第9話 Pure feeling(9)
いきなり呼び出されて。
あゆみは結城がいったい何を考えているのかわからなかったが、彼に言われた通り
翌日の7時、ホクトの1階のラウンジで待っていた。
あれ?
外出から戻った南はあゆみの姿を見つけた。
声をかけようと近づいた時
「・・ごめん。 また遅れた、」
結城が慌てて彼女に駆け寄ったので驚いた。
「あ、いえ。」
立ちあがったあゆみに
「じゃ、行こう。」
やっぱり彼は何も言わずに外を指さした。
「どこに・・行くんですか?」
「ま、とりあえず。 タクシーで行くから。」
結城は細かいことを全く説明せず、彼女の背中をポンと叩いた。
・・って。
南はその場に佇んでしまった。
え?
なにあの二人!
そして思わず眉間にしわを寄せて、思わず二人が出て行ったあとを追ってしまった。
結城が手を挙げて、社の前からタクシーに乗り込んで行ってしまった。
・・いつの間に知り合ってたん????
結城の触手がまたも!?
もう一瞬でいろんなことを考えてしまった。
書類を置きに事業部に行くと、有吏がひとりぽつんとパソコンに向かっていた。
「あ、お疲れ様でーす・・」
南の気配を感じて、ボソっと言った。
さっきのあゆみと結城のことを思い出し、全く関係がないのに南の方がギクっとしてしまった。
「あんたも。 おつかれさん。 もう帰ったら? みんなもう帰ったんちゃうの?」
「あー、みんな出先から直帰みたいです。 電気と戸締りだけちゃんとするように斯波さんから言われました・・」
答えながら意識は全てパソコンにいってるような雰囲気だった。
「あーそ・・。」
この子、知ってるんかいな。
姉ちゃんと結城が・・
や、
あの場面を目撃しただけで、なんもないのかもしれない。
いやしかし。
あたしのこの誰よりも敏感なアンテナが妙に反応してるし。
『あの』結城と姉ちゃんが・・なんてこと知らなかったら
ユーリ、すんごいショック受けちゃったりして・・
またしても南は一瞬にしていろんなことを考えた。
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