第20話

 レヴィアタンの演奏が終わり、満足そうに私の城に戻ると、ベルゼブブが帰ってきていた。

 ベルゼブブはレヴィアタンを見て驚いている。


「よぅ。ハエの悪魔。俺も、今日からルシファーの仲間になったぜ」

「ハエというな。ルシファー様。ルシファー様の部下を語る者について分かったことがあるので……」

「ああ……」

「ルシファー様の部下を語る者はサタンの部下でした」

「……サタンか」


 サタンもギャラオンに登場するボスだ。

 七つの大罪の悪魔はルシファーを除いて全員ボスとして出ているんだよな。だからいるのは想定してたけど……。

 サタンはレイドボスとして現れた強敵だったな。みんなと協力して倒した記憶がある。最終的には私ソロでもいけるようになったけど。


「どうしましょうか。〆ますか?」

「そうだな。〆るか」

「イェー!」


 私たちがそう会話していると、助けてくれ!と王国の騎士団の人が入ってきたのだった。

 王国の騎士団は私に助けを求めてきている。


「どうした? お前は……ロードだったか」

「助けてくれルシファー! 悪魔に、目をつけられた!」

「悪魔に? 誰だ」

「アスモデウスという悪魔だ……」


 アスモデウス。

 レイドボスの一人だ。目をつけられたって……。


「ダーリーーーーーン!」


 と、煽情的な格好をした女の人がロードに抱き着いた。

 アスモデウス……。やっぱエロイ。イラスト投稿サイトでR18のイラストで溢れていた理由がよくわかるエロさをしている。


「ダーリン! 逃げちゃらめぇ! 離さないゾ☆」

「助けてくれ! 俺は何もしてない! 呼びだしてもないのに!」

「呼び出したのは違う奴よぉ。でもぉ、ひとめぼれしちゃった♡」


 あぁ……。アスモデウスも人間に害はないとみて間違いない。

 アスモデウスは色欲をつかさどっているサキュバス。レイドボスとして実装されて、割と厄介な性能を持っていた。

 ステータスはほかの悪魔と比べてそこそこなんだけど、厄介な状態異常を引っ提げてくるのだ。その名も超魅了。

 超魅了は魅了耐性や、性別なんて関係なく、魅了状態にする。魅了状態になると与えるダメージが半減し、たまに攻撃が当たらなくなる。


「……好かれてるならいいんじゃないか?」

「そうよぉ。私はあなたの頼みなら何でも聞くわ。対価は、あ・な・た♡」

「煽情的でとてもクール!」

「やかましい……」

「あらぁ。レヴィアタンとベルゼブブもいたのねぇ。悪魔三人で何やってるのぉ?」


 私はアスモデウスに私がやっていることを説明した。


「へぇ。私もそれに入ったらダーリンが振り向いてくれるかしら」

「するんじゃないか?」

「勝手に決めないでくれ! 悪魔は怖いのだ!」

「怖くなんかないわよぉ。ふふ、私は人間は襲わないわ。あなた一筋になるもの♡」


 こわ。

 ロードに抱き着いたままアスモデウスは私の町、アテナの住人になるように決めたらしい。

 まぁ、ロード。頑張れよ。


「悪魔も人間に友好的なの増えているんだな」

「私たちが特別なだけよぉ。私はサキュバスだしぃ? 人間は餌だからある意味では友好的よ? でも、あなたは餌じゃない……。ダーリン。あなたは私の特別な人……」

「こんなエロイのが奥さんになったら周りに自慢できるんじゃないか?」

「そうだがっ……! だが異種族婚というのは……」

「あら、それで悩んでるってことは私とはまんざらでもなくって?」

「違う! 悪魔は怖いのだよ!」


 ロードは嫌がっていた。


「ま、その辺にしておいてやれアスモデウス。人間と距離を詰めるのは地道に、だ。まずは悪魔の恐怖心をなくしていかなくてはならん」

「そう……。わかったわ。でも、私は諦めないわ」

「やっと離れた……」


 ロードは疲れたから帰る……とだけ言い残し出ていったのだった。

 私はアスモデウスに聞きたいことがあった。


「さっき呼び出されたのは違う奴……といっていたが誰に呼び出されたのだ?」

「うーん、なんかこの世に恨みを抱いてそうな青年だったわ。悪魔を呼び出す召喚人をもらったから使って私に世界を亡ぼせとか言ってきたのよ。むかついたからその男の精気奪ってやったけど」

「……殺したのか?」

「ギリギリ生きてるんじゃないかしら。だってダーリンに見られたし……」


 ああ、精気を吸ってる最中にロードと出くわしてひとめぼれか……。


「ベルゼブブも誰かに召喚されたんだよな」

「ええ。のっとった体の主が私を呼び出す液体を飲んだみたいですね」

「……のっとった?」

「私は寄生型ですので」

「あぁ……」


 元となった人が知りたい。

 いや、なんとなく予想はついてる。あの私が子守歌で眠らせた冒険者の行方が分からなくなったって聞いてるし、多分そいつの体だな……。


「悪魔を召喚している人物がいるっていうことか」

「何のために?」

「わからん」

「俺は誰にも召喚されてないぜぇ? 俺は常に人間界にいたからな!」

「人間界にいたら召喚されることもないだろう」

「何か起きようとしてるみたいねぇ。物騒で嫌だわぁ」

「残っているのはあとはベルフェゴール、マモンか」

「マモン? マモンならたしかどこかで商人やってるわよ?」

「えっ?」

「経営不振だった商会を立て直したとか言う話は聞きますね」

「……」


 強欲の悪魔はなにしてるんだ?










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