第八話 強い能力
「お、お客様?」
俺がそう尋ねると、メイドは扉を開き、客を連れて来る。
「ラヴィ探偵事務所と聞いたのでやって来ました。コニラスと言います」
ラヴィンに向かってそう言う女性——コニラスの依頼はこうだった。
『無差別殺傷事件の犯人を見つけて欲しい』との事。
まずまず無差別殺傷事件自体初耳だが?
コニラスが依頼をし、その後ラヴィンはミーシャに向かってこう言う。
「ミーシャはんミーシャはん。1日、ここで働かないか?」
ミーシャは少し困った様にして、俺に話しかける。
「ご主人……良いの?」
「いいよ、行ってきな。いい子にしてるんだぞ?」
「……分かった」
ミーシャがそう言い、ラヴィンに向かって言う。
「ミーシャ、行ってもいいけどご主人が居ないと行かない」
そう言ってミーシャは俺を見る。
少し……困った。……いや、だいぶ困った。
これさ、面倒事になる奴じゃね? ……うん、面倒事になる奴だ。
「じゃあミーシャはんとそのご主人。また明日にここ集合や。ほな、また明日〜」
ラヴィンはそう言って小さく手を振った。
その後、手で俺を招いてたのでラヴィンに向かうと、ラヴィンは俺の耳元で小さく語りかけた。
「ほんま足だけは引っ張らんといてな、ほんまに、引っ張んなよ」
*
「ワイの能力について説明せなあかんだろ。2人ともさ、こっち来い」
それは、簡単に言えば錬金術見たいな能力だった。
*
探偵事務所にて。
ラヴィンから因子操術について習っていた。
「この世には、因子っちゅうちっちゃい物質がおる。主に、物の形などを作ってるものや」
現実世界の原子と分子見たいな物(中2理科)らしい。
「その因子っちゅう奴を操術——そのまんまや、操る事が出来る」
原子を操る事ができるって事は……
「因子の形や量を変えることが出来るから、空気中にある因子を変えて……ほな、剣の出来上がりや」
そう言ってラヴィンは無から短剣を出した。
という事は……因子を好きな形に変えることができる……と?
今回は剣だけど、応用で盾を出す事だって出来るだろう。
強くね?
「魔法見たいやろ? せやな、戦闘に使う事が殆ど無いんや。そう、ゴミ能力に聞こえてきたやろ?」
確かに、無から物を取り出したとて何かの攻撃に使えるわけじゃないからこうやって探偵をやっていると。
使用者の力が強ければ、上手く使えそうだけどなぁ。
能力が弱いけど、それを生かした仕事に着いてる……か。
「……強い」
ミーシャが小さく呟く。
「ミーシャはん、なんか言ったか?」
ラヴィンが聞く。
するとミーシャは首を横に振る。
「ううん、何でもない」
「そっか」
そう言うラヴィンは、少し不気味な笑みを浮かべた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます