リセット

第1話

夢を見た。

それが夢とわかる明晰夢。

その夢の中で、僕はひとりの人物と会う。

だれだろう？

会ったことあるような・・・ないような・・・

僕もかなりの歳だ。

記憶もあいまいになってきている。

「お前の人生をリセットするのを許可する」

その人物は、僕に何かを言っている。

今、リセットするとか言わなかったか？

「お前は自分の人生をリセットしたいのだろう？」

確かにやり直したい。

だが・・・

ここで断るべきか・・・

「お前の人生をリセットする。今から２０年前に戻る。

その２０年間がリセットされる」

何かを言っているが、理解が追い付かない。

２０年前と言えば、高校の入学式になる。

すぐに馴染めなくなったんだな・・・

「では始める。汝、山上大輔の魂を２０年前へ」

辺りが光る。

「・・・夢か」

長い夢を見ていた気がする。

でも、思い出せない。

「大輔、起きなさい。今日から高校生でしょ？」

母の声がする。

そうだ。

僕は今日から高校生。

楽しい高校生活にするぞ。

お世話になるぞ、我が母校よ。

これからの人生は僕次第。

後悔のないようにがんばるぞ。

あれ？

前にも会って気がするが・・・

気のせいだろう。