第6話

次の日、俺達は朝食を食べ終えたらのんびりと寛いでいた。ネロとじゃれたり銀花とじゃれたり。ものすごく楽しい日々だ。

いやーほんとにかわいいんだよなぁ、こいつら。甘えてくる時とか本当にもうね、最高だね。

そうしてゆっくりと配信の時間まで過ごした。

20時、俺は自宅にて配信を始めた。


「はいみなさんこんばんは。新人ダンチューバーの狐坂ようこです。今回はマシュにきた質問などに答えていきます」


:お、私服だ!

:かわいい

:私服よき

:仮面はそのままか

:私服ようこちゃんかわいい



今回は雑談枠。事前にマシュで質問を頂いているのでそれを読んでいく。


「ではさっそくやっていきましょう。まず一つ目はこちら」


________________________________________________

マシュ

ようこちゃんに質問です。ようこちゃんはなんでそんなに強いんですか?

________________________________________________


「こういう質問結構ありました。ですが皆さん、私は初心者ですからね? 初心者の私が強いわけないじゃないですか」


:まーた変なこと言ってるよ

:ようこちゃんが弱いならその他の人類全員雑魚になるんですが

:いい加減気付いてくれよ

:俺達は正常なんだ!


「む〜、では私が異常と言いたいんですか?」


:そう

:うん

:それは間違いない

:誰一人として否定しないの草なんだ

:いやだって、ねぇ?


えぇ………。マジで俺異常と思われてるのか?

いやいや絶対違うな。だって俺今妖狐だけど少女だぞ?

少女でもあれくらいできたんだから大人なら誰でもできるに決まってるだろ。

よし、お前らがそう言うなら俺も乗ってやろうじゃないか。


「いいでしょう! もし私が異常だったら皆さんの言うこと一つ聞いてあげます」


:おっ?

:言ったな?

:これは……

:え、今なんでもって……

:それは言ってない

:俺達大勝利!

:とりあえずメイド服着てもろて

:いや猫耳を

:激辛焼きそばを食べてもらおう


「なんであなた達が勝った前提で話が進んでるんですか! もういいです、次です!」


________________________________________________

マシュ

仮面外さないんですか?

________________________________________________


「これも何件か来ていましたね。仮面を付けてる理由は配信にインパクトが欲しかったからです!」


:イン、パクト?

:狐の仮面よりロリが素手でSランクの魔物ぶっ殺してる絵面の方がインパクトあるんだが

:これ以上インパクトを求めないでもろて

:狐の仮面は正直インパクトあんまないな

:他が濃すぎるんだわ


「え、そんなにインパクトなかったんですか?」


まじか。俺的にはこの仮面あってこその俺だと思ってたのに。むー……じゃあこれ仮面付けてる意味あるのか?

インパクトをつけるっていう目的はどうやら果たせてないっぽいし、このまま着けてても正直無意味だ。でも外すのもなんかなー……。

そうだ、ここは視聴者のみんなに聞いてみよう!


「あのみなさん、仮面、外したほうがいいですかね?」


:え

:なに?

:お?

:え、外してくれるんですか!?

:ようこちゃんの素顔が見れるだと!?

:ぜひ!

:はよ

:ぜってぇかわいいぜぐへへ

:さあ早く外すのだ!


「どうやら外して欲しい人が多いようなので外します」


俺はそう言って仮面に手を伸ばす。正直めっちゃ緊張する。一応これが素顔を晒す初めての機会だからな。

でも迷ってばかりではいられない。思い切って仮面を外した。

結果、コメントが止まった。


「ど、どうですか?」


止まったコメントに向かって質問を投げかけてみる。無反応が一番怖いんだ。早くなんか言ってくれ。


:はっ!?

:今、時が止まった

:言葉を失うとはかいうことか

:尊い

:美しい

:かわいい

:かわいい

:かわいい

:かわいい

:かわいい


「ふぇ!?」


いきなり何回もかわいいとか言うな!

