決まり

定期検診の時は和真かずまは事前に有給を申請をして共に実夢みゆの経過を聞くようにしていて、この日また新たなことが分かった。


それは双子両方とも女の子だという事がほぼ確実だと決まり、進捗しんちょく状況は分かり次第連絡するようにバレエ教室から言われており、報告をするとこの日から産休に入ることが正式に決まり、手続きはしてくれるみたい。


女の子か産まれてくることを前提に名前を考えなきゃと家に帰って娘の柚希ゆずきと共に話し合っていた。その候補には前に柚希ゆずきが提案をしてくれた「もゆちゃん、みおりちゃん」も含まれている。


産休に入って安静にしていなきゃいけない反面、双子が産まれたら家族で旅行に行こうにも中々そういう訳にもいかなくなるのではないかと実夢みゆは危惧をしていた。


確かにママの言う通りだな。娘の柚希ゆずきからどこか行きたい、ここに連れて行ってと言われることがなかったためあまりどこか行こうということはなかった。


これを機にどこか行こうと決めた。そこで娘の柚希ゆずきにどこに行きたいかを尋ねた。


「バパやママがどういうお仕事をしているのか分からないから見てみたいな。後は……遊園地に行ってみたいな」


遊園地に行くなら乗り物やパレード、アトラクションの方がいいよな……。そう考えていた和真かずまだった。そしてジーッと見つめているママの実夢みゆがいた。


もうちょっと話を聞いてと言わんばかりの目で何かを訴えていてとりあえず話を聞こうとした。


「ねぇ、柚希ゆずきこのカチューシャかわいくない?ここの東京とうきょうディズニーランドに行ったらミッキーやミニーだけでなく他のキャラクターもいてかわいくて楽しいよ。行ってみたくない?」


ホントはママの実夢みゆが行きたくて仕方ないのに娘の柚希ゆずきに誘導尋問のように話しかけている。


電車で30分だし、車でも差程遠くないからいいよ。そう言った瞬間、まるで子どものようにはしゃいでいる実夢みゆ。盛り上がりだけならば娘の柚希ゆずき以上ではないかと思う。


スマホでワンデーパスポートを3つ購入するや否や実夢みゆの気合いの入れ方が違っていた。


「パパも柚希ゆずきも明日は早起きしていっぱいアトラクションに乗ってバレードを見るから6時には並ばないと」


気合いの入れ方が違いすぎて娘の柚希ゆずきも引いていた。そこまで早く行って並ばなくても……。そう口に出しそうになりそうになったが、寝坊したら本機で怒られそうだからと早めに寝るように心がけた。


寝坊をしたらダメだとアラームを6時にセットして眠い目をこすって目覚めた。だが、誰よりも気合いを入れていた実夢みゆを何度も揺らしても起きることはなかった。


眠い目をこすっていたのは和真かずまだけではなく、娘の柚希ゆずきも同じだった。早く起こさせちゃってゴメンね。


車に実夢みゆを乗せ、チャイルドシートに柚希ゆずきを乗せて車を動かす。途中でコンビニに立ち寄りって実夢みゆを叩き起して

朝ごはんと小腹が空いた時のためにおにぎりやサンドイッチ、お菓子や飲み物を買ってお店を出る。


車の中でメイクをしていると駐車場に着いて既に出来ている列に並ぶ。久しぶりにはっちゃけようと思ったがあることを忘れていた。


そう、和真かずまはジェットコースターに乗れないことに。だがもうチケットを買ってしまった以上後戻りは出来ないと少し後悔をしていた。

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