第24話
獣人たちがやってきて、町の人口は増えた。
仕事も始め、税金という形で住民からは少しだけお金を徴収する。
マモンが予算の管理などをやってくれるからそっちは任せるとして……。
「ルシファー様の魔法でこう……畑をおこせませんか?」
「無茶を言うな」
「ですよね」
広大な土地を活用すべく、まずは畑作りからやることになった。
私は獣人たちが開拓しようとしていた土地に赴く。
「ベルフェゴール。お前はこういう土操作は得意だろう。出来ないか?」
「えぇ〜……。めんどくさいよぅ……」
「頼む」
「ん〜……じゃあシフォンケーキくれたら作ってあげる〜」
「わかった」
ベルフェゴールは立ち上がり地面に手を触れる。
ベルフェゴールの頭に悪魔のツノがひょこっと生えた。力を使う時にツノが出るらしい。
「大地よ、我に従え」
ボコォっと土が耕される。
便利だな。畑作には。ものすごい広い畑が出来上がった。
エルフたちも畑は耕していたがこれだけの規模はやったことがないらしい。
「ベルフェゴール様、近くに泉とか水が湧くのを作れたりしませんか?」
「ん、ちょっと待って。水脈探す」
ベルフェゴールは目を瞑り、何かを探していた。
そして、ベルフェゴールは何かを見つけたのかゆっくりと歩き出す。そして、力を放つと、土が凹み、そこに地下から水が湧き出したのだった。
「近くにデカい水脈があった。結構前に埋め立てられて水の行き場が無くなってた感じ。見つけられてなかったらヤバかったかも」
「そうか。よくやった」
「もう今日はこれでおしまい〜。ルシファー、怒らないでね〜」
「いや、よくやった。シフォンケーキだな。あとで作らせる」
ベルフェゴールは空を飛んで城に戻るのだった。
畑はこれでよしとして……。あとは獣人たちの住む家か。
一応簡易的な家は建てているが、あれだと衝撃に弱い。私が少し悩んでいると。
「ルシファー様!」
「……犬の獣人の……ヨーデルだったか」
「はい!」
「どうした?」
「その、我々獣人、いろいろ考えてルシファー様のために何するかを! その結果、この町の騎士みたいな、警察みたいな感じのをやらせてもらいたくて!」
「……自警団というわけか?」
「はい!」
「……戦力は割と間に合ってるが」
私、ベルゼブブ、ベルフェゴール、マモン、アスモデウス、レヴィアタン、サタン。
戦力としては申し分ないし、粛清なんてのは私で簡単にできる。
だから自警団は仕事がないんだが。
「……ですよね!」
「まぁ、仕事はまだ作るさ。そうだな……。大規模な畑ができた。作物が出来たらなにかこの町の名産品を……」
と、話していた時だった。
空からサタンが飛んでくる。サタンは私の前に豪快に着地したかと思うと。
「おい。なんか変なの湧いてるぞ」
「変なの?」
「こっちだ」
サタンはぶっきらぼうに案内するようだ。
ヨーデルに別れを告げてサタンと共にその変なのの元に向かう。
そこにあったのは湯気が出ている……温泉だった。
「温泉か?」
「温泉っつーのか?」
「ああ。ここは確かに火山もそこまで遠くないが……源泉が出るようなものか?」
「まぁいいだろ。この温泉? っつーのどうすんだよ」
「ふむ……。これを売りにしてもいいな」
「はぁ?」
「温泉は風呂だからな。サタン、よく見つけたな」
「……」
まぁいい。
源泉が湧き出てるなら利用しない手はない。私は手を突っ込んでこの温泉を鑑定してみる。
毒のようなものは含まれてなさそうだ。温泉がここに噴き出してて、人間が入るにはちょいと熱い。
この温泉を引き延ばして別の場所に運んで……。
この森は凄いな。資源が豊富すぎる。私の魔力が一切何も寄せ付けなかったのが大きな要因なのだろうか?
「いいな。街づくりのゲームみたいでちょっと面白くなってきた」
私の理想郷は私で作れば良いのだ。
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