第23話
マモンたちが町に来て数日が立った時だった。
エルフが城に来たかと思うと。
「最近、この森の奥で大量の獣人が住み着いてるんです」
「獣人が?」
「はい。どうにかなりませんか?」
ということで、私は勝手に住み着いた獣人たちのもとに向かう。
獣人。ギャラオンの世界にも存在する種族で、ケモナーたちには悪いが、獣人は人間の見た目にケモミミが付いただけっていうケモナーガチギレの見た目をしている。
ただ、戦う際は本当に獣そっくりになるようだが。
獣人たちはたしかにたくさん住み着いていた。狼、兎、猫、犬……。たくさんの獣人たちが暮らしている。
が、私を見てすぐに警戒態勢をとっていた。
「ルシファー……」
「貴様ら、なぜこの森にいる?」
「…………」
「答えろ」
「えっと、おいらたち……その、隣の国から逃げてきたんです」
「隣の国から?」
「隣の国の獣人の村みたいな場所に隔離されてたんですけど、追い出されちゃって。行く当てもなくてみんなでふらついていたら人気のない森があってそこを開拓しようと……」
「ルシファーが住む森だとは知らなかったんです!」
と、必死に命乞いをしてくる者、仲間を守るために前に出る者がいる。
隣の国では差別を受け、隔離されていたが、隔離されていた場所も人間様に明け渡せということで抵抗もせずこちらに逃げてきたんだとか。
少しは抵抗しろよとは思ったが、口には出さない。
「……はぁ。こちらとしても勝手に住み着かれるのは困るな」
「で、ですよ、ね。別の場所を……」
「この場所に住むからにはきちんと手続きを踏め。この先にエルフが暮らす町がある。そこで建物を建てて一緒に暮らすがいい。一か所に集まってくれたほうがまだ助かる」
私はそう言って、とりあえずエルフの村に案内することにした。
「というわけだ。今日から獣人も迎え入れる」
「へぇ。可愛いね……」
獣人たちはエルフの子供たちに胸を触られたりしていた。もちろん獣人の方々のほうにも子供はいて、そっちはエルフを興味深そうに見ていた。
私はため息を吐く。
「とりあえず獣人は全部で50ぐらいか……。建物を建ててほしい場合は家族構成とか告げることだ。でないと正確な数が建てられないからな。あと生活に困ったことがあるのならここの先輩であるエルフたちに聞くがいい。あと、悪魔がこの領地には複数存在するが、基本的に無害だから気にするな。あと、働き口も用意はしてやる。しっかりと働くようにな」
私はとりあえずいろいろとやることができちゃったな。
獣人を新たにアテナの住人に迎えたとマモンたちに言うと。
「ほほう。人手はなんぼあってもいいですからね」
「獣人ねぇ……。差別されてるとは聞くわね」
「フレズベルグ王国はそういうのにも寛容ではあるから、フレズベルグ王国にいれば安泰ではあるだろう」
「悪魔も受け入れるぐれえ懐が深え国! 最高にイカしてるぜ」
「……ふわふわかなぁ」
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