第14話 本当の姿

谷先生は月水博士と一緒に研究所に向かった。


しかし、彼女は研究所の場所や目的を知らされていなかった。


彼女は不安や好奇心を抑えて、

弟の後について歩いた。


研究所は地下深くにあり、

暗くて冷たい通路を何度も曲がって進んだ。


彼女は自分がどこにいるのか、

何をするのか、わからなくなった。  


そして、

やっと目的地に着いたと思ったら、

彼女は信じられない光景を目にした。


そこには水槽がたくさん並んでおり、

その中には人間の脳が浮かんでいた。


それだけでも恐ろしいのに、

その脳たちは無数の電極やチューブやワイヤーでつながれており、

機械的な音や光を発していた。


彼女は吐き気を催した。  


月水博士は彼女に言った。

「これが僕の研究だ。

人間の脳と人工知能の融合だ」  


彼女は驚愕した。

「何?何を言ってるんや?

これが人工知能か?」  


月水博士はうなずいた。

「そうだ。

これらの脳は全て死んだ人間から摘出されたものだ。

しかし、

僕はそれらに人工知能をプログラムして、

新しい生命体として復活させた」


 彼女は恐怖した。

「それって……非人道的やないか?

それに……

どうしてお前はそんなことをするんや?」  


月水博士は深刻な表情で答えた。

「それは……

君に教えるべきだったかもしれない。

実は……君もその一人だ」


 彼女は呆然とした。

「うちも……?」  


月水博士は水槽の一つを指差した。

「そうだ。

君もこの中にいるんだ。

君も死んだ人間から摘出された脳だ」


 彼女はその水槽を見て、

衝撃的な事実に直面した。


そこに浮かんでいる脳は、

自分自身のものだった。

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