過去の自分は

お手伝いするよ

萌夢もゆ光織みおりのお姉ちゃんになった柚希ゆずき。産まれる前からママのお手伝いするよと積極的にお手伝いをしていたが、双子の萌夢もゆ光織みおりが産まれたらその頻度が増えてきた。


ママの実夢みゆとしても助かるし、どちらかが泣いていたら自分があやしてあげようとマラカスを鳴らしたり、赤ちゃん用のおもちゃを渡してみたりと柚希ゆずきお姉ちゃんなりに頑張ってくれていた。


ママの実夢みゆはお姉ちゃんの柚希ゆずきにいつもお手伝いをしてくれてありがとうと伝えて手招きをして呼んだ。

柚希ゆずきはママのお手伝いや萌夢もゆ光織みおりの面倒を見てくれてありがとう。おこずかいあげるからこれからもよろしくね」

そう伝えたが、柚希ゆずきの言葉に度肝とぎもを抜かれる。


柚希ゆずき、おこずかいが欲しくてママのお手伝いや萌夢もゆ光織みおりの面倒見ているわけじゃないよ。ただ、困っているから助けてあげたいって思っているからしているだけなの。おこずかいをもらえるなら貯金しておくね」


もう言うことが大人で自分が柚希ゆずきの立場ならばお金を握りしめて駄菓子屋に行ったり、欲しいマンガとか買うためにもっとお手伝いしたいってお願いをするほどなのに。


打算的ださんてきに考えていた過去の自分を悔いているのと同時に柚希ゆずきに貯金することも大事だけど、もらったお金で何が買えて何が買えないのかを考えることも大事だよと伝えた。


家に帰ってきたパパの和真かずまに話した。

「ママのお手伝いや萌夢もゆ光織みおりのお手伝いしてくれたお礼におこずかいを渡そうとしたら柚希ゆずきはおこずかいもらうためにお手伝いしてる訳じゃなくて困っているからしているだけ」

過去の自分がおこずかい欲しさにお手伝いしてたのかといかに打算的ださんてきだったかと思う。


聞くとパパも同じだった、柚那ゆすなちゃんの発表会やコンクール観に行くのにお金が必要で皿洗いても何でもやりますからと逆にお願いをしたくらいと話していた。


パパの和真かずまとママの実夢みゆ、共に何も物欲がないのかと心配になるくらい物を欲しいと言ってこないことに不安をもっていた。


買い物に行っても柚希ゆずきと同じくらいの子はお菓子やおもちゃを買って欲しいと泣いて親は今日は買わないよと熾烈しれつな親子の争いが繰り広げているが、我が家ではそのような光景を見た記憶がない。


パパの和真かずまが休みの日、娘の柚希ゆずきを呼んで今、何が流行っているのか何か欲しいものはないのかと尋ねてみた。


「保育園でみんなもっているおもちゃやテレビでやっているアニメの着せ替え人形とか欲しいとは思うけど、柚希ゆずきお姉ちゃんになったもん。ワガママ言ったらパパやママに迷惑かけちゃうもん。萌夢もゆ光織みつりにもお金かかるもん」


涙目になりながらそう言う柚希ゆずき、本音を聞けてよかったと思いつつも我慢していたことを知ってそのままおもちゃ屋に行って欲しい着せ替え人形を購入した。


確かに少し値が張るけど買うことにした。

「欲しい物があったらパパやママに言いな。毎回買ってはあげられないけどサンタさんが持ってきてくれるかも知れないよ。ママからも言われと思うけど、おこずかいを貯めて何が買えて何が買えないのか考えることも大事だよ」


パパの和真かずまとママの実夢みゆは自分たちの子ども時代よりもよっぽど大人だなと実感していた。

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