第4話 恋愛相談の嵐

「ねぇ。」


学校での休み時間、俺は昨日の配信の盛り上がりを思い出して気分よく鼻歌を歌いながらトイレを済ませて教室に戻っていた。


「ねぇ、って言ってるでしょ!」


いきなり後ろから強い衝撃が加わり、俺は前に倒れそうになるが、何とか転ぶのを堪えた。


「いてて、うわっ。赤坂さん!?どうしたの?」


そう、振り向くとそこには同じクラスのギャル、赤坂穂希がたっていたのだ。

赤坂さんみたいなタイプ少し苦手なんだよな。

そんなふうに思っていると不思議な質問が飛んでくる。


「髪染めてみたんだけどどう思う?」

「え?」

「似合うかどうか聞いてんの!」

「は、あい、とてもお似合いだと思います。」


俺は赤坂さんの機嫌を損ねないようにように、彼女の髪色を褒める。


「そ、ならいい。じゃあね。」


赤坂さんは、俺の答えを聞くと顔を赤くしてどこかへ行ってしまった。

しかし、どうもどこかで聞いたような電話の内容なんだが。






「皆さん、いらっしゃいませ!この配信へようこそ!ここで一緒に素晴らしい時間を過ごしましょ、う……。」


今日もいつものように、俺は学校から帰宅してすぐに配信を付けスタートの挨拶をする。

すると早速目にもとまらぬ速さでコメントが大量に書き込まれるのを見て固まってしまった。


”おかちゃん!大変だ~!”

”初見です!”

”初見です!”

”初めて来ました~!!”

”初見です!”

”口コミ見て来たよ~。”

”いい声~”

”初見です!”

”待ちくたびれたよ~。”


「何々!?また口コミ?同接数は……。345人!?」


今の視聴者数を見て見るとそこには345という数字が表示されていたのだ。


「こんな人数初めてで緊張しまくりだけど、いつも通り配信していくのでみんなも話したい事あったら気軽にコメントして行ってね~。」


”は~い”

”は~い”

”恋愛相談聞きたい!”

”は~い”

”いい声~”

”また、二人だけの時間が……。”

”眠た~い。”

”なんだかいい雰囲気な配信だ。”

”はい!”


そんな中、コメントを見ていると、一際目立つコメントが流れて来た。


「え?!スーパーチャット!?ありがとう!!えーっと、あいみんさん。」


『同じクラスの男の子が好きで、何度もアピールしているんですけど向こうは気付いているそぶりが待ったくありません。どうすればいいでしょうか。恋愛マスターさん。』


「僕、恋愛マスターじゃないんですけどね。えっと、そうですね。押してダメなら引いてみなという言葉があるように、時には引くことも大切だと思いますよ。そうすることで、相手もあなたの存在のありがたさに気付くんじゃないでしょうか。」


”ありがとうございます!試してみます!!”

”すげ~。”

”すげ~。”

『仲がいい男の子幼馴染ともっと関係を深めていくためにはどうすればいいでしょうか。』

”(゚д゚)!”

”アドバイスが適格だよ。”

”すげ~。”

”さてはヤリ手だな!?”

”いつか私も相談したいな。”



「え?また、スーパーチャット!?えっと、そうですね。仲がいい男の子の幼馴染ですか~。手料理とかを振る舞ってみるのはどうでしょう。あなたの新しい一面を見ることで距離が縮まるかもしれませんよ。」


”ありがとうございます!明日にでも試してみます!!”

”すげ~。”

”すげ~な。”

”アドバイスが適格だよ。”

”すげ~。”

”確実にヤリ手だな!?”


それからは、スーパーチャットで恋愛相談の押収だった。

相談相手は皆、女の子のようで、男からの意見が新鮮なようだ。


「じゃあ、今日の配信はここまで!概要欄やSNSで予定確認してみてくださいね~!それじゃあ、お疲れ様~。あっ、チャンネル登録お願いしま~す。」


”もう終わるの?”

”私も相談したかった。”

”おかちゃん、いつも楽しい配信ありがとう!また来ますね!”

”は~い”

”今日はありがと”

”(_´Д`)ノ~~オツカレー”


「ばいば~い。」


俺は配信を切り、視聴者数、登録者数の伸び方に少し恐怖を感じながらも、嬉しい気持ちもある複雑な気持ちで眠りについたのだった。



――――――――――――




配信者名:おかちゃん

登録者数:309

視聴者数:400

同接数:355



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