驚き

もしかして

体調が悪いから今日はバレエ教室を休む。そういった日が数日続いていた。生徒たちから慕われていた実夢みゆを目当てにバレエ教室を通う生徒は地元の蘇我町そがまちのみならず江戸川えどがわを越えて東京都とうきょうとからやって来る子がいるほど。


バレエ教室の講師は実夢みゆだけではなくて数人いるが、特に人気だった。自分でも何がそんなにも人気が出ているのか分からない実夢みゆ。だからこそ体調不良で休むのは気が引ける感じがしていた。


バレエ教室で講師として、バレリーナとして出演している実夢みゆ。有給休暇があるものの仕事が好きだからと全く使っていなかった。


数日家で休んでいても全く体調がよくなるきざしすら感じられなく、前の休みも含めてこの際有給休暇を消化しようと会社との話し合いになった。


和真かずまにその話をして有給休暇を申請したが、症状を聞いても何科に聞いたらいいか分からずとりあえず紹介されたのが近くにある総合病院だった。


翌朝、和真かずま柚希ゆずきを保育園に送ってから総合病院に向かった。

蘇我町そがまちにある総合病院には内科のみならず耳鼻科、眼科、外科、整形外科、救急科、小児内科、小児外科、産婦人科と設備も各科か揃っている。


町立病院もあるが、そこに行くには紹介状が必要になる。だが、実夢みゆが行こうとしている総合病院は大きいが紹介状が必要がいらない。実質的に総合病院に通う人が増えている。


まず、内科に向かった実夢みゆだが特に異常が見られず次に産婦人科に案内をされて向かう。急に気持ち悪くて歩けないほどで車椅子に乗って産婦人科で症状を伝えて診察をしてもらう。すると妊娠にんしんしていることが分かった。


和真かずま実夢みゆがハイタッチをしていると医師から驚くべきことを伝えられ、エコーを見ると双子の可能性があるよ。


「え?双子?」

パパの和真かずまとママの実夢みゆが同じタイミングで答えるほど嬉しさと驚きを隠せなかった。


そのことを伝えられ、バレエ教室に伝えないわけにもいかない。スマホで電話をかけて妊娠にんしんのことを伝えると有給休暇を使い切ったらそのまま育児休暇に入ってもいいよと伝えられた。


ママの実夢みゆをバレエ教室の講師として待っている子どもたちがいることも確か。だからホントに体調不良になったら休むけどそうでなければ講師として全うしたいと伝えた。


バレエ教室に行ってレッスンの前後には子どもたちからはお腹をさすってくれたり、私たちに出来ることがあれば遠慮なく伝えてと子どもたちから励まされていた。


日が経つにつれてお腹がどんどん大きくなっていてパパの和真かずま柚希ゆずきにも迷惑をかけるなと感じていた。


急に調子が悪くなってレッスンの途中で終えて自主練をするように伝えることも多くなり、実夢みゆの教えて欲しいから来てるのに申し訳なさで涙が出ていた。


生徒や他の先生方、バパの和真かずま柚希ゆずき全員同じことを言ってくれていた。

「悩まないで、押しつぶされそうになった時は、遠慮しないでいつでも頼ってよ。」


実夢みゆには多くの人がいると思うとこの授かった双子を元気に産むことが自分の使命だなと感じた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る