第9話 ケモミミさんは孤児院にいく

買い物を終えたオレたちは次にどこに行くかを話し合い、エリィが住んでいる孤児院に行くことにした。


「...エリィ...本当に働くつもりなのか...?」

「うん!孤児院ではみんな12歳から働くんだよ!」


この世界では成人する年齢は15歳からだが、12歳から働けるのである。といっても、雑用などがほとんどだが。


エリィ曰く、今年の春に働く場所を探すつもりだったが風邪を引いてしまい、時期を逃してしまったせいでほとんどの働ける場所は定員オーバーになり、なかなか仕事を見つけられなかったそうだ。


しかし、保護者がいる場合は子どもだけでは働けないようなものでも働けるようになるので、オレにその保護者になってほしいそうだ。


...まぁ、オレもアゼルたちに貰った金がそろそろ尽きそうだったし、渋々了承したわけだが...そのことを孤児院のシスターに伝える為にオレはエリィに連れられている。


繋いだ手をちらちらとみて「えへへ」と嬉しそうに笑い、浮かれているエリィは、そのまま天へと昇っていってしまいそうだ。こら、余所見してると危ないぞー。


「ついたの!」

「......おお」


孤児院は協会と繋がっていると聞いていたので、それなりの大きさはあると思っていたが、想像の倍大きかった。協会という場所だけあって厳かな雰囲気がでている。そういえば、この世界の宗教についてなにも知らないな。シルヴァ村では森の守り神がどうのこうのと言っていたが、人間の宗教については何も知らない。知らないうちにタブーを犯して追い出されたりしないかなぁ、なんて思いながらエリィと一緒に中へと入った。






「ただいまなの!」


エリィが大声を上げて自身の帰宅を知らせると、奥からシスターらしき人物が出てきた。


異世界あるある。シスターのくせにやけにスタイルのいい若いねぇちゃんキター!

ボンキュッボンのその肉体に肩まで揃えた金髪。優しげな笑顔を浮かべるその御顔はまるで女神のようだ。...あれ?この顔どこかで...


「...セレナちゃん?」

「...?セレナを知っているのですか?」


話を聞くと、どうやらシスターさんはセレナちゃんのお姉さんみたいだ。だから似てたのね。納得。森でのことを話すと、めっちゃ感謝された。ちょっと恥ずかしい。

照れくさそうにしていると視線を感じたので、顔を向けるとジト目でオレのことを見つめるエリィが。

なんだい?嫉妬かねエリィくん?ふふふ。


「アインはすごいの」

「...ん?」

「アインは強いの」

「......オ、オウ?」

「アインは可愛いの」

「.........」


どうしよう、エリィがオレのことを褒めるだけのBOTになっちゃった...


その後、オレをずっと褒め続けたエリィを見ていたシスターが口を開く。


「エリィがこんなに人に懐くなんて...アインさん、一体何したんですか?」

「......いや、まぁ...助けたというか...」

「アインはね!エリィのお嫁さんになるの!」


「まぁ...」と頬を染め、微笑ましげにこちら見てくるシスター。オイ、アンタからもこの子に言ってやれ。女同士は結婚できないぞって......いや、異世界だからいけるのかな?取り敢えず沸いてでた疑問は心の中にしまっておく。


「...んんっ!エリィ...?シスターに言うことがあるんじゃないのか...?」

「あっ、そうなの!えっとね、アインにほごしゃ?になってもらてエリィも働くの!」

「まぁ、そうなのですか...あまりにも仕事が見つからないので来年の春まで待っても良かったのですが...そういうことならエリィのことをお願いしますね?アインさん」

「...まぁ、この子が無茶しないよに見張っとくよ...」

「エリィは無茶なんかしないもん!」


ぷんすかと怒るエリィを横目で見ながら、オレはシスターに質問をする。


「...それで、仕事を探したいんだがどこで見つけられるんだ?そのまま職場に頭を下げにいくのか?」

「商業ギルドに行けば、幾つか受けれる仕事があると思います。登録をしなければなりませんが、他よりは全然マシですね」


ほーん...じゃあ商業ギルドで登録しに行きますか...


「エリィ、孤児院の皆に会いにいきませんか?これから働くとなると、会える機会はかなり減りますからね」

「わかった!そうするの!」


それじゃあ...オレはここで待って──


「アインもいくのー!!」


ですよねー!

オレはエリィとシスターに連れられ、子どもたちのところへ会いに行くのだった。



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