第18話 ケモミミさんは買い物にいく
「……えっちはマロンたちが寝てるときにやるです…」
「………やって…ないですよ…」
オレは震える腰をトントンと叩きつつ、起き上がろうとする。足がガクガクと震えて、生まれたての小鹿みたいになっているがなんとか壁を支えにして立ち上がった。
改めて、
2人はぶるぶると震え、互いに抱き合っている。なんだか双子みたいで微笑ましいな…
「…エリィ…プリン様…後で飲んで欲しいものがあります…」
「…飲んで欲しいもの…ですの?」
「…あっ」
エリィは気付いたみたいだ。さっきまでオレに怒られると恐怖に歪めていた顔が、面白いくらいに真っ青になる。
「……大丈夫ですプリン様…栄養は満点ですから…」
「な、なんですの?…い、嫌な予感がしますわ!こっちに来ないでくださいまし!!」
「あぁ…!あぁっ…!だ、だめなの…っ!」
「…あのエリィさんがとんでもなく拒否反応を起こしてるです…一体何を飲ませるですか…?」
ふっふっふ…2人にはオレ特性、栄養満点オーク汁を飲んでもらおう。
たっぷり味わうがいい!!
「「いや~~~~~~ッ(なの)(ですわ)!!!」」
オレとエリィは今、王都の中央広場に来ている。流石王都、夕方なのもあるだろうが物凄い人だ。気を付けないとエリィとはぐれるな、これは。
「げー……なの…」
エリィはさっき飲ませたオーク汁が未だに口の中に残っているようだ。
…まぁあれは特別ブレンドだからな。くっそ苦い薬草やらキノコを混ぜてるからオレでもキツイんだよな。
プリン様は飲ませた後、首を絞められたのかと勘違いするほどに顔を青くした後、胃の中のモノをリバースした。掃除大変でした…。
予想外だったのが、マロン先輩がオーク汁を欲しがったことだ。
イッキ飲みをした後、「……美味しいですー!!!」と見たこともないキラッキラの笑顔で言っていたのに、オレは恐怖した。
人の味覚をあれだけ心配したのは人生で初めてだった。
「あそこに八百屋さんがあるのー!」
そうそう、オレたちは2人で買い物に来ている。メイド長に食材を買ってこいと言われたのだ。
貴族は普通、貴族街にある商店などで買うのだが、そこは安定のトゥンベリア家。金が無いっ!…ので、中央広場に来ているワケだ。
普通、こんなところにメイドさんはほとんど来ない。貴族は見た目やら噂を気にするので、見栄はりの為にわざわざ高いものを買ったりするのだ。オレにはよくわからんね。贅沢とは程遠い生活を送ってきたから。
で、オレたちはメイド服を着ている。オレに関してはへそだしメイド服だ。恥ずかしすぎる。
現に、周りの人から奇異の目で見られている。知り合いに会ったらマジで恥ずか死してしまう。
「おかあさーん、ちじょがいるー」
「こらっ!見てはいけません!」
悪かったな!チクショー!こちとら金がなくてこんなエロい格好しねぇといけねぇんだよ!!好きでやってるわけじゃないわっ!!!
心の中で親子にキレていると、袖を引っ張られた。エリィが引っ張ったようだ。上目遣いで恥ずかしそうにしながら言ってくる。
「エリィは…その格好…好きだよ……?」
むぐッ!!こ、この…
「フン…」
別に嬉しいなんて思ってないからねッ!!
オレはご機嫌で、鼻歌を歌いながら買い物をした。…そんな、いい気分は一瞬で終わってしまったのだが…
「……アイン?」
げっ…あのつむじはげは…
「……アゼル…」
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