第97話 朝の目覚めからの
「うぅぅ~~~ん」
眠りから意識が徐々に覚醒し、颯の目には明るい世界がだんだんと拡がる。
「…朝か」
自身がベッドの上で寝ていたことを認識した上で、颯は微妙に開いたカーテンから差し込む光によって凡その時刻を特定する。おそらく7時だろう。
「…昨日何があったけ? しかも何時の間にかベッドで寝てたし」
ぼんやりした頭で昨日の記憶を辿るが、残念ながら思い出せない。ただ衝撃的な出来事が有ったことは確かだ。
(てか。うん? ベッドに俺以外にも居る気がする)
真横に何かと柔らかい感触が有る気がする。まだ意識が完全に復活していないため、つい先ほどまで認識すらしてなかった。
(それにしても誰だろう? もしかしてお母さん? )
おそるおそる横に居座る人物を確認しに試みる。
「は!? 」
隣で眠りに就く人物を目にした瞬間、颯の眠りが完全に吹き飛んだ。それほど衝撃的な人物が横で熟睡していた。
隣には水色と白のシマシマ模様のパジャマを身に纏った瑞貴の姿が存在した。しかもパジャマは程良くはだけた状態であり、第2ボタンまで開いている。瑞貴の綺麗な肌の一部はパジャマから露になり、あと少しで豊満な胸も見えるレベルだ。最早、谷間は見える。
「むにゅむにゅ。うぅぅん? 」
颯の動きに反応したのか。それとも声に反応したのかは分からない。
「颯君~~。起きたのぉ~~。はやいねぇ~~~」
まだ半分以上も目覚めていないまま眠そうに片目を擦りながら、ベッドから身体を起こす瑞貴。眠そうだが不思議と幸せそうな表情を作る。
「はい~。おはようのぎゅ~~~」
パジャマがはだけたまま、颯の身体に全体重を預けるように抱きつく瑞貴。
瑞貴が抱きついたせいで谷間がよりパジャマから露になる。その上、柔らかい双丘が谷間と共に颯の腕を襲う。
(どうして? なぜこんなことが起こっている? 特に瑞貴ちゃんと泊まる約束などしてなかったはず。にも関わらず、なぜ瑞貴ちゃんが俺の部屋に? しかも!! はだけたパジャマの状態で)
男を乱す豊満で柔らかい胸が腕にバッチリ触れているにも関わらず、現状の状況に思考が落ち着かずに取り乱さない颯。脳内には疑問しか浮かばない。
「どうして瑞貴ちゃんが俺の部屋に居るの? 泊まる約束なんてしてないよね? 」
率直な疑問を口にする颯。口に出さずには居られなかった。目の前に起こる現実の原因の解明を達成しなければ落ち着かない。
「うん? もしかして颯君、忘れちゃったの~? もぅ~~ダメだぞ~~」
颯を軽くたしなめ、なぜか颯の頭をなでなでする瑞貴。保護欲でも湧いたのだろうか。
バタバタッバタバタッ。
なぜか騒がしい。誰か(しかも数人)が自宅の階段を駆け上がる音が颯の部屋に届く。雑な足音は、こちらに接近する。
ガチャンッ!!
乱暴に颯の部屋のドアが何者かによって開け放たれる。
「はぁはぁ。やっぱり颯の部屋に居たか!! 」
「油断も隙も無いね!! 」
激しく息を荒らす遥希と愛海が颯の部屋に突入する。どちらもパジャマ姿だ。
遥希は上下黒を基調としたパジャマ。愛海は赤のパジャマだ。
「あらら。バレっちゃたか~~。遅いね~。2人とも、特等席貰っちゃいました!! 」
颯に抱きついたまま、ヒラヒラと遥希達に向けて手を振りプラスで煽りの言葉も紡ぐ瑞貴。
「ぐっ。やられた!! 」
「っ」
悔しそうに顔を歪める遥希と愛海。既に戦いは始まっているようだ。
「昨日から始まったんだよ。颯君と私達との同棲生活がね」
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