学年で1番のイケメンに彼女を寝取られた。そしたら、イケメンの美少女友達が縁を切った

第105話 衝撃

　颯と地面に尻を付く人物の視線が交差する。自然と颯が見下ろす形となる。

「天音～！？ なぜ、お前がここに」

　敵対心剥き出しの目で颯を睨み付ける男子。ズボンのお尻部分に付着したゴミを払い、イライラしながら立ち上がる。

「それは目の前が俺の家だからだよ。石井君こそ何でここに？ 」

　顔を見ただけで石井に不快感を覚える颯。未だに彼女を奪われた悔しさは完全に消えていない。

「そんなの俺の自由だろ。つまらないこと聞くなよ」

　吐き捨てるように冷たい対応を取る石井。どうやら教える気は無いらしい。

「あ！ 颯君が居た！！ 逃がさないんだから」

　後を追うように、瑞貴が颯の自宅から姿を現す。

「な、な、な」

　瑞貴を認識した石井の開いた口が塞がらない。瑞貴が目の前の自宅から出て来た意味を瞬時に理解したのだろう。

「…どうしてここに居るの？ 意味分からないよ」

　石井を視認し、瑞貴は不機嫌なオーラを隠さず露にする。

「どうした？ 外が少し騒がしいな」

　遥希と愛海も続けて颯の自宅から姿を見せる。

「ど、ど、どうして。お前達まで」

　驚きを通り越して戸惑いを隠せない石井。目の前に信じられない光景が映ったのだろう。両目は剥き出すように大きく見開く。

「…それはこっちの台詞だ。なんで、お前がここに居る。正直、目障りなんだが」

　嫌味たらしく毒を吐く遥希。遥希から石井に対する嫌悪感が溢れ出す。

「愛海も強く共感」

「うちも遥希ちゃんに同意」

　愛海も瑞貴も遥希と同じ気持ちを口にする。

「嘘だ！！ 有り得ない！！ 何かの間違いだ！！！ 」

　現実を疑い夢から自身を覚ますために、頭を何度も叩く石井。どうやら頭がおかしくなったようだ。

「こいつバカなのか？ 」

　思わず率直な気持ちが漏れる遥希。瑞貴と愛海は呆れた顔を作る。3人とも石井の心配など微塵もしない。

「颯君、こんな変人は放って置いて自宅に戻ろ。聞きたいこともあるしね」

　最後の瑞貴の言葉には妙に意味深さが帯びる。颯の服の袖を優しく引く瑞貴。

「う、うん。分かった」

　嫌な未来を想像しながらも、颯は断れずに了承する。

　瑞貴に身体を引かれ、自宅に戻る颯。遥希と愛海も颯と瑞貴に倣う。

「あ、言い忘れたが。私達3人は颯と一緒に住んでるから。その点の理解は頼むな」

　目の前の光景を信じられない石井に、遥希は冷たく言い放った。