第113話 思い通りに動かない
「くっくっく。今日はどんな命令を奴に出してやるかな。昨日の行いで大分は遥希達に嫌われたに違いないからな」
1時間目終了後に石井はご機嫌な顔でスマホを操作する。
石井 和久『この後、遥希達がお前の下に集まるだろうから。今日は愛海に嫌われるように努めろ。そうだな。愛海のおっぱいでも軽く揉め。もちろん拒否権はないぞ』
颯 『分かった』
石井がミインでメッセージを送信した直後、颯から即座に返事が届く。
「おっ。返事が早いな。従順で助かるな。これから奴が愛海の胸を揉むわけか。愛海の奴がどんな反応がするかな。拒絶して天音にビンタでもするかもな。どう展開するにしても楽しみだぜ。どうやっても奴が遥希達に嫌われる未来しか見えないな」
石井は自身の席から立ち上がり、教室を退出する。廊下に出ると隣の颯の教室の前まで移動する。
石井が教室内を確認すると、既に颯の席には遥希達が集まっていた。颯を中心として遥希達が彼を囲む形を取る。
「やはりもう来ていたか。実に好都合だ。早くやれ」
廊下から戸を介して颯達を覗き込み、石井は届かない声で楽しみながら命令する。
だが、5分経過しても状況に変化は起きない。颯は愛海の胸に触れようとする素振りすら見せない。
「おい。どうして奴は全く動きを見せない。まさか俺の命令を無視するのか? 」
石井は苛立ちを隠せない。怒りをぶつける様に親指の爪をガシガシ噛み続ける。
さらに時間が経過しても石井の思い描く展開には発展しない。
「くそっ。何やってんだ」
我慢の限界に達したのだろう。石井は颯を目掛けて廊下から教室に飛び込もうと試みる。先ほどまでの余裕は完全に消滅していた。
キ~ンコ~ンカ~ンコ~ン。
タイミングの悪いことに、休み時間の終了を知らせるチャイムが校内に鳴り響く。
石井の足がチャイムの音により制止する。
「くそ!! 運のいい奴め!! 」
石井は舌打ちをし、颯の教室から引き返す。
慌てた様子でスマホを操作しながら自身の教室に戻って行った。この間、颯に対してメッセージを打ったのだろう。
一方、不思議と石井を追うように遥希達も隣のクラスにゆっくりと移動していた。こちらは割りかし余裕が見受けられた。
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