柚希の頑張り

参考

柚希ゆずきが帰ってきて1枚の紙をテーブルに置いた。何だろうと紙を見るバパの和真かずまとママの実夢みゆ。それは保護者参観日の案内だったが、その日は和真かずまは仕事だけど、行きたい気持ちもある。


上司に電話ををして相談をしたが、1人でも休むと電車の運行に支障が出るから難しいと言われてしまった。スマホで映像を撮るのでもいいが画面が小さく、見づらいとどうしようかと考えていた。


ならば大きいカメラを買ってそれをママの実夢みゆに託そうと考え、伝えた。するとそれはいいけど上手に撮れる自信がないとのこと。


ひとまず家電量販店のネットサイトで調べてみると初心者向けのカメラも販売をしていてこれなら大丈夫だよとそのまま購入をした。


数日後、家に届いたカメラ。練習で柚希ゆずきを撮っているとブレることなく実夢みゆもひと安心していた。後は電源を入れることだけを忘れないようにと念押しをした。


そして参観日当日を迎えた。ママの実夢みゆにカメラ撮影と娘の柚希ゆずきにいつも通り頑張ってねと家を出る和真かずま


教室の中に入って他のお母さん方に挨拶あいさつをして英語の授業が始まる。バパの和真かずまに録画をしなきゃと録画ボタンを押す。動物の絵を英語で答える感じで柚希ゆずきは積極的に答えていた。


分かっていても恥ずかしがって手を挙げても答えられない子もいる中、物怖ものおじすることなく頑張っていた。授業が終わり、録画を止めて教室を出ようとした。


すると1人の男の子が実夢みゆの前に立って頭を下げた。何事かと思ってどうしたのか尋ねた。

「この前、柚希ゆずきちゃんにイジワルされた子から助けてもらったのありがとうございます」


柚希ゆずきと仲良くしてね。どうして私が柚希ゆずきのママだと分かったのと目線を合わせて聞いてみた。


「あのね、ボクのママが柚希ゆずきちゃんのママはスゴイひとってよく言ってたの。写真も見せてもらってもし柚希ゆずきちゃんのママの写真を見せてもらって会ったらお礼を言いたかったの」


そうなのね。お名前はなんて言うの?そのママはどこにいるのかな?挨拶あいさつしたいからさ。


「ボクね、館山煌希たてやまこうきって言うの。ママ〜。柚希ゆずきちゃんのママが呼んでいるよ〜」


顔を赤くした煌希こうき君のママはやって来た。簡単な挨拶あいさつを済ませてどうして実夢みゆのことを知っているのかを聞こうとカフェに誘った。


大人たちはコーヒー、子どもたちはオレンジジュースを注文をして詳しい話を聞こうとした。

「小さい頃かはバレエをやっていてその当時から朝比奈実夢あさひなみゆさんに憧れていて今でも講師をしつつコンクールや発表会に出ているってスゴいなと思って。烏滸おこがましいですが、ママ友になってもらえたら嬉しいです」


実夢みゆとしてもママ友が1人でもいるに越したことはないし、心強い。断る理由はないと末永くよろしくお願いしますと手を握った。


話が弾み、家を聞くと同じマンションの違う階に住んでいると知ってお互いに知らないだけで顔を合わせていたかもと話していた。


家に帰ってパパとともにケーブルを繋ぎ、テレビで見ようとすると映像が流れない。どうしてなのか調べるとカセットテープが入っていないという初歩的なミスをしていた。


言い訳ではないけど、実夢みゆはママ友が出来たからその方に見せてもらえるかもとしどろもどろになっていた。

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