第128話 ご挨拶
「「こんばんは」」
「『なっ!?』」
俺と川奈さんは、とあるビルの屋上で、スカウト班の女に声を掛けた。
やはり、そこにいたのは
「ちょっと! 何しに来たのよ!?」
「ウチのチームを調べてるのでしたら、一応紹介しとこうと思いまして」
「し、調べてないからっ!」
「こちら、川奈ららさんです」
川奈さんを隣に立たせ、俺が言うと、
「あ、川奈ららです。よろしくお願いします」
ペコリと頭を下げる川奈さん。
呆れた様子の
「ほらね課長、私の言った通りになったじゃないですか……」
【超集中】が知らせる通話相手の声。
『……スピーカーに切り替えてくれ』
すると、
『天才派遣所調査課課長――
俺と川奈さんは見合ってから言う。
「えぇ、勿論、それはわかっています。
「最初聞いた時は驚きましたけど、結局は派遣所の方って事ですもんね。天才を守る機構を疑う事はありませんから、ご安心ください」
俺と川奈さんの言葉を聞き、通話相手の
『そう言ってくれると助かる。しかし、まさかこんなに早く
「えっと……昨日の討伐終了後ですよ。こびりつくような視線を感じたので、それを追っていったら、
『なるほど……しかし困ったね。私としては穏便に君たちの情報を集めたかったのだが、どうもこの状況でそんな事は言っていられないようだ』
そう言われ、俺と川奈さんは苦笑した。
だから、俺は
「もしよろしければ、そちらまで伺いましょうか?」
「『え?』」
「俺たちを調査したいのでしょう? なら、直接そちらに行って、情報を集めたらいかがです?」
『ほ、本気で言ってるのかね?』
「本気です。ただ――」
『――要求があると?』
「出来れば、これっきりにして欲しいんです。いつまでも監視されていたのでは、いざという時に集中出来ませんから」
そこまで言うと、
『確かに、
「はい」
『彼らをこちらまで連れて来てくれ』
「えー、私がですかぁ?」
嫌そうな
『昨日の失態を帳消しにしてやらん事もないぞ』
「今すぐ連れて行きます」
「あ」
俺は肝心な事を伝え忘れていた。
『何かね?』
「出来れば、お願いしたい事が」
言うと、
『ま、まだ何か要望が……?』
要望も要望。
これが通らなければ、俺は
「そちらまでの交通費、ちゃんとください。往復分」
『あ……うん、わかった。問題ない』
ある意味、俺も
◇◆◇ ◆◇◆
玖命―――――という事がありまして、今、調査課に向かってます。
水の谷の結莉―前回のトークで『玖命クンらしく振る舞ってれば、その内向こうが音を上げるんじゃないかな?』とは言ったけど、玖命クン自身が
相田好――――調査課というと、新宿支部の近くよね?
玖命―――――はい。情報部は拠点が分かれてるらしいですね。初めて知りました。
相田好――――鑑定課は八王子、調査課は新宿、クラン調整課は三鷹、発掘課はお茶の水にあるの。一応、統括部署はあるんだけど、そこを急襲されても、情報部のシステムが崩壊しないようになってるの。
水の谷の結莉―この前みたいな大災害もあるしね~。
「なるほど、拠点を分ける事で、いざ被害が起きた時にその被害を分散させられるのか」
「へ~、面白いですねぇ」
「わっ!? ちょ、川奈さん? 見ないでくださいよっ」
「見えちゃったんだからしょうがないじゃないですかー。いいですね、飲み会グループ。あっ、そうだ、私たちもグループ作っちゃいましょうよっ?」
「私たち?」
彼女と話すだけだったら1対1でトークするだけで問題ないはずだが?
そんな事を考えていると、川奈さんは、俺にも見えない程の指の速度でスマホを操作していた。
何、この子? 【超集中】で、ギリギリ追える速度だぞ?
「はい、出来ました!」
――「Rala」が「玖命」と「血みどろ」をグループ名「クラン(仮)」に招待しました。
――「血みどろ」がグループに参加しました。
――「玖命」がグループに参加しました。
血みどろ――お? 玖命! Cランクになったのか!?
玖命――――いや……あの、まだだけど。
Rala――Dランクです! あと少しなので準備しておきましたー!!
もう、翔がクラン創ればいいんじゃないかな……。
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