第8話
この世界の人間と仲良くなるには……と考えていると、副団長であるワグナリア殿のもとに緊急の呼び出しが入ってきた。
「大変ですワグナリア様! 王都が魔王軍が襲撃しに来たことにより……」
「魔王軍、だと? こいつの監視もあるのに……。そうだ。おい、ルシファー! 人間と仲良くなりたいんだろ? 魔王軍のせん滅、頼めるか?」
「利用する気満々だな。まぁ、いいだろう」
私はワグナリア殿を抱えて空を飛ぶ。
王都まで一直線に向かう。王都の周りには魔物がたくさん集まっていて、指揮官らしきやつがいる。あれは幹部級の魔物だな。
だが、それは問題じゃない。
「ルシファー……」
「こんな時に……」
「待て、お前たち。ルシファーは私が連れてきた」
ワグナリア殿を大地に降ろす。
まぁ、やることは魔王軍のせん滅だ。となると、一気に片を付けたほうが早い。私はまず王都を巻き込まないように王都全体にバリアを張った。
「なっ、バリア?」
「我々も動けないではないか! 何をするつもりだ」
「一気に片を付けるつもりだ。この程度の数問題ではない。アルマゲドン」
私はスキル:アルマゲドンを使用した。
空中から無数の隕石が王都周辺に落ちていく。王都はバリアで守られるが、魔王軍の軍勢はこの隕石から身を守る手段がない。
ビッグバンでもよかったんだけどね。範囲ならこっちのほうが大きいし、ビッグバンはバリア壊れかねないし。
「この世の終わりだ……」
「さてと」
魔物は全員片付いたようだった。
跡形も残らず、クレーターだけが残されている。私は魔王軍の幹部だと目をつけていた魔物のところに向かう。
「お前が指揮官だな?」
「な、なな……ルシファーがなぜ……」
「答えろ。お前が指揮官だな?」
「はい……」
「この流星群を耐え抜くとはさすがだな。瀕死寸前だが……。魔王に伝えろ。私の縄張りに手を出したら殺すと」
「ひいいいいいい!?」
私は天使の施しをかけてやり、わざと敵を逃がした。
魔王なんてギャラクシーオンラインにはいなかったが……。この世界にはどうやらいるようだ。
だから、一応この国を私が守ってることを伝えてもらって魔王の牽制になればいいんだけど。魔王の強さとか知らないからもし魔王様が来たら対処できるかなぁ。
「おしまいだな」
私はバリアを解いた。
「ワグナリア殿。せん滅してやったが文句はあるか?」
「このクレーターどうするんだ?」
「…………まぁ、王都には被害がないからいいじゃないか。それよりなぜ魔王軍が侵攻してきているのだ?」
「わからん……。とりあえず騎士団長に報告を急げ!」
騎士の一人が報告に向かう。ワグナリア殿がこちらに近づいてくる。
「ともかく……王都を無傷で守っていただいたことは感謝する」
「あ、ああ。ワグナリア殿がこうも素直に謝辞を述べてくるのはむず痒いな」
「私もどうやら誤解していたようだ。本当に人間と仲良く成るつもりなのだな」
「ああ」
さすがに孤独は嫌だからね!
引きニートだったときはお母さんとかお父さんとかとだけ繋がり合ったし、ネトゲ仲間もいたし一人じゃなかったんだけど一人は嫌だもん……。ぼっちは嫌だ。
「副団長も王都に住む民に避難の必要がないことを伝えに行ったらどうだ? 王都はまだパニック状態だろう。こんな夜中に……」
「そうだな。ルシファー殿は来るか?」
「私が行っても怖がらせるだけだ。残党がもしかしたら残っている可能性もある。警戒だけにしておこう」
「わかった」
ワグナリア殿は王都の中に走って向かう。
まあ、魔力探知スキルがあるから敵とかの位置はすぐにわかるんだけど。異世界に来たばかりだというのに私使いこなしてる。引きこもり天才ゲーマーは呑み込みが早いんだ。
それにしても魔王か……。
ギャラクシーオンラインにはいなかった……というか、いるにはいたけど早い段階で別のプレイヤーに討伐されてたんだよねぇ。きゃろっとまん♡っていうプレイヤーに。きゃろっとまんさんは頭おかしい人だったなぁ。
「もしかして魔王ロールプレイングのプレイヤーが私と同じ転生してきたから魔王としてロールプレイングとかしてたりするのかな」
あり得る。
だってこの世界に転生者は私一人だけ……というのはどうも考えづらいもんねぇ。もしかしたらという可能性だけど……。
でも、私よりは多分強くないんだろうな。私は全世界プレイヤーランキング2位だったし、1位の人は魔王とは真逆の勇者ロールプレイングの人だったし、めちゃくちゃ優しい人だったし。
あんな優しい人がまさかという話はよくある展開だけど……。あの人の場合、聖人君子すぎてそういうのはないって断言できるしぃ。
「わかんないことだらけだなぁ」
謎が多い。
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