第五話 何も無かった
「ご主人?」
ミーシャが俺をさすって起こしに来る。
「ご主人……ご主人……?」
何度さすって起こしても一行に目が覚めないソウマに嫌気が差したミーシャは、1度強くソウマの頬をつねる。
するとソウマの目が覚めたので、ミーシャ静かながら笑う。
「痛……ミーシャ、おはよう……?」
「おはようご主人。お腹空いた、ご飯食べに行こ」
そう、お腹を「ぐぅ」と鳴らしながら服の裾を引っ張って来る。
「分かった、分かったから。行こ、行こ」
「やった! ミーシャお腹いっぱいまで食べるぅ〜! ……じゃあ、今日も食堂でアレが欲しい」
ミーシャは大きく喜んだ後、急に大人しくアレが欲しいと要求する。
「……ミーシャ、分かった。アレだね?」
「そう、アレ」
そう言って、アレのある所まで行くのだった。
アレって何?
*
「じゃあミーシャ、アレ。頼んで良いよ」
「本当!? じゃあ、店員さん呼ぶね!」
そうして「店員さーん」と、店員を呼ぶミーシャ。
次、店員が来た。
「ご注文は何ですか?」
するとミーシャはメニュー表を指さしてこう言った。
「このお子様オムライスセットが欲しいです!」
お子様オムライスセット、あんなに喜んでくれたのか。良かった良かった。
「分かりました、オムライスセットですね? ……そちらのお父さんは何を頼まれますか?」
「ファ!?」
急に俺の方に回って来たのもあるが、お父さんと呼ばれた事によって少し戸惑うが、息を落ち着かせ、メニューを見てから言う。
「じゃあ、このコーヒーで。」
「分かりました、コーヒーですね? 準備してきます」
店員が去った後ミーシャは此方に近ずいて来、少し嗤う。
「お父さんだってご主人」
その小悪魔的な言葉に、俺は微笑する。
「そうだな、ミーシャ」
「お父さん、今日もありがとう……大好き」
そう言ってミーシャは俺にハグをした。
こんな平和が、続けばいいのにな……
*
「ご主人?」
時刻は朝。ミーシャが俺をさすって起こしに来る。
「ご主人……ご主人……?」
何度さすって起こしても一行に目が覚めないソウマに嫌気が差したミーシャは、1度強くソウマの頬をつねる。
するとソウマの目が覚めたので、ミーシャ静かながら笑う。
「痛……ミーシャ、おはよう……?」
「おはよう、ご主人。お腹空いた、ご飯食べに行こ」
そう、お腹を「ぐぅ」と鳴らしながら服の裾を引っ張って来た……。
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