第98話 朝食大会
普段では考えられない程に騒がしい起床時間を過ごし、颯は自分の部屋を後にする。
先に降りる遥希達の後を追うように階段を1段また1段と下がる。
「そう言えば。お母さんは? 何で姿が無いの? 」
衝撃な目覚めによって完全に抜けていた。こんな修羅場を1番に堪能しそうな母親の登場が無かった。今となって母親の登場が無い事に違和感を覚え、独り言のように率直な疑問を呟いた颯であった。
「あ、お母様だったら。颯君が可愛く熟睡していた早朝に帰られたよ。それと颯君に伝言も受け取ったよ。色々と頑張ってね。だって」
「あ、あの。仕事女。。。」
伝言を残す際の楽しそうな母親の顔が目に浮かぶ。完全に嵌められた形だ。
ピロンッ。
脳内で容易に想像できた母親に少なからず腹を立てる中、颯の手に持つスマートフォンに1つの通知が届く。その通知はミインからのものだった。
お母さん『男が羨むハーレム生活だよ~。家のことは気にしなくていいから。お父さんにも許可撮ったから。自由に瑞樹ちゃん達に使って貰って。それと進捗の報告もお願いね? てことで。またね~~。颯ちゃん! ファイト~~!!! 』
愉快さがビンビンに伝わる文章がミインを介して母親から届いていた。少なからず悪意も感じた。
(お、お母さんめ~~。他人事のような対応だな。元はと言えば原因は全てそっちに有るはずなのに~)
ワナワナと身体を震わせながら、スマートフォンの画面に残る母親のミインの文章を見つめる颯。器用にもスマートフォンを片手に階段を上手に踏み外さずに降りる。良く滑らずに降りれるものだ。
そうこうしている内に、颯は階段を降り切り、1階に到着する。階段と繋がる玄関に出る。一方、遥希達は玄関と繋がるリビングに差し掛かる。遥希が玄関とリビングの間のドアを開けていた。
(はぁぁ~~~。とにかく。決まったことは仕方ないか。この生活に成れる努力をしないとな)
スマートフォンの電源を一時的に落とし、颯もリビングに移動する。
いつものリビングと変わらないはずだが、絶世の美少女が3人も居ることで不思議と高級な部屋に映る。
「さて! 颯も起きてきたことだし、始めるか」
敵対心を剥き出した目で、遥希は瑞貴と愛海に対して素早く視線を走らせる。自然と彼女達で瞬時に視線が交差する。
「始めるって。何を? 」
遥希の敵対心を迎え撃つかのような口調で、率直な疑問を口にする瑞貴。負ける気など更々無さそうだ。
「それは決まってるだろ? 」
片目を瞑りながら何処か余裕であり下に見るような態度を示す遥希。
3者間でピリッと緊張感が走る。
「誰が颯を1番満足させられるかの朝食対決だ」
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