チキュウ
第4話
画面には宇宙の映像が流れている。
「ちょうどここらへんですかね……」
「はい、そうですね……」
すると画面が切り替わり、この星で有名な占い師が映る画面になった。
「でも、本当なんですかね??」
「ふふふ。私の占いが外れるものですか。
もうすぐ、ここらへんにチキュウという大きな星ができますよ。」
「チキュウ……大きな星……」
歩は呆気にとられていた。
この星で有名な占い師の予言がよく当ることは知っていたが、そんなことを聞いたのは初めてだったからだ。
そこでテレビの画面が切り替わり、スタジオが映し出された。
「そこで、そのチキュウという星に、将棋というゲームを送りたいと思います!!」
パチパチパチパチ
周りから拍手の嵐が起こる。
そこで、歩が突っ立っていることに気がついた父は言った。
「まさか、歩がニュースに興味をもつとはな、今日は雪でも降るのかな、ハッハッハ―なあ、お前のチームも出るんだろ??」
「えっ……う……うん……」
歩は言葉を詰まらせた。もちろん僕たちのチームは出るに決まってる。でも僕なんかが参加して、昨日みたいなことになったら……
「歩兵くーん、朝ごはん冷めちゃうわよ。」
お母さんの声がする。でも僕は、今はそんな気分ではなかった。
今日の足取りはいつもより重い。一歩進むだけで、不安っていう気持ちが足まで来て、まるで悪魔が足を締め付けているかのようだ。
結局朝ごはんは食べたけど、お腹は
『不安だよー不安だよー』
って叫んでる。
やっぱり、僕なんかがいたら……
でも、とうとう歩は、チームの部屋のドアの前まで来ていた。中は明るい。ガヤガヤと話し声が聞こえる。ドアノブを触ろうとする手が、震えている。
ドアノブにちょっと手が触れた。
でも、怖くて、不安で、ドアに背を向けた。
やっぱり僕なんか、チームから抜けたっていいかな。歩兵だって僕の他に8人もいるし。
きっとまだ、チームに入っていなくて、僕よりいいやつがいるだろう。
僕がチームにいたら、メンバーに迷惑をかけるだけだろうし……
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます