第1話 ケモミミさんは寂しい

あれから数年がたった。里を追われたときは12歳で、身長も胸も小さかった......が!

ご覧なさい!!ワタクシ、アイン!今や身長は190センチ以上!軽くDは越える胸のサイズに森で狩猟生活をしていたおかげか腹筋は割れ、セクスィーでグラマラスな体型に!!


まぁ自慢する相手がいないんですけどネ...


「......寂しい」


もう何年も誰とも喋っていない。いや、オレだって友達作ろうとしたんだよ?そしたらどうだい!ブヒブヒ言いながら

「オンナダ!オカセ!」

と見つけ次第襲ってくる豚の巨人に、

「オンナ!オンナ!」

女しか脳がない緑色の小人。

後はバカデカい動物しかいないんすよね!


友達できるかぁっ!


だからもうね!イマジナリーフレンド作っちゃったよね!紹介しまぁ~っす!!17歳の男子高校生、田中くんです!!!


『オッス!オラ田中!趣味はコサックダンスです!』


.........はぁ。なにやってんだろオレ...






最初の2年くらいは田中くんと一緒に過ごした。1日12時間くらいは喋り倒したもんね。でもこれ端から見たら1人でず~っと喋ってる痛い人なんよね。うん、意識してから恥ずかしくなったんだよね。バイバイ田中くん。楽しかったよ。


しょうがないでしょ!?1人でずっと不安だったんだから。マジで死にかけたこともあったし!人が恋しいの!会いたい!!


......そんなことを思っても、やっぱり人と会うのが怖い。また、魔族だ!悪魔だ!って言われて、殺されそうになるんじゃないのか。



怖い。怖い。

震える体を抱き締める。......こんなにも怖い筈なのに...でも、心のどこかで願ってしまう。


たった1人だけでも、両親のように接してくれるのではないか?


そんな淡い期待を抱きつつ、重い腰を上げる


......ホントに重いんだけど...オレの尻でかすぎだろ...ぷりぷり。


ぱちん!と自分の頬を叩く。

不幸だと思えばもっと不幸になる。ネガティブな考えはもう終わりっ!楽しいことだけを考えよう!


「幸せに生きるって決めたんだ...生きてやる......!絶対に幸せになってやる...っ!」


オレは希望への第一歩を踏み出した。




「ふわぁ~ぁ」


朝。とはいっても太陽はでていないが。

オレは羊みたいな動物の毛皮から作ったモコモコの毛布を払い、立ち上がる。う~ん、やっぱり地面で寝ると体がバキバキだ。


ぐーっと背筋を後ろに伸ばす。ぽきぽき。血液の巡りが良くなって気持ちが良い。首をコキコキと鳴らしつつ、干してあった熊の肉を齧る。


ん~、相変わらず美味いなこの肉...それにしても、オレはなんて名前の動物の肉を食っているんだ?


身長は3メートルぐらいあり、その両の手には鋭く長い爪、まるで燃えるような赤い瞳を持つ熊のような怪物。名前がわからないからくま◯んと読んでいる。


初めて遭遇したときは泣きながらダッシュで逃げたけど、今考えたら絶対にやばかったよね。熊に遭遇したら走っちゃ駄目だった気がする。

まぁ、でもこの体は運動神経が良い...というか凄すぎるんだよね。なんとか逃げ切れたよ!......えっ?漏らしたかって?はっ、はははぁ!?漏らしてねーし!


......はい。漏らしましたよ...。


でも今じゃくま◯んを見つけ次第、「メシだ~!!」って叫びながら突撃するくま◯ん絶対殺すウーマンになっちゃったからね。人は成長するのだ。(しみじみ)


飯を食い終わったオレは、周りに散らかった荷物を集め旅の準備をする。お父さんがくれたナイフと、動物の肺で作った水筒を腰に付ける。


「取り敢えず、食料を集めつつ、人里を探すかぁ」


最近独り言が多くなったなぁ。なんてとこを思いつつ歩みを進めた。

しっかし、村が見つからねぇんだワ。この世界人間いないの?獣人だけ?エルフとかいないの!?


もう2、3年も探しているんだが...見つからんもんじゃのう。


そんなことを考えながら周りを警戒し、進んで行くと軽い金属音が聞こえた。


なんだこの音?もしかして戦ってるのかな?こんな薄暗い森に金属を使う動物なんていない。いてもゴブリンみたいな緑色の小人とオークみてぇな豚の巨人だけ。コイツらは仲間で争わないし、一緒にいることが多い。つまり、人間がいるのだろう。それが獣人かエルフか、ドワーフかはわからないが...


行ってみる価値はある...。だが、この見た目で何を言われるのか...考えるのが怖い。しかし、この後にあるかないかもわからないチャンスを逃すわけがない。行ってみよう。後のことは未来の自分が考える。


だけど戦闘しているとなるとかなり慎重に近づかないとな。そこら辺の人間に負ける気はしないが、今戦っている彼らがオレよりも数百倍強くオレを見つけるなり結託して襲ってきたら...

うう、怖~っ!!


むっ!血の匂い...これひょっとすると不味いんじゃ......悲鳴も聞こえるし...。クソッ!助けにいくから待ってろよ!!


あぁ!神様どーかこれから会う人たちと仲良くなれますよーに!!もう魔族や悪魔って言われるのは懲り懲りだからな!!




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