第9話 Ice and flame
『凍てつけ、寒波!!』
冬将軍が両手の刀で衝撃波を連続で飛ばしてくる!
こちらは
ストライフから女神の篭手を伸ばし受けてみると、刀だと強い衝撃を感じるが、女神の篭手は衝撃を殆ど感じず寒波が消滅していく!
有り難うヴァルキュリア!
目の前に障壁を出して、そのまま前に押し出す!
衝撃波を障壁で弾かれるのを悟った冬将軍は脇に逃がれたが、私はもう先を読んでいる!
「
放った移動突きを
「やりますね、
『我に敬意を払うか…ならば最大限の力を以て答えよう!
凍てつく斬撃を乱れ斬りの様に斬り払っていく!
全てが重い!!!
「
こちらも乱れ斬りで応酬してゆく!
『飽くまでも挑んでくるか小娘よ!』
「私には使命がある!敗北は許され…ないっ!」
と、冬将軍の背中から羽心ちゃんが炎を吹いて勢いを削いでくれた!
正面から乱れ斬り、背後から火炎を浴びて大きく傷ついた冬将軍は…
『寒の戻り!』
傷が再生していく!
『再生召喚!』
冬将軍が分裂していく!
『
『承知』
冬将軍が私に、霜将軍が羽心ちゃんに襲いかかる!
「
指先からビームを出すが、交差させた刀に反らされる!
だが、手前の刀が折れたので無駄ではなかった!
折れた刀を捨て、残った刀で真上から縦に斬りかかって来るのを名も無き刀で受ける!
『ほぉ…我が刀を受けるとはなかなかの名刀よのぉ…』
「有り難う御座います…
武器破壊モードに変え、鍔迫り合いの力をそのまま武器破壊の力に変換する!!!
冬将軍の刀が粉々に砕け散るが、吹雪が
『ほぉ、これを見たのは数千年ぶり…良き哉、剛の者よ!』
長刀で再び冬将軍が襲ってくる!
『待てい小娘!』
「いーやーじゃー!刃物持ってる奴は大体悪い奴じゃ!!!」
『うぬの相方も刃物持ってるぞ!』
「あれは見なかった事にするのじゃー!」
『理不尽の塊かー!』
「これでも喰らえ!炎がおーっ!」
『熱っ!あっち!…おのれ、切り捨て御免!』
振りかざされた刀に落ち着いて二本指で白刃取りのモーションを見せ、見事にピタリと止める羽心。
「ふふふ…格下の剣技等、指二本で十分なのだよー」
『えーと…止めるタイミングが遅くて指の間が少し斬れておるが…』
「斬れてなどおらんわ!」
『キレた―――!』
「
二匹の魔狼が冬将軍の攻撃を上手く避けながら身体を喰らっていくが、その度に再生されて一進一退の状態になっている!
「
フレ、ゲリに任せている間にこちらは飛び道具と突進突きを連続で出して詰めていく!
『
その攻撃で魔狼二匹と私の攻撃二手が纏めて潰される!
全方位攻撃!?と思う位の強い範囲攻撃だった!
『小娘、少々舐めておったわ!我が得意技で仕留めるとしよう!』
刀を円上に回して構える!
『
満月の如く斬撃が回転し襲ってくる!!
「おおおおおおっ!」
羽心ちゃんが霜将軍の乱れ斬りを木のサンダル乱れ蹴りで全て防いでいる!
『お主、ただの下駄ではないな?』
「
と、見せびらかそうと上に上げると、すっぽ抜けてピュ―――ンと、何処かに飛んでいった。
「……わーん!サンダルが―――!」
『待たんか小娘ー!』
間抜けな戦いが展開されている。
「
突進する再生不可の突きで極月を貫通し、冬将軍の喉仏に突き立てた!
『む…ぐぅ…』
「グレイプニル!」
最強の拘束で首を繋ぎ止める!
「
必殺の移動居合斬りで上半身と下半身を分断すると、『…
救援に向かおうと羽心ちゃんの方を見ると、ライダーキックっぽい技で霜将軍の腹を貫通してトドメを刺していた!
「羽心ちゃん、強かったね!」
「私は生まれた瞬間から最強!そう神!神なのだよー!」
「それはいいから早く
「それはいいの!?大事なとこなのだよー?!『それ伏線だったのー!?』みたいな」
「
「はううー分かったのだよー…」
子供の世界観は独特で可愛い。
一人一人が皆天使みたいな存在で、ちょっとした魔法なんかだったら使えそうだと思っていたあの頃を思い出してふふってなる。
さぁ、帰ってもう一寝入りして、起きたらママに
そんな事を考えて、寒かったから布団に羽心ちゃんとコロちゃんを入れて寝たら、朝には羽心ちゃんは帰ったのかもう何処かに消えていた。
一階に降りて庭を見ると、羽心ちゃんが作ったであろう雪だるまが笑顔で佇んでいた。
羽心ちゃんは疲れたのかソファーで寝ていたので二階に連れて行ってもうひと眠りした。
病室に行くとオーディンとミニ式部ママも羽心ちゃんと面識があった様で、滅茶苦茶懐かしまれている!
「羽心ちゃん久しぶりー!」
「相変わらず羽心ちゃんがいると、何故かコロちゃんが普通の猫みたいにゃ!」
何故かぽかぽか叩かれるミニ式部ママ。
靄も二人に返し、落ち着いていると小花さんが来てくれた。
「あら羽心ちゃん、今日は本体なのね?」
「しーっ!しーっ!」
「コロちゃんはいつも通り元気ね。何かから開放されたみたい」
「しーっ!しーっ!」
「えっ…まだその設定引き摺ってるの!?」
「わーん!小花が虐めるー!」
周りから
と、その時、ママ達の主治医さんが来てくれた。
「鹿鳴様の定期健診の結果をお伝えしますが、健康状態に関しては問題ありません。最早精神面の問題ですね」
「…そうですか…」
「たた、御存じかと思いますが寝たきりは筋肉量が減っていくので意識が戻った時に寝ていた時間と比例するリハビリが必要になると思います。御二方は英雄であると共に、やっかむ人間も多いですから」
「先はまだ見えないですが、途中で意識が戻る可能性もあるので頑張ります」
「あまり頑張り過ぎない様にな」
「そうそう、休息も人の手を借りる事も必要にゃ♪」
「あの、月詠様?私の気が確かならそこにお二人の小さい頃の霊が見えたり聞こえたりするのですが…」
「残念ながら実体ですし、元気に生きてますね」
オーディンとミニ式部ママの存在に、お医者様の理解が着いて行ってない。
小花さんが休んでおいで、と言ってくれたので家に戻りリビングで飲物を用意して落ち着く。
…
……
………
私、こんなに詰まらない人間だったんだろうか?
今まで何をして生きて来たのかちょっと悩む。
知らせがあるまで何か読もうかと、件の小説を持ってくる。
因みにカバーをしたまま読破し、棚に収納する前にカバーを外すのが読む時のルーティンで、ママ達に誕生日にもらった栞を大切に使っている。
このシリーズは探偵生駒小町が妹と謎に挑んでいくシリーズなのだが、怪奇とリアルのミックスが最後に…
……はっ!読破してしまった!
しかももう日が暮れているし、後ろでカイネがご飯作ってるし、なんなら鈴音さんも横にいるし…
「今、本の世界から戻りました…ごめんなさい」
二人から笑いが上がった!!
