第8話

「只今より、チキュウ行き代表チーム決勝戦を行います。」


ピー


薄暗くなった空に、これまでにないほどの熱気と応援があふれかえる。

歩たちのチームは、躊躇せずひたすら攻め続ける。


しかし、相手のチームはやはり手ごわい。歩たちのチームのコマをどんどん奪っていく。


激しい闘いを目の当たりにし、歩は少しだけ身震いをした。


『決勝まで行けたんだし、もう負けたっていいでしょ。相手もこんなに強いんだし。

無理をしてまで代表になりたくもないかな…』


気がつけば歩は、見覚えのある道に立っていた。

そうだ、あの日の夜に歩いていた場所だ。


だけど、何かが違う。やけに肌寒い。


『帰り道途中まで一緒だから、一緒に帰ろ!』


飛車くんの言葉が心の中で響く。

でも、今僕の近くには、飛車くんはいない。

仲間はいるけど、今僕は孤独だ。


『君と同じ8人の歩も、同じ状況で悩んでるって言ってたんだ。でも、僕はお歩くんが一番話しやすいんだよね。』

『勝ちか負けかなんて、終了直後まで分からない。その言葉で、僕は救われたんだ。』


「僕は、このチームの大事な一員。

僕の力で、このチームを優勝させるんだ!!」


すると、少しずつ周りの音が聞こえ始めた。

歩は、ゆっくりと目を開けた。




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