第16話 チャンネル登録者
さて、ダンジョン配信をするにあたって、今度はカメラが必要になってくる。
これまで動画をとってきたのはあくまで職場から貸し出されたダンカメだったからな。
自分用に、ダンカメを買わなければならない。
俺と心は、さっそくヨドバシカメラへと向かった。
「ダンカメって、どれがいいんだ……? いろいろと機能があるみたいだけど」
「まずは4K撮影は必須ですね」
「えぇ……? 4Kもいらなくないか……?」
「何言ってるんですか。先輩の動きは細かすぎます。だから4Kが必要なんです。きっと視聴者のみなさんも、もっと細かく先輩の動きを見たいと思ってますよ」
「そ、そうなのか……ていうか、熱意すごいな……」
「当たり前じゃないですか。私も先輩のファンなんですから」
「え……そうなのか。ありがとう」
「まあ、さすがにあれだけの動きを見せられたら、誰でも気になりますって」
ということで、俺たちは4Kのダンカメのコーナーへ。
はぇ~たっかいなぁ……。
4K以上のダンカメは、どれも10万はくだらない。
「それから、144hzは必須ですね」
「そのヘルツって、なにが違うんだ……?」
「ようはフレームレートですよ。一秒間に何コマとれるかどうかです。先輩の動きは素早いので、144fps出るものが必須ですね。そうじゃないと、早すぎてなにやってるのかもはや意味不明になってしまいますから」
「そ、そうなのか……」
俺ってそこまで素早いのか……?
まあ、風魔法を使えばそこそこ動けるけど、あまり自覚はない。
「そして、自動追尾機能はもちろん必須。あとは迎撃ミサイルとかもついていたほうが安心ですね。容量は10TBは欲しいです。あとは耐久性で選べばいいですかね」
「なるほど……いろいろあるんだな……」
「あとはコメント読み上げ機能は必須ですね。いちいちスマホ見ながら戦えませんから。まあ、先輩ならそれも可能なんでしょうが……」
機能をいろいろ見て、一番都合のいいやつを買うことにした。
「って……80万……ひえ……」
「まあまあ、貯金はあるんでしょう? これも先行投資だと思って」
「これでこけたらどうすんだよ……」
「いや、それはないでしょう」
「そうかなぁ……」
なにせ俺はもはや無職だ。
なにも失うものはないからいいんだけど。
「さて、次は……?」
「次はダンチューブに自分のチャンネルを作りましょうか。名前はなににしますか?」
「そうだなぁ……。名前かぁ……【杉田カズのダンデラ!ディドゥーーン】なんかどうだ」
「いいですね。それにしましょう」
「いいのか……」
ということで、チャンネル名はそれに決まった。
「チャンネルを作ったからには、まずTwitterで宣伝しましょう」
「そうだな」
先ほど作ったTwitterのアカウントを開く。
すると、すでにもうTwitterのフォロワーが10万人を突破していた。
「うおおお……すげえ、心。これもう10万こえてんだけど。すごくないか?」
「すごいですよ。それだけみんな先輩に興味津々ということです」
「うーん、なんか実感わかないなぁ」
「そのうち嫌でも湧いてきますよ」
俺はTwitterで、ダンチューブチャンネルを開設したことをツイートする。
【ダンチューブチャンネル開始しました! 動画はまだですが、ぜひチャンネル登録よろしくお願いします!】
すると、ものの5分でチャンネル登録者数1万人を超えた。
「すげぇ……まだ動画だしてもいないのに……」
「じゃあ、さっそく動画とりましょうか」
「え……? 今から……?」
「そうですよ。私とコラボ動画なんかどうですか?」
「コラボかぁ……」
「初めのうちはまだチャンネル登録者が少ないですからね。普通に動画を上げても伸びません。ですけど、コラボすることで、私の視聴者が先輩のところに流れて、大幅なチャンネル登録者数アップにつながりますよ」
「そうだな。じゃあお願いするよ」
ということで、俺は心とコラボすることにした。
心のチャンネル【ダンジョンアイドル心ちゃんネル】は、チャンネル登録者数200万人をも超える大きなチャンネルだ。
そんなチャンネルとコラボすれば、俺の知名度もさらに上がるだろう。
一気に収益化できるかもしれない。
「コラボ動画っていっても、なにやるんだ……?」
「それはもちろん、ダンジョンでしょう」
ということで、俺たちは近場のダンジョンまでやってきた。
【京都タワーダンジョン】だ。
その名の通り、京都タワーの跡地にあるダンジョンだ。
「さあて、じゃあ狩っていきますか」
「そうだな」
俺たちは配信のスイッチをオンにする。
【お……!? 心たんの配信キタコレ】
【コラボ……!? マジ……!?】
【おい杉田じゃねえか!】
【杉田と心たんがコラボとかマジかよ……!?】
【え!? この二人知り合いなの……!? やば】
さて、視聴者数はさっそく5千人。
そこそこってところだな。
まずは上層からはじめていく。
俺はいつも通り、スライムを凍らせて砕く。
「はえー……生で見るとアレですね……。本当にやってるんですね……」
「なにかおかしいか? 俺にはこれが普通なんだが……」
「いや……まあ、おかしいっちゃおかしいんですけどね……」
「他人とダンジョンに潜るのはこれが初めてなんだ。すまない……」
「いや、いいんですよ。先輩が常識外れなのは、例の動画を見れば既にさんざんわかってますから」
配信のコメントが流れる。
【いつものwwwww】
【動画のやつwwww】
【杉田には通常運転ですwwww】
【心たんちょっと引いてて草】
その後もしばらく、俺たちは上層で狩りをし続けた。
心の動画は今までほとんどみたことがなかったが、彼女もかなりの手練れだとわかった。
さすがは人気のダンチューバーだ。
その実力も確かなものだ。
俺たちのコラボは、なにごともなく無事に終了した。
最終的には、俺たちのコラボはTwitterでもトレンド入り。
ダンチューブでは話題の動画欄に乗った。
50万人の視聴者を獲得し、俺のチャンネル登録者は10万人も増えた。
【杉田カズのダンデラ!ディドゥーーン】チャンネル登録者13万人
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