第5話 伊瀬海人

 ノートに書いて破いた。



私が生きたら、やっぱ海人にはもう会えない?



 返事が破られて来た。



たぶん



 短い返事だった。それにまた返した。



生きて、海人にまた会う方法は?



 少し返事までの間が長かった。



たぶんない



 その返事に、私はまた意地悪で返した。



そしたら、死んじゃうかも



 海人はそれを読むなり、ため息をついた。それから、ある告白が来た。



俺、異世界から来たんだ。

異世界では勇者だった。

元の人生では、嫌なことがあった。

転校生との恋愛に関するいざこざ。

それでわざとトラックにはねられた。

そしたら異世界に行けて、楽しめた。

でもそのあと、やり直したいって思った。

何かを奪われたような気がしたから。

それで時間の異なる並行世界を経て、

今はここにいる。

今俺は、私の右隣にいる。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る