いた可能性もゼロじゃない。

 ゼロではないが……やはり『アドリヌスの指示で動いていた』と考えるのが自然だろう。


(もしもルナさんが、うちへ来てくれていなかったら、エリクサーを作ってくれなかったら……。きっとお母さんは、苦しみ抜いた末に……亡くなっていた……っ)


 母が無事であったことへの安堵・歯車が違えば母を失っていた恐怖・ルナへの途方もない感謝――そして皇帝アドリヌスへの疑心と怨恨えんこん


 皇帝はトライアード家から奪った。家族みんなで楽しく暮らせていたはずの十年間、お金では買えない二度と取り返すことのできない団欒だんらんの時間を。


 今すぐにでも皇帝に飛び掛かり、真実を問いただしたい。

 だが、そんなことをすれば、家族全員が処刑されてしまう。


(それに……アドリヌスは全身を強力な『聖遺物』で守っていると聞く……)


 この場で一騎打ちを仕掛けたとしても、返り討ちに遭うだけだろう。


(今は……我慢のときだ)


 彼女はまだしばらくの間、この仕事を続け、皇帝の手足となって働くと決めた。

 帝国の秘密諜報員という立場は、今後のこと・・・・・を考えれば、非常に価値がある。


 ウェンディが冷たい復讐の炎を燃やしていると、皇帝は一瞬だけ彼女の瞳の奥を見つめ――「ふむ」と喉を鳴らした。


「……そうか。此度こたびの騒ぎでは、ロー・ステインクロウは動かなかったか。まぁ、そう簡単に尻尾を出されてもつまらんからな。――ダイヤ、お前は引き続き、聖女学院に潜伏して監視を続けよ」


「はっ」


 執務室を後にしたウェンディは、帝国の上級魔法士官が展開した<異界の扉ゲート>を通り、王国聖女学院の学生寮へ飛んだ。


「はぁ……疲れた」


 自分の部屋に戻った彼女は、真っ先にシャワーを浴び、今日一日の疲れを洗い流す。


「ふぅ……すっきり」


 桃色のキャミソールにベージュの薄羽織うすばおりを着た彼女は、明日の学校の準備と寝支度を整え――ベッドの上にゴロンと横たわる。


「……ルナさん、大きい人だな……」


 ウェンディは、聖女の器の大きさに圧倒されていた。


(転生直後の聖女様は、力と記憶が著しく劣化しているらしい。だから、シルバーという代行者に守ってもらっている。つまり今、聖女様が身バレするのは――聖女バレするのは、その身を危険に晒す、絶対に避けなければならないこと。それなのに……ルナさんはリスクを承知で、お母さんを助けてくれた)


 あそこでエリクサーを生成し、テーラーの呪いを解くことで、ルナにはなんのメリットもない。

 むしろ、聖女バレという特大のリスクを背負うだけだ。


(……かっこいいな)


 ルナのけがれなき心が、透き通るような善性が、どうしようもなく眩しかった。


(ルナさん、あなたは私を、私の大切な家族を救ってくれた。だから、今度は私の番――)


 あのお人好ひとよしで隙だらけな聖女様を、陰ながらこっそりと支えよう。


 ウェンディはそう固く心に誓うのだった。

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