「もしかして声を掛けてくれてました?」
「かけたかけた!あっはっはっ!」
「初めて本に集中してる月詠見たけど、親譲りの集中力だねぇ!」
「一度、本を読んでいる時にムービー撮って見返して反省します」
「しなくていいから!月詠のいい処だよ!」
「そうそう、集中力高いのは色々利点だからね!」
なんか飛んだ恥をかいてしまった…
そしてカイネの作ってくれたご飯は思ったより美味しく、料理をしない自分と一線を画す味だった。
式部ママが起きたら私も料理を習おう。
月花ママにも弟子入りしてちゃんと戦い方を習おう。
「雪…溶けないね」
「うん…でもこの雪だるまは残ってていいかな?」
「そうだね…って、あれ?…人が…」
見ると庭の前方に人が二人居た。
古い民族衣装に箕、大きな
「…赤い彗」
「違う!カイネ、多分なまはげよ!」
「母さん!結界を!」
「任せて!」
家の外壁に結界を作る鈴音さん!
庭の外周は元々訓練場として結界が貼ってあるから、更に強化されて自由に戦える!
『悪いごはいねがぁっ!』
手に持っていた鉈をブーメランの様に飛ばしてくる!
「ファングハーケン!」
ストライフのハーケンで鉈を弾き返すと、既に二人が飛びかかってきていた!
「
重そうな鉈を受けてみる!
カイネはもう一体の鉈をミドルソードで受け止めた!
『五穀豊穣、無病息災の為に死んでもらう!』
「神様の無茶振り―――!」
鎬の削り合いをリセットして間合いを取るも、スライディングから蹴り上げを入れられた!
上に蹴り上げられたが、飛行結晶を装着し空中で態勢を整える!
上に鉈で飛びかかって来るなまはげ擬きを受け止めて、至近距離から
だが間髪入れず
ならば!
左手で次元の狭間から一本の、溝が沢山剣身に刻まれた剣を取り出す!
「
昨日の冬将軍の様に交差させ、鉈の一撃を禍焔剣の爆発で弾き返す!
やはり炎に弱いか!?
「成る程、炎ね!召装イフリート!」
イフリートの鎧を纏い、カイネも炎攻撃にシフトする!
もう一体のなまはげ擬きに炎の拳でジャブ、ストレートからの回し蹴りで応酬する!
禍焔剣は対象にヒットする度に爆発炎上するので受けるだけでもキツイ筈だ!
連撃でジリジリとダメージを乗せていくと、なまはげ
「レージング!」
距離を取った処を背後から鎖で絡めとる!
「ドローミ!」
更に空間から鎖で絡め取り動けなくする。
『まだまだぁっ!』
口から猛烈な吹雪を吐くがグレイプニルで首を拘束して動けなくすると吹雪も同時に止まった!
禍焔剣を斜めに顔の前で構える!
「
背骨の様な形で分離した剣をなまはげ擬きに巻きつける!
「
引き抜いた刃のダメージと背骨刃一つ一つの爆発でなまはげ擬きは跡形も無くなった!
「
強烈な拳法の技で吹き飛ばし、なまはげ擬き二号も無事跡形も無く霧散し、靄が回収出来た!
庭にも被害が出てないし、雪だるまも守れた!
戦闘直後でも薄着で寒いから中に入ろうとすると鈴音さんがカイネに怒っていた!
「カイネー!手加減してただろ!舐めプするなって言ってるじゃん!」
「御免御免!いやいや!もうしませんー!」
どうやらカイネは余裕だった様だ!
「それはそうと月詠の、剣を斜めに構えるポーズは見るからに中二病だよねぇ!」
「ママ達の子供なのでもう諦めてます」
『あははははは!』
戦った後も明るい雰囲気になれるのは、矢張り鈴音さんという歴戦の勇者の余裕なのだろう。
「所で月詠、その禍焔剣ていう神器どうしたの?」
「今日、家の掃除をしてる時に隠し棚で見つけて…」
「隠し棚に神器とかあいつらしいねぇ。この家はあの二人の…月詠への愛情で満ち満ちている」
普通の家には備わってない機能で今日は偶然助かった。
ママ達有り難う!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます