2-1 ギレネキア王国

 ギレネキア王国はハーディング大陸西岸にある大国である。

 西側は海に接し、東側は金属や宝石の採れる山脈ドロスト山脈を有し、その山脈の稜線が東隣の帝国ステイグリッツ帝国との国境となっている。

 ドロスト山脈の稜線は海抜7000m~8000mの高所であり、人間がおいそれと近づける場所ではない。

 このことがステイグリッツ帝国と戦火を交えることを阻んでいる。

 

 南北は東の山脈から西の海へと続く大河があり、それが南北の国との国境となっている。

 南の大河はロワール川、南の王国はツィルマー王国と言う。

 北の大河はモゼール川、北の王国はペーザロ王国と言う。

 

 ギレネキア王国内東西南北において、気象条件はそれ程激しい差はなく、国全体として比較的温暖な気候と大河がもたらす肥沃な大地を有する豊かで平和な国である。

 国土の中心より少し海側にある王都より四方八方へ街道が伸びており、王都は経済、流通の要衝ともなっている。


 政治体制は、国王を頂点に王太子、宰相、各大臣が補佐をする専制君主制である。

 領土は7公爵、28侯爵、63伯爵が主に収めている。その下に子爵家、男爵家がある。

 王家は貴族の横暴に目を光らせ、国民を保護する良い執政を敷いている。

 

 国民の多くが魔力を持つが、それを白黒火、水、風、土、光、闇の魔術として顕現できるものは少なく、平民で魔術を使いこなせるものはほぼいない。

 貴族でも1つの属性の魔術を顕現できたものがほとんどであり、魔術を顕現出来ない者もいる。

 2つ以上の属性の魔術を顕現できたものは貴族でも稀である。

 尚、ギレネキア王家とシュタインベック公爵家は別格だ。(雨を降らしたり、竜巻を起こしたりなどの自然現象に介入する大魔術は、クラウディアとシュタインベック家、ギレネキア王家の一部の者しか使えない。)

 平民、貴族とも出生時と10歳のころに、魔力測定と魔術の顕現具合を確認することが法律で定められている。


 王族・貴族の男子は16歳~18歳まで王立貴族学園に在籍し寮生活を送る。

 学園では領地運営、経済、魔術、剣術、体術などを主とした教育を受ける。

 家を継がない貴族の次男、三男以降で、2つ以上の属性の魔術を顕現させたものは学園卒業後近衛騎士団に所属する。

 1つの属性の魔術を顕現できたものは王宮護衛騎士団、または各騎士団・辺境騎士団(幹部候補生として)に入隊するものが多い。

 魔術を顕現させていない者、文官肌の者は王宮にて行政を担う。


 王族・貴族の女子は、学園には通わず各家庭で家庭教師に付いて、教養、マナー、ダンス、社交術を身に着け、16歳のデビュタントに備える。

 当代は、王家の3王子、およびシュタインベック公爵家の4兄妹の婚約者が決まっていないため、特に上流貴族では王家、シュタインベック家の出方をうかがっており、婚約者を決めかねている家も多い。

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