小さくても

気をつけて

お友達と公園や駄菓子屋に行ったりとしている娘の柚希ゆずき。車やバイクには気をつけるようにと見送るママの実夢みゆ。すり傷が出来て帰って来ても泣かずに指をさしてやっと気づく時もあった。


この時に言う柚希ゆずきはこう述べる。

「痛さよりも友達と遊んでいる時の方が楽しいもん。ちょっと血が出たくらいで騒いで家に帰るのがイヤ。痛さよりも遊びが優先」


その言葉に心配したママの実夢みゆは娘の柚希ゆずきにこうさとすように伝えた。

「たとえ少量の血でもちゃんと処置しなきゃダメ。これからはちゃんと止血して水で洗って消毒しないとバイ菌が入っちゃうから。バイ菌が入ったらお友達と遊びに行けなくなっちゃうし、痛い思いをするのは柚希ゆずきだよ」


別に怒ったつもりなど毛頭もうとうなかったが、涙目になっていた柚希ゆずきをギュッと抱きしめた。


「ママは柚希ゆずきのことも萌夢もゆ光織みおりと同じくらい好きだし、大事なの。だからケガをしたら面倒でも家に帰ってきて手当てをすること。学校なら保健室で処置してもらえるからムリはしないでね」


すり傷なら消毒して絆創膏ばんそうこうを張れば数日で治るがケガの度合いによっては病院に行って診てもらわないといけなく、骨折となれば日常生活に支障をきたすこともあることもちゃんと伝えないといけないと実感した。


ある日、同じマンションの煌希こうき君と共に行きつけの駄菓子屋に向かった。前にガラの悪い人に絡まれたり、人質になったりとした経験から出かける度にそういうのに出くわすのではないかと気が気ではなかった。


駄菓子屋に入った柚希ゆずき煌希こうき。新しい駄菓子や空くじなしの紐で引っ張るタイプのおもちゃをしたが、欲しいと思っていたおもちゃは当たらなかった。


当たったのはスーパーボールで煌希こうき君とも遊べるし、役に立つか分からないが家で双子の萌夢もゆ光織みおりに渡してボール遊びにも出来るなと考えた。


カバンにスーパーボールを入れた柚希ゆずき、自転車にカバンを置いて家に向かって走り出している時、入れたはずのスーパーボールが飛び出して片手で取ろうとした時に自転車はバランスを崩して転んでしまった。


泣くほどの痛さではなかったものの、血が出てきてとりあえずカバンに入れて置いたティッシュで押さえて止血しようと数分そこで立ち止まっていた。


水で洗って消毒をしたいが、家までは少し離れていて公園からも離れていて洗うことも出来ず、応急処置として絆創膏ばんそうこうを貼って家に帰って行った。


柚希ゆずきはママの実夢みゆに事情を説明して1度、絆創膏ばんそうこうを剥がして流水で洗って消毒をして新しい絆創膏ばんそうこうを貼ってもらう。


その時に注意を受けた。

「くれぐれも血が止まって瘡蓋かさぶたになっても剥がしたらダメ。もし剥がしたら跡が残っちゃうから自然に剥がれるのも待つように」


従順な柚希ゆずきは分かったよ。そう言って興味を示すか分からないスーパーボールを双子の萌夢もゆ光織みおりに差し出してみて軽く投げるとハイハイしながら笑顔で投げ返しいる様子を見て決めた。


このスーパーボールはしばらく双子の萌夢もゆ光織みおりのおもちゃにすることを。

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