第2話

 ここはどこだろう。

 私は突然意識が目覚めた。私はたしか大爆発に巻き込まれてしまったはずだ。トラックが突っ込んできて、バスがおかしくなって、パトカーで事故って……。

 で、ここはどこだろう。

 私は気が付くと悪趣味な玉座の上に座っていた。


「どこだここ」


 周りを見渡しても誰一人いない。というか、日本とは思えない。

 まるで中世のお城のような内装。椅子もまるで玉座のような感じの豪華さを感じ取れる。

 私は玉座から立ち上がり、この風景を眺めてみる。

 なんとなくなのだが、見覚えがある空間なのだ。ここって……。


「ギャラオンの私の拠点、だよ、な?」


 ギャラオンでは私はヘビーユーザーだ。

 親の金で課金し、めちゃくちゃ強くした自分のアバター。そして、拠点もものすごく金をかけてお城を買い、自分のアバターに沿うようにコーディネートしている。

 そのコーディネートした城にそっくりぃ。


「え、なにここ。もしかして私、そういうこと?」


 よくあるラノベである展開、異世界転生。

 私は死んで、ギャラクシーオンラインの世界に転生してしまったということ。なのか?

 もしそうならステータスとか開けたりしない?


 私はステータスと唱えると、目の前にステータスが表示された。


「ルシファー、Lv.999……。私だ」


 引きこもってゲームして、レベルをカンストするまでやりこんで……。スキル構成とか種族とかもろもろ私だった。

 なぜルシファーなのか。それは私が中二病を患っていたからだ。天使という種族になれるという話を聞き、天使になって堕天使になった。だって堕天使がかっこいい響きだったし、堕天使の代表格といえばルシファーだから。


 そんな痛々しい理由でルシファーになったのだが。

 そのルシファーに、今現在、私は転生してしまったらしい。


「マジか」


 正直興奮する。

 ステータスを見ても、私のステータスだ。


『ステータス

 名前:ルシファー 種族:堕天使 Lv.999

 HP:5000000/5000000

 MP:9999999/9999999

 

 攻撃力:3015

 防御力:600000

 魔法攻撃力:999999

 魔法防御力:999999

 器用さ:1000

 賢さ:999999


 装備

 頭:なし 体:賢者のローブ(イージスの鎧) 腕:ゴッドグローブ

 足:神のサンダル アクセサリー:ニーベルングの指輪


 スキル

 光魔法(極み)

 闇魔法(極み)

 HP自動回復

 MP自動回復

 全属性吸収

 全状態異常無効

 魔力探知

 アルマゲドン

 ビッグバン

 子守歌

 バリア

 天使の施し

 飛行(極み)』


 という何ともいかれたスキル構成。

 だってギャラオン、インフレしてんだもん。長く続いたらそりゃインフレするし、ルシファーっていえば魔法攻撃でしょ!っていう感じで攻撃力と器用さを犠牲にして魔法全振りステータスだし。

 いやぁ、現実的に見れば割とおかしいステータスだ。


「こんなステータスで異世界転生始められるってマジよくない? チートにもほどがあるぜ?」


 私の異世界生活、さっそく楽々モード入りました。人生イージーすぎる。神様はやっぱりかわいい子に弱い。

 私はウキウキ気分でとりあえず外に出ることにした。

 本当にギャラオン世界ということなのなら、この世界にはエビル公爵様がいるはずだ。

 推しがいる世界に転生してきた。その事実がちょっと嬉しかったりする。


「さぁ、ギャラオン世界の冒険だ!」


 ウキウキウォッチング。











 

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る