第18話
瓦礫の山となった大教会。私はバリアを破裂させ瓦礫を吹き飛ばした。
国王たちはポカンと口を開いている。
「ちっ、私でも気づくのが遅れた。鎖のせいで少し認識できなかったが……。隠すのが上手いやつだ」
「どうしてこうなった?」
「知らん。だが、あらゆるところに魔力弾みたいな爆弾が仕掛けられていたようだ」
この教会にいる人間すべてにバリアを張ったが全員無事だろうか。
外を警備している騎士が急いで駆け寄ってきた。
「なにごとでありますか!」
「全員無事でしょうか!」
「ああ、無事だ……。ルシファー殿の魔法か? 先ほどのバリアは」
「ああ……。それより今は犯人探しが先だろう。魔力の質はわかった。あれと同じ魔力を探せば見つかるが……」
魔力には人によって性質が違う。
人間でいう指紋のようなもので、人によって違う。それを感じ取ればいいのだが……。この場にはいないな。
「報告! 周囲にものすごい数の魔物が……!」
「まるでこの教会の崩落を待っていたかのように……」
「チッ、お前ら全員中にいろ。私が殲滅する」
王都と同じ状況だ。
私は騎士達をバリアの中に閉じ込めアルマゲドンを放った。
流星が魔物たちに降り注ぐ。国王や騎士達はバリアに守られて傷を負ってはいない。
襲い掛かろうとしてきた魔物たちは皆、微塵も残らず消えて行ったのだった。
私はバリアを解く。
「また魔王のやつか?」
「かもしれないな。まさか大陸会議を狙ってくるとは」
「むしろチャンスでしかないだろう。各国の王が一ヶ所に集うんだ。一斉に王たちを殺して仕舞えば……指導者を失った国は機能を失う。滅びていくだろう」
私がフレズベルグの国王と会話しているとわ周りの騎士がほうけた顔をしていた。
あの流星群が魔物を殲滅する姿に恐怖を抱いたのか、動けていない。
「何が狙いかは知らないが……。ともかく大陸会議は中止にすべきだ。また、教会に爆弾が設置できるのは内部の人間に違いないだろう。全員容疑者だな」
「うーむ……」
「呆けている暇はないぞ。とりあえず……」
と、話していると私は騎士の一人の魔力が気になった。
さっきの爆弾の魔力と同じだ。私は騎士に名を尋ねる。
「貴様、どこの騎士だ?」
「はっ。私はノクターン帝国の騎士であります」
「そうか……。貴様に問うが、貴様……爆弾を仕掛けたな?」
そういうと会場の視線が一気にこちらを向く。
この男も目を泳がせている。嘘下手だな。
「なぜでしょうか」
「貴様の魔力と先ほどの魔力の爆弾の魔力が同じだからだ」
「偶然似たようなものでしょう。私が犯人ということには……」
「見苦しいな。だが、仕方あるまい。私はもとより人類の敵であったのだ。素直に白状しないのならば、貴様の命はここまでになるだろう」
私は魔力を集中させ脅しをかける。
騎士の額からは汗がだくだく流れていた。だが、脅しだと思っているのかもしれない。
私は瓦礫めがけてブラックホールを放つ。瓦礫を吸収していくブラックホール。
「これを貴様にぶつける。痛みはないから安心しろ。吸い込まれた先に何があるのかは私も知らないがな」
「わ、私がやりました……」
だろうな。
私はとりあえずブラックホールで周りの瓦礫撤去を始めた。男は騎士達に連れて行かれる。
「本当にあの男が犯人か?」
「だろうな。あの男も犯人だ」
「……も?」
「私が感知できた魔力はアイツだけだ。鎖のせいもあるが、巧妙に魔力を隠されていた。あれにあんな芸当ができるんなら爆発まで魔力は隠すはずだ。まだいる可能性があるな」
それもだいぶ魔法に手慣れた奴が。魔力を隠す芸当はそんじょそこらのやつにはできん。
瓦礫を吸い終わり、私は各国の王に声をかける。
「まだ敵がいるかもしれないから気をつけろ。この事件は全員を狙ったのか個人を狙ったのかまでは知らんからな」
「あ、ありがとう……」
一応警告はした。
あー、ほんと面倒臭いが、事件起きたから早く帰れそう。
このことはマジで歴史的な大事件にはなるねえ……。早く解決出来たらいいけどな。
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