ワクワクドキドキ

遂に

実夢みゆのお腹もだいぶ大きくなって大晦日おおみそかを迎え、年明けにはいつ産まれてもおかしくない時期になっていた。


あくまでも予定日は3月25日の予定だが数週間、数ヶ月早まることもあれば、遅くなることもあると言われている。大晦日おおみそか、年内最後の夕陽を眺めつつ今年も1年が終わるのかと実感をした。


年内最後くらい贅沢ぜいたくしたいとお寿司とオードブルを出前で頼み、紅白歌合戦を観ながら今年1年間を振り返っていた。ママの実夢みゆは食べられるうちに食べておきたいと誰よりも無邪気に頬張っていた。


キレイに食べ終わって談笑しているとインスタントのそばを持ってきた。年末の締めはコレでしょと言いつつ電気ケトルに水を入れて湯を沸かしている。


実夢みゆ、いやママはホントに食べることが好きなんだな。食べている時の顔を見るとこっちまで幸せになるし、もっと食べさせてあげたい気持ちになる。


お腹を触りながら元気に産まれてきてねと声をかけてとパパとしてもっと頑張らないとな。そう意気込んでいた。


それは娘の柚希ゆずきも同じで保育園でももうすぐお姉ちゃんになるの。そう周りの友達や保育園の先生によく言っているみたいだ。


何でも自分でやりたい妻の実夢みゆだが、今まで通りに何でも出来るわけではない。炊事洗濯も家に帰ってだが積極的に手伝う和真かずま。娘の柚希ゆずきも洗濯物を取り込んで畳んだりとそれぞれサポートをしていた。


寒い冬を越えて春になり、2月頃から体調不良が続いて入退院を繰り返していた。産まれそうだなと思いつつも中々産まれない。このような状況でホントに元気な双子ちゃんを産めるのかと家で実夢みゆは泣いていた。


「ママ、大丈夫?柚希ゆずき、何でも手伝うし何でもお話聞くからね」


その言葉に嬉しさと申し訳なさに思わず仕事中の和真かずまにラインをした。

柚希ゆずきが何でも手伝うし、何でもお話聞くよって言われて嬉しかった。それに不安なの、今の実夢みゆがちゃんと双子ちゃんを産めるのか」

ラインのメッセージで頑張ってるよって返してくれればそれでよかったが、電話がかかってきた。


相手は仕事中であるはずの和真かずまだった。

実夢みゆ、大丈夫?適当な理由つけて早上がりさせてもらったから今から帰る。

大丈夫、実夢みゆは俺が守る。だからなんでも言ってね。きっとかわいい双子ちゃんが産まれるよ。きっと双子ちゃんたちも待ってるよ」


1時間後、和真かずまが帰宅して炊事洗濯をしながら保育園にいる柚希ゆずきを迎えに行った。実夢みゆに元気な双子ちゃんが産まれるためならばと家族で奮闘していた。


そして臨月を迎え、産まれそうで産まれない日々がまた続いて予定日の夕方になってもまだ来ない。4月に入っても兆しが見えず、促進剤を打ってもらった。


4月2日の日の出に1人目が産まれ、その2時間後に無事に2人目が誕生した。立ち会いには旦那の和真かずまと娘の柚希ゆずきもいた。


病室に戻った頃には和真かずま柚希ゆずきもぐったり寝そべっていた。2人の頭を撫でてありがとうと伝えた。


名前は柚希ゆずきの希望通りにしようとあらかじめ決めていた。

萌夢もゆちゃんと光織みおり

そう命名した。これから5人の生活が始まるのかと改めて実感した。

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