顔から火が出そうだわ!

まずい、本当に顔が熱い。


:何今の声

:かわいい

:顔真っ赤

:かわいい

:可愛すぎる

:尊い

:ああっ

:かわいい

:かわいい

:かわいい

:かわいい


「ちょ、ちょっと待ってください!」


かわいいかわいい言いすぎだお前ら!

これ以上は俺の命が危うい。即座に仮面を付け直す。

めちゃくちゃ残念がられたが恥ずか死ぬので許してほしい。

ただこれだけは伝えておこう。


「かわいいはあまり言わないでください。特に私には。恥ずかしいので」


:えー…

:ふっ、丁重にお断りする

:恥ずかしがってる女の子に追い討ちかけるのがいいんだろ!

:かわいい子にかわいいって言って何が悪い!

:そのご尊顔拝ませろ!


「うぅ……次です!」


________________________________________________

マシュマロ

今のパンツの色をお教えください

________________________________________________


「………なぜかこの質問が一番多かったです」


:おいお前ら……

:たくなにしてんだよ

:神聖領域を知ろうとは、愚かな奴らよ

:どうせお前ら全員聞いたろ

:なぜわかった

:まさかエスパー?

:お前らさぁ……

:でも知りたいでしょ?

:それはそう

:ようこちゃん、で、何色?


「し……言うわけないじゃないですか!」


:なるほど白か


何故バレた!?

ちっ、勘のいいリスナーは嫌いだよ。

それにしても、雑談配信ものどかでいいな。たまにはこういうのもいいかもしれないな。

よし、次行こう。


________________________________________________

マシュ

ようこちゃんリスナーの呼び方などは決めないのですか?

________________________________________________


「呼び方ですか……いります?」


:いる!

:できたら欲しいな

:べ、別に欲しくないよ?(チラッ

:欲しいか欲しくないかで言うとめちゃくちゃ欲しい


「そうですか。なら考えましょう。何がいいです?」


:丸投げされた、だと!?

:ちなみにようこちゃんは何がいいと思う?


「わたしですか? そうですね……ポチ?」


:よし、それでいこう

:ポチか、いいね

:合法的にようこちゃんの犬になれるとはなんという幸せ!

:ワン!


やべぇこいつら本気にしやがった!

ちょっとボケただけじゃないか、そんなに本気にしなくてもいいだろ!


「……さすがにポチはなしですからね」


:えー

:そんなー

:俺達はいつでも犬になるよ?

:ワン!


「私にはネロと銀花がいるので十分です。真面目に決めましょう。リスナーのみなさんは大事にしたいですから」


:ようこちゃん……

:俺、改めて君のことが好きだよ

:俺たちのことをそんなに思ってくれるなんて……

:名前か……狐のお面被ってるから狐の子とか?

:ようこちゃんは俺らのママだった?

:ママ!

:ママーー!


「誰がママですか、真面目に考えてください!」


俺は脱線しだしたコメント欄に喝を入れる。本当にしっかり考えて欲しい。これで俺のリスナーのイメージが固められると言っても過言ではないからな。


:はーい

:しっかり考えるかー

:無難にようこちゃん観察隊とか?

:ぶ、無難?

:巫女服から考えて、神主とか

:旦那様とか

:お父さんとか

:待て、お母さんもいるぞ!

:どけ! 俺はお兄ちゃんだぞ!!

:私はお姉ちゃんよ!


「………神主さんというのはいいですね」


:スルーした!?


いやだってさぁ、まともなのこれしかないんだぜ?

あと下手に構ってたらこいつら調子乗るからな。ふざけるのも程々にしてもらおう。


「では私のリスナーは神主に決定です。神主の皆さん、いいですね?」


:はい!

:なるほどようこちゃんのご主人様か

:↑考えようによってはそう言うことか!

:ようこちゃん、ご主人様って言って


「いやです。次です」


:食い気味のいやです興奮する


こいつら無敵だろ

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る