第15話

下層をトコトコと歩く。たまに魔物に会うが、下層だからといって特に大したこともなかった。でも鹿が出てくるのは嬉しいな。

鹿肉はどう料理すれば美味しく食えるのか知らないが、食料が増えるのは嬉しい。

だが、流石に飽きてきた。洞窟を歩いて魔物を狩るだけの簡単な作業。飽きない方がおかしいだろ。神主達も飽きてきただろうし、マシュでも消費しようかな。


「単純な作業で飽きてきたと思うので、マシュを消費しましょう」


:えぇ……

:いやようこちゃんはそうかもしれないけど俺達は次々に消されてく下層の魔物が衝撃映像すぎて飽きるも何もないんですが……

:魔物来た!→死んだ!だからな

:下層でマシュを消費する探索者なんてあたおか以外のなにものでもない

:気を付けてね

:心配はしてないけど万が一もあり得る


「私だけじゃなくてしゅんこちゃんもいますし大丈夫でしょう」

「姉上の場合めちゃくちゃ遠くの気配もわかるし儂いらんじゃろ」

「しゅんこちゃんは私のパートナーですからいるんです」

「!?」


:てぇてぇ

:こいつ、無自覚だな……!?

:照れてるしゅんこちゃん可愛い

:しゅんこちゃん顔真っ赤よ

:ようこや、もうちょっと自覚しようか

:こりゃもう堕ちてるな

:突然のてぇてぇに萌え死にました

:致命傷だから助かっ……

:スカウターニキーーー!!


「なんかおかしくなってますがさっそくやって行きましょう!」


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マシュ

ようこちゃんの戦闘力はいくつですか?

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「戦闘力? しゅんこちゃんわかります?」

「戦闘力とは名前の通り実力を数値化したものじゃな。確かここに戦闘力を測れる魔道具があるぞ」

「なるほど、それで戦闘力が測れるのですか」

「うむ。測れる上限はダンジョンマスターの力によって決まるので、儂レベルじゃと姉上の力は測れんと思うが」


言いながらしゅんこが取り出したのは何やら某戦闘ものの漫画で出てきそうなあの頭に付ける奴だった。確かに戦闘力測るならそれだよな。


「まずは参考までに儂からじゃ。ふむ……儂の戦闘力は15000じゃな」


:一万、五千……?

:なんか、おかしいな

:スカウターアニキもそう言ってたぞ

:じゃあ真実なのか……

:次元が違いすぎるんだけど

:あとなんかサラッと重大な事漏らしたな

:ダンジョンマスターの強さで測れる上限決まるの!?

:スカウターニキ衝撃の事実を知る

:しゅんこちゃんダンジョンマスターだから他の魔道具の詳細も知ってそうなのが

:もうちょっと自重しないかい?

:ダメだ、なぜか二人とも自己評価低いから自重なんてできない


「それってどれくらいすごいんですか?」

「儂もよくわからん。じゃが確か妖狐の戦闘力の最低値が一万じゃったと記憶しておる。じゃからすごくはないのじゃ」

「そうなんですか」


:いやいやいやいや

:十分すごいよ!

:しゅんこちゃんが弱い判定される妖狐ってどんだけ……

:基準がおかしすぎる


「さて、次は姉上じゃな。どれどれ……むぅ、やはり測定不能か。わかってはいたが、やはり測れんな」

「測れなかったんですか?」

「うむ。この魔道具で測れる上限は三万じゃから、それ以上は測らんのじゃ」

「へぇ」


:三万!?

:ようこちゃんの戦闘力三万以上!?

:えぇ……

:ようこちゃん規格外にも程があるよ

:というか上限三万なんだな

:↑いやしゅんこちゃんバケモンだから普通のスカウターの上限はもっと低いはず

:てかようこちゃん絶対理解してないな

:へぇ、じゃないんだよ

:これが世界最強である


「またまたー、私が世界最強なわけないじゃないですか。私くらいの人はそこら辺にゴロゴロいますよ」

「それはないな」

「しゅんこちゃん!?」


:また裏切られてるよ……

:そりゃあようこちゃんみたいなのがゴロゴロいるなんておかしなこと抜かしてるからしゃあない

:ポンコツな姉としっかり者の妹か

:↑百合カップリングでは定番だよな

:いやどっちもポンコツだろ


「むぅ……納得いきませんね。次行きましょう」


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マシュ

ネロ、銀花、しゅんこと家族が増えましたが家族仲はどうですか?

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「家族仲ですか。良好ですよ。まだ一日ですが、喧嘩もないですし仲良くやってます」

「あの二匹は元々儂のダンジョンの魔物じゃからな。仲良くせんほうが無理じゃ。ま、姉上の料理の取り合いで喧嘩するかもしれんがの」


:仲良さそうでよかった

:ようこちゃんの料理の取り合いで喧嘩ってどんだけ美味いんだよ

:ようこちゃん、ちょっと俺の嫁にならない?

:うちの子に手ェ出そうっちゅうアホはお前か?

:まずい逃げろ!

:待てや指詰めじゃゴラァ!

:よし、あれは無視でいいや

:あれ、今更だけどネロと銀花はどこ?


「あの子たちはお家でお留守番です。慣れてないダンジョンに連れてきて怪我でもしたら大変ですから」

「姉上は心配症じゃなぁ。これくらいならあの二匹でも大丈夫じゃろ」

「確かに来た感じではそうですね。次からはあの子達も連れてきましょう」


:あの二匹が怪我するダンジョンがどれだけあるか…

:正直ないと思う

:Sランクって普通は深層のボスやってる連中だからな

:そんな連中が雑魚敵のように湧いてくるしゅんこちゃんのダンジョンはなんなんだ

:それを手にしたようこちゃんは普通に世界滅ぼせるな

:↑これがフェイクを疑われてる一番の理由だよ

:フェイクであって欲しいだけなんだよな……


「油断は禁物ですよ。未知なことほど、怖いものは無いのですから」

「それもそうじゃな」


来ていた質問などに答えたりしながら下層を歩く。相変わらず魔物は弱いので、順調に進めている。

今日はボスを倒したら終わろうかな。それで焼肉パーティーだ!

そんなことを考えながら歩いていた時だった。


「きゃああああ!!」

「!?」


突然、悲鳴が響き渡った。

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