第4話 混乱

 試しに一度私は、時間の異なる並行世界へ来てみた。


 私は海人のおかげで本気で並行世界を信じることができた。と言っても正直、本気で信じることができたかというと怪しい。それでも実際来ることができたんだから、余計海人のことは信じられる気持ちになった。


 携帯を見ても黒板の日付を見ても、まだ本来の海人はもちろん、今の海人も現れていない時間の世界。ここでもう少し待てば、今の海人が現れて、また「異世界から来ました、伊瀬海人です」とあいさつするはず。


 そう思ったら誰も来ない。なんで?


 これができたら実質何度でも会えることになるから? 海人を最初から信じた状態で会っちゃうのはまずいから? そもそも今の海人が来た世界とは別の世界だから?


 てか、今更だけど本当に私、死ぬ予定だったのか。本来の海人が転校してきたときにはもう死んでたんだ。


 変な感じ。その運命は本当に変えちゃっていいの? 何かおかしなことにならない?


 私が生きたら、今の海人には会えなくなる。この前海人から言われたように、本来の海人も、私に会えないのが運命だったはず。


 じゃあ、私が生きた先で教室にいるのは誰? いつもの人たちと、海人が好きになった、私のことが好きな人?


 でも私はそれが誰か知らない。もしも海人が転校してくること自体は変わらなかったら、私と海人と、私を好きな子の三角関係が始まる?


 頭が混乱してきた。


 未知の話かもしれないけど、ちょっと海人に聞きたい。私が生きたその先を。

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