古池や蛙飛び込む水の音 松尾芭蕉
しばらくは有名な句の鑑賞を続けていこうと思う。
なお、作者の没後五十年以上経っている句については、ショートストーリーも書く。
今回は前回に続き、日本で一番を争うほどの有名な句。俳聖・松尾芭蕉のこの句だ。
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古池や蛙飛び込む水の音 松尾芭蕉
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春の生命が湧き出てきた頃だが、作者は人の少ない道を歩いていたに違いない。
しばらく前から気付いていたが、歩けば歩くたびに蛙らの鳴き声が騒がしくなってくる。そしてその騒がしさがピークになり、気になって道の脇を見たところ、春らしさを湛えた古い池があったのだ。
作者は古い池にくぎ付けになってしまう。青々とした植物たちを、若干灰色めいた青緑の池の水が抱え込んでいた。
そしてその青の中に蛙が騒がしく鳴いている。きっと大量にいたことだろう。
作者は蛙の数を数える。一、二、三……。
そのときふと、水のちゃぽんという音が辺りに響いた。その音はすぐに蛙たちの合唱にかき消されてしまったが、淵の近くから発生する水の輪だけが何十にも重なって、そこに蛙が飛び込んだことを主張する。
古い池にも生命の青々しさは確かに存在していたのである。
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