物騒な世の中

対策

テレビを見ていると毎日のように強盗や殺人事件、ストーカー、痴漢ちかんのニュースが流れてくる。家のあるじ、パパでもある和真かずまとしてはママの実夢みゆや娘の柚希ゆずきに危害がないように細心の注意を払うように話していた。


その対策として防犯ブザーなどで周りに知らせるようにした方がいいと考えた。妻の実夢みゆはスマホを持っているから何かあった時には連絡が取れるが、スマホを持っていない柚希ゆずきをどうするか考えていた。


基本的に自分のやりたいことをさせてあげたいという方針ではいるが、何かあった時のために柔術じゅうじゅつを習わせて置いた方がいいかと考えが揺らいでいた。


「パパ、実夢もバレエをやりたいと思って始めたしそれを今でも講師兼バレリーナとしてやっているから柚希ゆずきのやりたいことをさせてあげようよ。心配する気持ちは分かるけど」


そして柚希ゆずきに大きくなったら何になりたい?そう問いかけてみることにした。


柚希ゆずきね、大きくなったらお姫様になりたい。パパと結婚したいの」

そう笑顔で言う。あまりの嬉しさに泣き出す和真かずまたが、パパはママと結婚をしているから出来ないのと説明をした。


気持ちは嬉しいよと笑顔で抱きしめて美人の妻でもある実夢みゆ、かわいい柚希ゆずきのために頑張っていこうと改めて誓った。


とはいえ、いつ妻の実夢みゆや娘の柚希ゆずきにも被害者になりうるかもと考えるととても他人事ひとごとではない。


ネットで誰でも出来る護身術ごしんじゅつを見よう見まねで犯人役として和真かずまがやって毎日のように練習をしていた。最初は今からするよと言ってからやっていた。


しかし、ストーカーや痴漢ちかんが今からあなたにやりますねと言ったマヌケなどおらず、基本的に人混みにまきれて痴漢ちかんをしたり、夜道や細い街灯の少ない道で待ち伏せするのがセオリー。


そのことも踏まえて色々な場面をシチュエーションを想定をして家に帰ってきてから、公園に出かけた時に遊びに夢中になっている時でも対応を出来るようにしていた。


悪いことをしている人を許さない、泣き寝入りは絶対にしないことを家訓のように毎晩寝る前に暗唱するようにしていた。


そしてもう1つ妻の実夢みゆと娘の柚希ゆずきに大事なことを伝えた。

護身術ごしんじゅつをする時は自分の身を守るためで嫌いな人を懲らしめる時には使わない。困っている人がいたら助けてあげる。


寝る前の暗唱が日に日に増えているような気がしているが妻の実夢みゆも娘の柚希ゆずきもそれは分かっていたし、自分たちのためにと思っていることは分かっていた。


双子の名前を考えないと。産まれるまえになってまだ候補も何もないからとあわてふためいて名付けて娘の柚希ゆずきのように名前の由来を聞かれるかも知れない。


小学校を卒業したくらいに柚希ゆずきの名前には他にもあるよと伝えようと先のことを見据えながら眠りについていた。


パパと結婚したいって言っていた娘の柚希ゆずきが愛おしすぎる。中学生になる頃にはパパのこと嫌い、洗濯物は別にしてと言われる日が来るのかと来てもない心配に涙が出てきた。

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