クセ

いつものように

佐伯さえき家には止めたいと思っていても中々止められないものがある。理由としてはパパの和真かずまが大学時代、派遣会社に登録をしてチラシ配りであったり、携帯ショップのイベントの集客でビンゴ等をやっていた。


それがあってか、家族でショッピングモールに行くとティッシュ配りをしている人がいたり、契約をするつもりもないのにティッシュの裏にある商品の説明を聞いたりしている。


あの時の自分と重ね合わせて暑い中、寒い中大変だな。両手に持って断られながらでもめげずひやっている姿を見るとどうもほってはおけない気がしてならない。


話が長くて呆れてママの実夢みゆが買い物に行ったり、娘の柚希ゆずきが早く行こう。双子の萌夢もゆ光織みおりが耐えかねて泣き出して話の途中でさえぎるように去って行く時もしばしば。


キッパリ興味ない、急いでいるので結構ですと言えればいいのだが断りきれず家に帰れば大量のポケットティッシュが置かれている。あって損ではないもののありすぎても困る。


また増やしてと困り顔をしているママの実夢みゆだが、その実夢みゆもあまり他人事たにんごとではない。


ショッピングモールで買い物をしていると必要もないのにウォーターサーバーの勧誘に話を聞いていたり、お子さまに英語を習わせるなら早いに越したことはないという常套じょうとう文句に確かにそうかもと頷いている。


話を聞くだけ聞いて契約するとなったら決済者がいないから、買い物はスマホ決済でやっているから財布は持ち歩かないからと契約は全くしないため、相手からしたら説明するだけして契約が取れないという最悪な状況になる。


娘の柚希ゆずきもその現場に遭遇をすればまたかという表情をしていた。そして注意を受けることも度々あった。


「パパもママも優しすぎるよ。買うつもりもないのに話を聞いたら相手の人に失礼。ポケットティッシュを集めているのかと勘違いされちゃうよ。あの家族はヤバいって」


まさか自分の娘の柚希ゆずきにそのように注意をされるとは思いもしなく、夫婦共々ぐうの音も出ない状況であった。人助けのつもりが逆にヒトの迷惑になっていることを実感した。


小学校でも英語の授業がカリキュラムにあり、遅れを取らないように英語は習おうかなと柚希ゆずきの中でひそかに考えていた。


柚希ゆずき、英語に習いたいと思っているんだけどいい?チラシの中に英語教室があるけどどこならいい?」


それを聞いてパパの和真かずまとママの実夢みゆ、大量にあるチラシの中から数枚の英語教室のチラシを見つけてどこにするか話し合っていた。


紙だけでは分からないから全部体験でやってみて娘の柚希ゆずきが1番ここで習いたいと思う所にしようと決めた。金額も頻度もそれぞれバラバラだが、そんなことは関係ないと思っていた。


全ての英語教室の体験を終えて娘の柚希ゆずきにどこで習いたいかを聞いてみると1番金額が安く、月に通う回数が多いところがいい。翌日に手続きをし、即日から教室に通うことになった。

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