第9話

歩には、もう迷いなどなかった。


少しでも相手の隙を見つけたら、どんどん進んでいった。


「そんなに進んだら危ないよ!!」

飛車くんの叫ぶ声が聞こえる。


「大丈夫大丈夫!!」


どちらかの王将が詰まれるか、どちらかの王将が降参しない限り、勝負は決まっていないんだ。


そして……


ピー


笛が対戦終了を知らせる。

勝ったのは歩たちのチームだった。


それまで激しく闘っていたチームのみんなが、踏み込まれた跡の残る競技場に寝そべった。


爽やかな夜風が吹いた。

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