第3話 ─BB閲覧─
彩の家から帰路はバスに乗った
そういえば、自転車は大破してしまったのだった…
昨日今日と、劇的にいろんな事が起こり忘れていた
去年買ったばかりのクロスバイク…
完売してたのでもう手に入らない…
気に入ってたのでショックはでかい
事故の相手方が負担してくれるだろうか…
道中、奈緒からのメールを確認しようとスマホを手に取る いつの間にか、奈緒が作成したグループトークで会話が飛び交っていた
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健人「奈緒ちゃん、詳細メールありがとな。今、試しにスマホからやってみようとしてみたけど、やっぱPCからじゃなきゃダメそうだな」
結衣「奈緒先輩、メールありがとうございました。はい…わたしは囚人でした…。承認されたので、解除大丈夫です…」
奈緒「@健人先輩 やっぱりそうですよね。お手隙でPCにて観てみてください。」
奈緒「@結衣ちゃん とりあえず、それならよかった! 付け足しは何かありそう?」
結衣「付け足しは、一応補足みたいな感じですが、BB使用時はカメラもマイクもONにしないといけないって事くらいですかね。」
奈緒「あっ。そうだ。そうだよね!」
結衣「あ、29、30日はどっちも午前練習ですよね? その後ならわたしはどちらでも大丈夫です。」
健人「あー、俺29日はちょっと厳しいんだよな。できれば30日希望!」
奈緒「お二人とも、了解です! 太陽先輩、
お手隙でご確認よろしくお願いします。」
俺「奈緒ちゃん、詳細メールありがと! 帰ったら、PCで見てみるね! 29、30日はどっちでも大丈夫だよ。」
奈緒「太陽先輩ありがとうございますっ! それじゃあ、30日にしましょう! 昼まで練習なので、13時くらいに!学校集合でいいですか?
結衣「大丈夫です!ありがとうございます!」
健人「オッケー!」
俺「オッケー、ありがと!」
奈緒「彩先輩っ! 来れそうだったら、いつでも連絡くださいねっ!待ってます!」
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俺は帰宅後、PCを開く─
念のためスマホでも開こうとしてみたが、やはり反応はなかった…
学校の公式ホームページ─
不思議な感覚だ─
こんな事でもないと、普段学校のホームページなんて触れる機会はない。
トップ画面、学校校舎画像、エンブレムの影の部分を左クリック─
─反応した─
─影部分より、吹出し💬出現─
俺「おっ…出た…っと、俺は3年A組12番だから…、3A12ってコトだよな」
奈緒から教えてもらった手順でIDを入力すると、黒を基調としたページにジャンプする─
いかにも、裏や闇を連想させる色遣いのトップ画面に表示される赤文字─
──ようこそ、小林太陽さん──
俺「─ああ、奈緒ちゃん言ってたな。もうBB内で、学年、クラス、出席番号で、しっかり個人名まで紐付いてるんだったな─」
奈緒からのメールを見ながら、初期の設定を進める。ニックネーム、パスワード─
俺「パスワードは絶対保存しちゃ、ダメなんだったな… ニックネーム… BB内はこれで表示されんのか…? なんでもいいが、太陽だしSUNとかにしとくか…」
ニックネーム、パスワードの設定したところで初期設定の完了─
再びサイトが立ち上がる──
──ようこそ、SUNさん──
BB内部は非常にシンプルだった─
トップ画面に表示されているメニュー項目は3つのみ。運営からの
「通知」
「アカウント情報」(ここで今の自分の立場やら、もらってるいいね👍の保有数やらがわかるようだ)
「掲示板」だ─
俺はひとつずつ目を通す。まずは「通知」
「通知」は他のSNSでも一般的な、よくある「通知」とかわらない。
俺は毎月1日の0時に、前月のいいね👍持ち分が失われ、同時に当月分が付与される─
毎月、その繰り返しが表示されているだけだった─
「アカウント情報」も特別変わったところはない。今の俺は、まだ未投稿のだめ決まった立場もなく、ただ他者の投稿に付けれるいいね👍を10個持っているだけの状態だった。
「掲示板」─ いよいよ核心部分に触れるような感覚で、俺は少し緊張する─ 一呼吸入れて、中を覗いた─
掲示板を開くと、これまで投稿されたものが
新しい物から順番に、
日時
投稿者
タイトル
本文(添付ファイル画像、動画等含む)
いいね数
という形でズラッと表示された。
投稿数は、少ない月で50件程度、多い月では100件を超えていた。
投稿内容は、「これだったら普通に表のSNSで投稿すればいいのに」と思うような事から、
「ミス〇〇の着替え隠し撮り♡」や「スクープ!!〇〇の裏の姿!!」等々… 法を犯す物や、個人のプライバシーを侵害する物、表に出たら大きな問題になる物が、乱雑に投稿されていた。
そして、決して表のSNSでは出せないような物ほど、多くのいいね👍を獲得していた─
俺がここまで掲示板を見ていたところで、再びスマホにグループトークの通知が入る─
─────────────────────
健人「おつかれー、BB一通り見たよ! ちょっと今の段階で気になる事を確認ー。まず、掲示板さ、一番古い投稿が22年8月になってるけど、この掲示板できたのって、このタイミングなんかな?」
奈緒「お疲れ様です!そのようですね。ちょっと意識してませんでしたが。」
─俺も、掲示板を遡る。たしかに、一番古い投稿は22年8月となっている─
健人「やっぱ、そうなのか… ありがとう。あと、投稿者で気になるやついんだけどさ、 なんか、毎月、【♡マークにアルファベット1文字】 ってやついるだろ? 毎月、英字は違うんだけど、毎月これが1番いいね👍もらってる…
同じ人物なのかはわからないけど、こいつがキングか?」
──いる。健人の言う通り、【♡マークにアルファベット1文字】 毎月英字は違う上、投稿内容も一貫性がないが、毎月決まって一番いいね👍をもらっているやつ──
結衣「お疲れ様です。今まで意識してませんでしたが、いますね─ 同じ人物なのかはわかりませんが─ いいね👍を1番多くもらってる投稿者が翌月のキングです」
俺「奈緒ちゃん、結衣ちゃん、アカウント名って変更できる?」
奈緒「アカウント情報のところから、アカウント名は変更できます。決め付けはできませんが…同一人物かもしれませんね… 毎月アカウント名を変える理由はわかりませんが…」
健人「…よし。じゃあ、今んとこ、どっちの可能性もあるって事にしとこう。同じやつかもしれないし、全然違うやつかもしれない…。でもこの【♡マークにアルファベット1文字】が毎月キングをやってるのは間違いない! 誰かPC得意な人ー? この投稿者に絞って、過去からの投稿内容とかサクッとリスト化できねーかな? 他のやつ省いて、こいつのだけで一覧で見たら、なんか気付く事があるかもしれないからな。」
結衣「わたしやります! まとめてみてメールします。」
健人「ありがとー!頼むわー!」
俺「結衣ちゃん、ありがとう!よろしくね!」
奈緒「結衣ちゃん、ありがと! なんか手伝う事あったら言って!」
結衣「大丈夫です!お任せください!後ほど送りますね。」
─────────────────────
結衣はリスト化した物をすぐに送ってくれた
その日より、俺達はまた各々の夏を過ごす。
29日、俺は彩に会った。
23日からの6日振り…
気が遠くなるくらい、長く感じる6日間だった…
どれだけ辛い思いをし、どれだけ涙を流しただろう…
6日振りに会った彩は、目の周りを真っ赤に腫れ上がらせ、別人のように元気がなかった…
俺はそんな彩を抱きしめ、なにもできなかった自分を悔やみ、泣きながら謝る事しかできなかった…
俺「彩っ…ごめんっ…ごめんっ…俺っ…守ってあげれなくて…ごめんっっ……」
彩「…太陽…くんっ…わたしっ…わた…しっ…ぅぁぁぁぁぁーーーーーっ!!!!!」
──キング──
お前は今、何を考えている?─
お前はなぜ彩を傷付けた?─
絶対に許さない─
待ってろよ─
俺は…いや、俺達は少しずつ、でも確実にお前に近づいてきてる─
必ずお前の正体を暴いて─
彩の前で、頭めり込むほど土下座させてやるからな─
──翌日──
7/30 日曜日 作戦会議の日を迎える───
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