第275話 ◆天恵展覧武闘会4
電光掲示板にワイプで映った【
御剣が西の入場門を見ながら言う。
『まずは西から! 破壊したダンジョン数知れず! 堺で6月に起きた
スモークと
大きな歓声の中、SSランク【インサニア】代表【
それに続き、Dランク【
その後、Eランク【天騎士】
当然、歓声はその天恵に見合う事はない。
『荒神さん、非常に希有なケースだと思いますが、これは一体、どういう事でしょう?』
『そうだね、クラン創設にはCランク以上という制限を設けてはいるけど、【天武会】の出場規定にはそんなものはないからね。その穴を衝いた選出……なんじゃない?』
『……なるほど。しかし、番場選手以外の実績がないとうのも不気味です……』
『実績を積む事で得られる実力もある。次に出てくるクランが、それを証明してくれるんじゃない?』
『ですね! それでは、皆様お待たせしました! 東をご覧ください! 北海道の大手クラン、【ポ
瞬間、ドームが大きく揺れた。
どっと沸き立つ観客と、その歓声。
あまりの人気に、四条が目を点にする。
「お……おぉ……す、すげーな…………」
立ち上がる
「お兄ちゃーんっ!!」
その視線の先には、【命謳】代表の
四条も玖命を見つけるなり中腰になり、そんな興奮する自分に気付き、座る。
スモークに驚き、
「ははは……ばーか……いつも通りじゃん……」
言いながら、吹っ切れた様子の四条が立ち上がり、大きく息を吸い声を出す。
「きゅーめー! しっかりなーっ!!」
「「お兄さーんっ! ガンバでーす!!」」
桐谷、山下の声が届いたのか、玖命が控えめに手を振る。
「嘘、今こっちに手振った?」
「そんな訳ないでしょ。流石に席わからないだろうし……」
桐谷、山下の言葉に、2人の乙女が否定する。
「……ううん」
「いや……」
「お兄ちゃん、ちゃんとこっち見てるよ」
「きゅーめーなら、これくらい気付く」
あんぐりと口を開ける桐谷と山下。
会場には御剣の声が響く。
『【命謳】代表の【
『ダンジョンは跨げたとしても3ヶ所が限界。報告では
『次に【
川奈にカメラが寄る。
同時に会場から、割れんばかりの歓声が響く。
『――は、はは……す、凄い人気ですね』
『会場にいくつも横断幕があるね。ふふふ、
『KWN株式会社社長の
『あははは、すっごい特攻服だね』
『おーっと、これは会場の外からでしょうか!?』
御剣の言葉により、カメラがドームの外を映す。
道路では無数のバイクがエンジンをふかし、改造自転車がちりんちりんとベルを鳴らす。
『これは【
『道交法は守りなよ』
『荒神さんの一言で全員がバイクや自転車から降りましたね』
『うん、それで歩行者だからね』
『さ、さぁ、気を取り直して最後の選手です! Aランク、
控えめな歓声の中、御剣が目を丸くする。
『こちら、リアルタイムで視聴率を確認しております! 山井選手の登場で、テレビのみ視聴率がぐっと上がりました!』
『お茶の間にはしっかり届いてるみたいだね、たっくん』
両クラン出揃い、歓声も徐々に静かになっていく。
武器を構え、盾を構え、ただその時を待つ天才たち。
四方の審判が後方へと下がる。直後、低音のブザー音が会場に鳴り響く。
『さぁ、試合開始です!』
斯くして、天恵展覧武闘会が始まった。
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