第10話 ケモミミさんは魔法を学ぶ
「「「わぁ~っ」」」
オレは今、子どもたちに見られている。複数のキラキラした瞳から放たれる興味津々ビームはオレの体を貫通しそうだ。オレを珍獣だと思ってないか君たち…よせやい、照れる!
「大きーい」
「ふわふわー」
「すべすべー」
「…ふぅ」
子どもたちはオレの至るところをぺたぺた触ってくる。こらこら、君たち、しっぽを触るでない。毛が抜けてしまうだろう?そして最後のやつ、ちょっとこっちこい!
「ふふん!アインはすごいの!」
エリィはほんの、ほんの少ししかない胸をはり自分のことのようにドヤ顔している。エリィさんや、皆にお別れの挨拶をしなくて良いのかな?
「あっ、忘れてたの!」
エリィが皆と喋っていると、シスターがオレの横にやって来た。
「アインさんは子どもたちの扱いが上手ですね」
「……別にそんなことはないと思うが…ん?」
ふと、後ろから服の裾を引っ張られたので振り返る。そこには8歳くらいの少女が、綺麗な水晶玉を持っていた。驚くことに彼女はダークだ。内気そうな見た目をしているが、オレが同じ肌の色で仲間意識を覚えて勇気をだして喋りかけてくれたのだろうか?実際、シスターも驚いている。
「……これあげる…」
少女がオレの手に水晶玉を渡してきた。落としそうになったので焦ってしっかり持とうとすると──
「──のわぁっ!?」
突然、水晶玉が白い光を放ちだした。目が、目がーっ!ショボショボする目を擦りながら水晶玉を見つめる。うん。なんの変哲もない水晶玉だ。何だったんだ?今の…
「まぁ!アインさん、魔力がとっても多いんですね!」
「…は?魔力…?」
「その水晶玉は光の強弱で人の魔力量を、色で適している属性を教えてくれるんです。アインさんの場合は…白なので無属性ですね!」
「へーぇ…無属性…か」
シルヴァ村で魔法を見たのはたった一回だけだった。もともと獣人族は生まれつき身体能力が高い代わりに魔力量が少ないらしい。そんななかで同年代の女の子が一人だけ魔法を使えて神童なんて呼ばれてたっけ?オレのことをいじめてきてばっかだったから悪童だと思ってたよ。はっはっは!
「…無属性って何が使えるんだ?」
「そうですね…火属性なら炎を操れたりするんですけど…たしか…身体強化魔法ですね」
ほうほう…定番中の定番だね!
「…他は?」
「えっと…その…」
……え?ないの?
「いやいや!もっと他にもあるんですよ?……ただ、私はこれ以上知りません…うう、役に立てなくてすみません…」
そっかぁ…まぁオレも一応魔法、使えたんだな。その情報がわかっただけで満足です!ただでさえ身体能力が高い獣人が、ほんのちょっと身体強化してもわからないけどね!
「エリィも魔法使えるの!?」
「…それは水晶玉を触らないとわからないだろ?」
そう言ってオレはエリィに水晶玉をそっと渡す。
「わぁ…」
ぺかー
まぶしっ!黄色に光ったね…光属性だろうか…
「これは…聖属性ですね…」
おしい!聖属性でした!確かにエリィは見た目が天使みたいだから聖属性でもおかしくないね。後で聞いた話だがこの世界には火、水、風、闇、聖、無属性の6属性らしい。土や、氷とか他にもあるらしいが基本的にはこの6つだ。ちなみに、2個以上属性が使えるのはかなり珍しいことらしい。今の宮廷魔術師なんかは3つ使えるそうだ。チートだね!
「ね!ね!エリィはどんな魔法使えるの!?」
「聖属性は私と同じく、浄化魔法や回復魔法が使えますね」
「わぁー!アインに汚い女の人がたかってきたらエリィが魔法でやっつけるの!」
え、エリィさん?発想が怖いですよ…?ヤンデレエリィがオレの太ももに抱きついてくる。いや、ほんと扱いに気を付けないと後ろから刺されそうだなぁ。
そう思うオレであった…
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます