その1②「なんまらうまいしょ、わたしのごはん?」
☆☆☆
真っ赤に染め上げた頬を恥ずかしそうに隠しながら僕を背中を押してソファーに座らせて数分。
お盆を抱えた
焼いたベーコンとブラックペッパーのかかった目玉焼き、そして綺麗な十字の焼き目がついたトーストが乗った某有名アニメーションを彷彿とさせるお皿が数枚。
僕の周りをぐるりと一周。
素足とフローリングがくっつく音、ペタペタと聞こえてくる。
テーブルにお皿が置いた
「はぁ……もぉ、なんだか朝から萎えちゃったなぁ~~」
(萎えたって言うなよ、卑猥だなぁ)
「卑猥ぃ? なして?
考えるように天を仰ぐも、途中で気づいて真っ赤な顔のままジト目を向けてくる。
「バカっ」
バシッと一発背中をやんわり叩かれる。
「んもぉ……朝から、えっち」
「せっかく
(あははは、冗談だよ。からかっただけだって)
「わやぁ……まぁ、いいけどさ。昔から、そう言うところ知ってるしね」
ぐっと身を寄せて、指で僕のほっぺを突っついてくる。
「柔らか~~い。きもちぃ」
(お、おい、やめろよ)
「ふふ~ん。
ふにふにとほっぺを抓ってくる
(……)
「なんもいえてないじゃ~~ん。これからは
さらに身を寄せて、すっと唇を耳元に近づけながら呟いた。
「分かったぁ?」
吐息が耳に当たり、体がぞわりと身震いをする。
(うっ)
「びっくりしちゃって……んふふっ、めんこいね、君は」
「よ~~し、いじめられて下がってた気分も上がってきたし、食べよっか? ほら、そんな顔してないで、こっち見て」
(あ、あぁ)
「今日は目玉焼きにベーコン、焼いたトーストってよく見たあの朝ご飯だから、味わってね」
「じゃ、いっただきます」
(いただきます)
手を合わせて、二人で挨拶。
フォークで目玉焼きとベーコンをトーストに乗せたまま、パクリと一口。
「どぉ、美味しいかな?」
(うん)
「でしょぉ! 結構頑張ったからね! こがさっちゃったけど意外となんとかなるものだね」
「はぁ——むっ。うむ、はむはむ……っ~~~~ん! 美味しい! 最高だねぇ」
隣からシャリシャリと咀嚼音が聞こえてくる。
汚らしくなく、とっても心地よくて見つめてしまう。
「ん……なしたん、
(ううん)
「そぉ、なんかめっちゃみつめてこられっちゃったけど……あ、ちょっとまって、おくちばっぱいよ」
(?)
「止まってて、う~~んと」
手を伸ばし、口元に手を近づける
「ふぅ」
そんな中、彼女の温かい吐息が耳にかかる。
(ん)
「っしょ、それ。とれたぁ!」
ビシッと取って、そのままペッパーを口元へもっていくパクっと。
なんともあざとい動作にどよめく。
「はむっ。うーん。からいねっ」
(ずるいなぁ)
「ずるい? 何が?」
(なんでもないよ。ほら、食べよ)
「う、う~~ん。まぁ、いっか。食べよっか」
そして黙々と食べると、落ち着いた頃に一言呟いた。
「外はしゃっこいし、あったかいと温まるからいいね」
「あ、今度とうきびも焼いてみよっか? ほら、大通公園でよく売ってるやつ! あれ、なまらおいしいよねぇ。あ、でもそれならなんなら雪まつりも行ってみたいね! カカオチョコのやつもあるし!」
「楽しみいっぱいだね、予定たてよっか!」
☆北海道弁☆
なして:「どうして、どうしたの」の意
~しょ(~しょや):「~~でしょ」の意
いづい:しっくりこない
~さる:動詞+さる、自分が意図しないときに起っちゃったことを言う時などに使う
わや:酷い、めちゃくちゃ、どうしようもない……深い意味はないと思ってます(作者)
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます